走影《ランシェイド》
▼ 技術と文明の発展
◆ 星間戦争の遺物
五百年前に起きた「星間戦争」は、外宇宙から侵攻してきた“人類側の文明”と、この惑星に住まう種族との全面衝突だった。
結果として侵略者は敗れ撤退したが、戦場には膨大な“残骸”が残された。
・高度な機械兵器のフレーム
・航行艦の動力炉や補助装置
・携行武装の断片
・パッケージ化された保存食(←これが後世にカップ麺アイデアを残すきっかけに)
これらは最初こそ「理解不能な鉄屑」として放置されたが、後の世代の学者・技術者たちが少しずつ解析を進め、数百年をかけて再構築・再応用されていった。結果、この惑星は独自の機械文明へと移行していったのである。
◆ 技術の二大潮流
この500年で文明は大きく2つの方向へ進化した。
□ 1.m機械工学系統
走影のような大型機動兵器、輸送艇、都市インフラなどに応用される。外宇宙の「モジュール式機構」の設計思想を参考に、部品交換性や汎用性が高く設計されている。
→ 現在の走影は「馬のような骨格を持つ二足〜四足可変の駆動体」で、街中を疾走するだけでなく、山岳や谷間を踏破できる汎用騎乗機体。パイロットの身体動作と律量の波動を組み合わせて制御する。
□ 2. 律量工学系統
この世界独自のエネルギー「律量」と機械を結びつける研究。
元は人類側文明には存在しなかった概念だが、遺物に組み込まれていた“未知の触媒”を逆にこちらの住人が律量と共鳴させることで、機体駆動や兵装に応用できるようになった。
→ 「律量炉」と呼ばれる小型エネルギー核が走影や武装の心臓部。持続性と反応性に優れ、虚禍との戦いに必須の装備となっている。
◆ 走影について
□ 分類:機動騎兵機体(ギルド・軍が運用する)
□ 全長:3〜4m程度(小型タイプ)〜7m(大型突撃型)
□ 動力:律量炉+機械式駆動骨格
□ 特徴:
・「脚部バネ駆動+律量補正」で超高速の持続走行が可能
・四足形態での安定走行と、二足形態での跳躍・戦闘動作が切り替え可能
・搭乗者の律量波に同調するため、慣れない者は制御が難しい(ユウキが酔ったのはこれが原因)
・装甲は軽量合金+律量障壁で、虚禍の侵蝕をある程度抑制
走影は「古代の戦車や騎獣」の文化と「星間戦争の機械文明」とが融合した象徴であり、ギルドや都市の力の象徴でもある。
◆ カップ麺の文化的インパクト
戦争の残骸の中に、密閉された携行食パッケージがあった。これを偶然食べた学者が驚嘆し、以降「熱湯を注ぐだけで完成する食品」として模倣研究が進められることになる。
ただし、当初は再現技術が未熟で「スープが爆発する」「謎の粘液になる」といった惨状も多かった。数百年の研究と改良を経て、現在では街の屋台や商会で当たり前のように売られる“庶民の味”として定着。
——実は、この再現技術の着想を決定的に後押ししたのはアリシアだった。
記憶を失ったユウキが「俺の世界にあった食べ物」として語った「カップ麺」を彼女が研究者に伝えたことで、技術的模倣の方向性が定まったのである。つまり、ユウキのぼやきが現代の食文化を変えてしまったのだ。
現在では各地にご当地カップ麺が存在し、戦場の兵士もギルドの冒険者も、出撃前に「腹ごしらえ」としてカップ麺をすするのが定番。走影の鞍には専用ホルダーまで取り付けられている例があるという。