6 試験
試験開始、の前に。試験別のブロックと場所を確認するため、受験生たには会場の掲板に集まっていた。フィーアは
「アハトと別だった!あぶねぇぇ!!!」
『開幕早々に叫ぶな』
「ぐふっ」
「フィーアさん!?」
蹴り飛ばされ、地面を転がった。受験生たちは器用に転がるフィーアを避けて、それぞれのブロックへ向かう。
一つ一つの会場は広いが全員が集まることが出来るのは、せいぜい最初に集められた広場だけ。広場でさえも、少々窮屈なほど受験者はいた。なので20のブロックごとに分かれ、訓練場がブロックごとの午後試験会場になっている。
「薄情者どもぉ…!」
「大丈夫ですか?」
「うぅ…ありがと、ノルマントンさん」
「なんですか、その沈みそうな名前」
『二重の意味か?』
「うまい!」
「なにがです?」
そんな会話をしていた時、どこからか舌打ちが響く。それを聞き取ったフィーアは振り返った。彼は虎人、耳が良いため大勢の人がいるこんな場所でも的確に聞き取ることが出来た。
人間のアハト、鬼のノインはフィーアほど耳が良くないため、その音に気付かない。舌打ちをしたのは、今朝にノインをナンパした軍人たちだ。
貴族の大柄男と痩身男「…」
フィーアたち、特にフィーアを見る二人組の男。言い負かしたのがフィーアだから次の試験で何か狙っているのかもしれない。
「はぁ…」
「どうかしました?フィーアさん」
「…ううん、なんでもないよ。ヒュプシュさん」
「最早誰ですか、それ」
『…』
フィーアがいきなりため息を付き、ノインとその後に会話する様子をアハトは横目に見つつ、沈黙を貫いた。
フィーアはⅤブロック。アハトはⅧブロック。ノインはⅢブロックだった。会場が違う彼らは会話を済ませると別々に移動した。
「歯ごたえねぇなぁ」
フィーアは籠手を撫でつつ、暇そうに呟いた。籠手はフィーアの戦闘をする時に愛用している武器だ。五分間の制限時間内で、立っていたのはフィーアを含めて50名中7名。
実はこの過半数をフィーアが倒していたり、いなかったり?しかも、そのほとんどがワンパンしてたとかなんだとか。
決勝に行くには1ブロックに付き、一人だけ。つまり残った7人でさっさとケリをつけなければならないということ。試験を見ていた審判はミニトーナメントとして、各々戦わせることにしたようだ。
でも、それすらフィーアは1度ぶん殴るだけでほとんどの選手をノックアウトに陥れた。そして残るは二人のみ。
「強いのいねぇの?オレもっと戦いたいんだけどなぁ。あ、でもアハトとはやりたくねぇなぁ」
貴族の痩身男「随分余裕そうだな、テメェ」
「…」
フィーアが振り返ると、そこにはあの貴族がいた。片割れはどうやら別のブロックだったらしい。
貴族の痩身男「オマエみたいな平民、まぐれでここまで来れただけだろ」
「実力だよ。あんたこそ試験中逃げ隠れしてたのか?」
貴族の痩身男「っ…ちょっと魔力が多いからって、調子にのるなよ」
顔を赤くし目をギラつかせる男は、殺気に満ちていた。
軍人「両者、まえへ」
そこに、審判の軍人が声をかけた。
軍人「準備決勝を始める前に、確認事項を行う。勝利条件は、相手の気絶もしくは降参をあげた場合のみ。武器の使用は許可するが、鋭利な武器と本物の銃弾の使用は出来ない。使用した場合、勝敗がどうであれ使用者の失格とする。術の使用も許可するが、魔法による相手に重症を負わせた場合も失格だ。決勝と同様に制限時間はない。確認事項は以上だ。それぞれ質問はあるか?」
「ないよ」
貴族の痩身男「ありません」
軍人「では…第Ⅴブロック、準決勝開始!」
閲覧ありがとうございました。




