戦闘体系
▼ 位相力体系・詳細設計ガイド
(通称:律 /宇宙共通語:IMA:Informatio-Phase Manipulation Ability)
① 中核概念と計量
● 基本構造
・宇宙は「情報(意志・記憶・意味)」と「位相(配列・周期・極性)」の重ね合わせで成立している。
・その“重ね”に干渉し、再構築する固有能力が 位相力(IMA)。
・フロム星を中心とする文化圏では、これを 律 と呼ぶ。
律は魔力のような外部燃料ではなく、存在そのものの振る舞い(生体リズム・意志・物語性)を力学化したもの。
個々の律者は、その内的「律脈(リズム回路)」に従って戦闘体系を築く。
● 計量単位
・律量:可動可能な位相エネルギーの素量
単位:拍(Pulse)/総拍(TP:Total Pulses)
例)「基礎律量 240TP/自然回復 12拍/分」
・律圧:周囲へ与える位相圧。存在感・威圧・干渉強度の指標(dRP:deci-ResoPressure)。
・律純度:意志ノイズの少なさ。高いほど精密操作が可能(%)。
・律域半径:自身の位相場を安定展開できる半径(m)。熟練者ほど広く精密。
➡︎直感的に言えば:
「TP=スタミナ槽」「拍/分=自然回復」「律圧=覇気」「律純度=器用さ」「律域=得意距離」
② 位相操作と律式
● コア・オペレーション(操作語彙)
位相干渉は 八つの基本語彙に分類される。
これを組み合わせて技や戦術を構築する。
1. 共鳴:対象位相に同期・増幅
2. 偏移:自身の位相相をずらし、回避や透過
3. 断層:位相配列を破断、攻撃・切断
4. 束縛:位相を固定し、運動を凍結・遅延
5. 投影:位相情報を形象化、武具や幻像生成
6. 解析:位相周波を読取り、弱点や汚染源を看破
7. 纏装:位相装甲や筋出力補助を自身に纏う
8. 縫合:断絶した位相を縫い合わせ修復
● 律装と律式
・律装:律者が自身の律量と律相を基盤に形成する「戦闘体系」。
例:リリムの《紫電》は雷を基調とした流律型律装。
・律式:律装の中で特に強調される運用型式。
例:
- リリム → 流律を基盤とした「流律式(移動・流動)」
- カイル → 纏律を基盤とした「纏律式(強化・装甲)」
律装は「個人の物語と律脈に応じて形成される戦闘構造」、
律式は「その律装をどう運用するかの型式」。
③ 律相(属性的傾向)
● 八律相(相のクセ)
・響律(共鳴・支援):連携増幅/合奏向き
・隔律(遮断・場):結界・フィールド制圧
・断律(破砕・刃):一点突破・汚染切除
・流律(移動・流動):機動・回避・機先制圧
・析律(解析・認識):情報戦・医療・狙撃補助
・纏律(強化・装甲):前線耐久・肉薄戦
・召律(投影・構成):武具/補助器官/架橋
・縫律(束縛・修復):拘束・治癒・封印
➡︎ 個人は1〜2の強勢律相を持ち、それが律装の骨格となる。
➡︎ 相補関係(例):響⇔断/隔⇔流/析⇔召/纏⇔縫
④ 装備・媒体・施設
・律導器:位相整合を行う媒介(剣・槍・符・装飾品など)。
・導律紋:律導器や皮膚に刻む微細回路。入力→出力の流路を安定化。
・フロメナイト:位相安定鉱。律純度を高める。
・律域炉(ギルド施設):治療・訓練用の安定場。禍染除去機能併設。
・換算核:マナ文化圏の技術を律に変換する装置。
⑤ 実戦技群(※一部抜粋)
● 前衛(纏+断)
・《律衣》 → 《断層斬》 → 《反相共鳴》 → 《位相縫止》
・役割:防御と突破、汚染切除、敵核の露出
● 制御(隔+縫)
・《結界展開》 → 《逆位相封止》 → 《魂綴》
・役割:汚染拡散阻止、救命、退路確保
● 支援(響+析)
・《共鳴輪》 → 《相見》 → 《再調律》
・役割:TP効率上昇、弱点解析、環境浄整
● 機動(流+召)
・《偏移歩法》 → 《律刃投影》 → 《機動架橋》
・役割:撹乱、瞬間火力、補助機構投影
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▼ 登場人物紹介
■ リリム
・種族:ダークエルフ
・外見:金髪碧眼のギャル風美女。日焼けした小麦肌に映える鮮やかなアイメイクと派手なピアス。露出の多い戦闘衣装だが、防御は律を織り込んだ結界布で補強されている。
・性格:普段はギャル語全開で軽口を叩き、他人を茶化すムードメーカー。しかし、戦闘中は一切ふざけず冷静沈着。切り替えが鋭く、仲間の信頼は厚い。
・戦闘スタイル:
・双剣を用いた《律量操作》による近接戦闘。
・刃に「斬撃特化の律」を付与し、切れ味を常軌を逸した領域まで高める。
・戦闘中は律量を身体に纏い「加速・跳躍・斬撃の角度制御」を同時に行うため、舞うような剣舞を繰り広げる。
・特性:律量の“放出”を得意とし、局所的にエネルギーを圧縮して一点突破を狙う。
・必殺技(例):「クロス・ディバイド」——双剣を十字に振り抜き、律量を収束させた二重の斬撃を叩き込む。
■ カイル=フェルド
・種族:亜人族(エルフと獣系統の混血種。外見は人間に近いが耳が尖り、体表に淡い文様が浮かぶ)
