一
夢日記。
一
私は北海道の国道を走る親の車の中。
とある街の中から旭川へ向かっていたんだと思う。
父親が車を運転する。外は、街灯がぼやける位の大雨だったけど、それでも夜空は、街明かりに照らされて明るかった。
二人は何も話さなかった。車のエンジンの音だけが響いていた。
やがて辿りついたのは、螺旋状の道をした峠。車は所々トンネルを抜けながら登っていく。
車を降りると、辺りはもうすっかり夜。でも、峠の頂上から、山の裾野に沿って続く、その道は、街灯のようなオレンジに照らされていた。
僕は隣にいた女と一緒にその道を歩いた。下を見下ろすと、通ってきた道が見える…。
「高い…」素直に僕はそう思った。
やがて、友達は背後から僕を追い越して行こうとした。
「急いだほうがいい」すれ違いざまに彼はそう言った。
でも僕は女と歩いた。
やがて、道はトンネルへと続く。僕はこの先に何か大切な、懐かしい場所があるような記憶を思いおこしながら、先へ沈む。
長い長いトンネルの先は、時代遅れの駅だった。
街はなく、先程あったはずの街灯すらなく、ましてや車などいるはずもなく、ただ古ぼけた単線の始発駅だけがあった。
ホームには電車が止まっていたが、間もなく発車すると言われた。
行き先は、たぶんいつか帰る所。でも行き先はまだ暗闇のような気がするのだった。
そのとき、僕は母親のような人に言われた。
「この電車は確かに珍しいけど、今日はやめときなさい。それより、あなたはこっち」
彼女は今来た道からホームを見て左側を指差した。そこには先程より作りが立派な、ちょうど高速道路のそれのような大きなトンネルがあった。
ただし、中は真っ暗だった。
僕はこのトンネルがさっきのよりもずっと長いことにきづいていた。
でも、そこに入るのはとても楽しみに思えた。
だから僕は、そのトンネルへ向けて歩みをはじめた。