4 不快
日付跨ぎましたが、2本投稿します。
今日、何度目かのため息をつきながらもフィーアは、何か思い付いた顔をすると、ニヤニヤと笑い始めた。
「でも確かにアハト今日はめっちゃお喋りだよな。緊張してるの?」
『今朝の軍人、翼を隠してたが悪魔だったな』
「んー、会話のキャッチボールしよう?」
軍人「まもなく、軍事試験を開始する。繰り返す、ー」
「あ、始まるぞ」
『そうだな。…』
全員に緊張が走る中、アハトは人混みの中で女性が男たちに囲まれているのを見つけた。軍人の呼び掛けを男たちは聞こえてないのか、無視してるのか。男たちは薄気味笑い笑みを女性に向けていた。
「ん?どうした。あれ、ナンパ?」
アハトが一点を見つめていることに気付き、声をかけフィーアも同じ方向を見て、うわぁ…という顔をした。
「これから試験なのに、ナンパかよ。身なりもいいし貴族かな?」
『不真面目だな』
金と銀のオッドアイが特徴の水色髪の女性は、オロオロとした仕草で男たちの誘いを断っているようだ。助けを求めるように辺りを見回すが、あからさまに皆目を反らしている。関わる気がないのがありありと伝わる。
「ったく」
フィーアは早足に、彼らに詰め寄った。それをアハトが数歩遅れてついていく。
貴族の大柄男「この試験が終わったらでいいからさぁ」
貴族の痩身男「つーか女が軍人とか。力の差がわかんねぇのかね?」
「そこまでにしとけよ、貴族様。ナンパとか試験前にするかよ普通」
冷めた目付きで男たちと女性の間に入るフィーア。
『仲裁に入るんじゃなくて、喧嘩越しかよ』
「だって、ありえねぇじゃん?これから大事な試験なのに。受かる気ないんだろ。さっさと帰れば?」
貴族の大柄男「なんだと?なんか言ったか平民」
貴族の痩身男「貴族に喧嘩売るつもりか?」
「平民上等だよ。あんたら恥ずかしくねぇの?こんな大勢の人たちの前でさ。その鋼の心?オレにも分けて欲しいなぁ、プッ」
貴族の痩身「っ!テメッ」
軍人「そこ、静かに。これ以上の騒ぎは受験失格と見做す」
手元で口を抑え、笑いを堪える仕草をするフィーアに貴族たちは青筋をたてたが、静観していた軍人がここでようやく場を取り止めた。貴族たちはイラついた顔を隠しもせず、舌打ちしながらその場を離れた。
『厄介のに目をつけられたな』
「あ、ありがとうございます!助かりました。あたし、ノインっていいます。見ての通り、鬼です」
途中から沈黙を貫いていたアハトは隣に立つ、ナンパされた女性に話しかける。女性は慌てた様子で頭を下げ、自己紹介をした。鬼の証である角が左側のおでこから小さく生えている。
「アイツら模擬試験あったらぶっ飛ばす」
『イラついてるな。分からなくないが』
「気合い入れて来たのに、アイツらのせいで気分ダダ下がりだっての」
「ホントにすみません。ご迷惑を」
「いやいや。あんたは悪くないから、あんな奴らほっといて。それより、試験頑張ろうな、ノルマンさん!」
「ノインです…」
『10回会って話したら名前覚えるから、それまでは間違われるぞ』
「え」
閲覧ありがとうございました。