・外見:長い栗色の髪を後ろで結び、冷静な灰色の瞳を持つ。背は高く、俊敏さと力強さを併せ持つ槍術士。
・性格:真面目で仲間思い。リリムとは正反対の堅物で、彼女の軽口に振り回されることが多い。ただし、戦闘時のコンビネーションは抜群。
・戦闘スタイル:
長槍を媒体に律量を流し込み、衝撃波や防御壁を形成。
特性:律量の“伝達”を得意とし、自分の攻撃を仲間の律と同調させ、連携力を強化する。
槍を地面に突き立てることで律の流れを周囲に広げ、「領域的な優位」を作り出すことができる。
必殺技(例):「蒼槍断界」——槍を突き出し、律量を波動として放出。虚禍の装甲を打ち砕く一撃。
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▼ 虚禍
虚禍 は、古代星間戦争期に外宇宙から侵入した未知の存在群を指す呼称である。
俗称としては「虚の瘴魔」「喰らう闇」などが知られる。
既存の星外生命体の生態パターンには当てはまらず、“生命”と呼ぶにはあまりに異質である。
■ 起源と定義
虚禍の正確な起源は不明であるが、統合認知核(Cognitive Kernel/CK)の活動に伴い発生した副次的存在であるとの説が有力である。
虚禍は通常の有機生命体や機械文明とは異なり、「個体」という概念を持たない。彼らは情報的かつ構造的な寄生体であり、魂骸と呼ばれる核を中心に半ば強制的な秩序を得ているに過ぎない。
■ 構造と魂骸
虚禍の最大の特徴は、実体を保つための「魂骸」の存在である。
魂骸は「魂の残骸」とも形容され、かつて存在した生命の意識や記憶の欠片が凝縮された結晶体である。
・魂骸は虚禍にとって心臓に等しく、それを破壊されれば即座に崩壊する。
・魂骸の形状は個体ごとに異なり、仮面・鉱石・器具のように具現化する例も多い。
・魂骸は虚禍に“個体性”を与える唯一の要素であり、逆に言えば魂骸を失えば虚禍は「零子」の雲散状態に戻る。
魂骸がどのように形成されるかは完全には解明されていないが、CKが宿主の意識の残滓を収斂させて結晶化する過程とされている。
■ 生態と寄生プロセス
虚禍は肉体を持たないため、自らの生存を「寄生」に依存している。
そのプロセスは以下の通りに整理される:
1. 虚波と呼ばれる波動を宿主へ侵入させる。
2. 宿主の細胞や物質分子を改変し、「虚禍化」させる。
3. 宿主の意識・記憶を侵食し、行動を制御する。
4. 最終的に宿主は虚禍本体と融合し、魂骸の防衛機構の一部となる。
このプロセスは生物に限定されず、金属・建築物・武器といった無機物にすら及ぶ。
そのため、都市全体が虚禍に「呑まれる」事例も歴史上に存在する。
■ 虚禍の亜種分類
虚禍はその宿主や進化形態によって多様な亜種を持つ。代表的なものは以下の通りである。
1. 虚禍獣型(ビースト系列)
生物を宿主としたタイプ。宿主の原型をかすかに残しつつも、異形化・巨大化し、捕食と破壊を主とする。
2. 虚禍機構型(メカニズム系列)
兵器や建造物を宿主としたタイプ。戦車や要塞が自律的に活動する例が確認されている。
3. 虚禍集群型(スウォーム系列)
微小個体が群体を形成するタイプ。雲状・波状の群れとして襲いかかり、律者の広域制圧力を試す存在となる。
4. 虚禍核生型(コア系列)
魂骸とCKが外殻を持たず剥き出しで活動するタイプ。きわめて不安定だが、遭遇した場合は大規模な被害を生む。
5. 虚禍外殻型(スケルトン系列)※マスク・イーターはここに分類
魂骸が“外殻”として自律的に具現化した個体群。虚禍の中でも特に「魂骸の象徴性」が強く、意識残滓の干渉が顕著である。
■ 特性と属性
虚禍の活動は、宿主の性質や魂骸の属性に依存する。
律者たちが戦闘において注意するべき点は以下である。
・不安定な存在性:虚禍は常に「零子」の崩壊へ傾いているため、攻撃の衝撃で形状が変動する。
・属性反応:魂骸には律量に近似する属性的傾向があり、雷に弱い個体や、土に侵されにくい個体などが存在する。
・実体代替:虚禍は「物質の代替」を得意とし、仮面・外殻・鎧などを生成して自己保存を行う。
・意識残滓の干渉:宿主の記憶や感情の断片が魂骸に残り、戦闘時に奇声・幻影・言語を伴う場合がある。
■ 戦術的脅威
虚禍は単なる怪物ではなく、「存在の再定義」を強要する災害的現象として扱われる。
特に問題となるのは、
・戦闘中に環境を虚禍化し、地形そのものを武器に変える能力。
・複数の虚禍が“共鳴”することで新たな魂骸を生成する現象。
・魂骸を媒介にした律量の異常反応。
律者たちにとって虚禍は「敵兵」ではなく、宇宙規模で拡散し続ける寄生性の災禍であり続けている。
■ まとめ
虚禍は、肉体を持たず魂骸を依り代として成立する外宇宙的存在である。
その多様な分類と属性は、戦闘において一律の対処を許さず、むしろ律者たちの適応力を試す。
虚禍はただの怪物ではなく、「存在の形」を問う存在論的な敵であると同時に、“統合認知核”と呼ばれる原初的な物質と深く結びついた宇宙的現象でもある。