貴様の分を寄越せ、と
名前で既に運命が分かる人物が現れます。
そんな訳で、用意していたカンペとレイの助けを借りながら、招待客を主宰者として歓迎の挨拶をしていた。
それと、レイも一緒だから、招待客も察していた貴族もいた。
パーティー会場では、かなり盛り上がっていて、黄金竜のビーフストロガノフならぬ、ドラゴンストロガノフや、青角牛の華細工ベーコンの置き場所で騒ぎが聞こえる。
後、あの「果実」は、入って来た時に、当主と夫人に「先ずは、この果実で喉を潤わしてください」と食べさせた。
まあ、当然、「もっと食べさせろ!」と言ってくる人が居るが、きちんと「お一人様一切れです」と断っている。
が、それでも「寄越せ!」と、言ってくる馬鹿には「では、王族の方々が来られた時の分ならございますが、それでよろしいでしょうか?」と聞くと諦めるみたいだ。
王族や公爵でさえ、一切れしか食べれないのだから、無理は言えないよな。
まあ、王族は多分来ないだろうが、万が一来た時に、王族の分が無くて「王族の分を食べたのはあいつです!」と、言われたくないよな。
リアンベルさん、いや、アークレイド女公爵様に婿養子のラーハルトさんが来た時も、新参の子爵家当主としてきちんと挨拶をした。
勿論、アレを食べて詰め寄られた。
他の貴族と同じくお断りしたけど、「お土産の箱に3個隠してあります」と書いた切れ端を渡した。
リアンベルさんは気付いてくれた。
一応、お土産に「差」を付けたから、お土産には名前を書いたカードを付けている。
これなら大丈夫な筈だ。
リアンベルさんが来た後に直ぐに国王も来たのは俺も含めてリアンベルさんと宰相以外の全員が驚いた。
因みに、王族用の「果実」は、半分だ。
一応は差別しないとな。
後、来た理由が、ソフィア王女の命を救った恩人だからと言っていた。
まあ、主宰者が子爵家とはいえ、国王が来る理由としては、まあ、許容範囲だな。
そして、国王が来た後に、謁見の間で文句を言ったハゲ侯爵が義務上仕方なく招待状を送ったのだが、まるで自分が「主役だ!」と言わんばかりに来やがった。
あの作品がお気に入りの俺としては、リスペクトから、都合良く同じ流れになった時に、国王を特攻させた。
ただ、現実だから、もっと追い詰められていて、「ざまぁ!」だと思ったな。
「その水晶の洋杯をもっと寄越せ!」
「申し訳ありません。私としても、一家に2つが限界でして……」
「そんな事は知らん! それなら、万が一の為の予備が有るだろう。それを寄越せ! 儂が有効利用してやる。 下の者は、上の者に従え!」
「それなら、国王は、貴様に命令が出来るな。貴様の分を寄越せ、と」
「誰だ! 儂に向って命令する……のは……」
「何だ、文句があるのか?」
「こ、国王陛下!?」
「ソフィア王女の命の恩人だから来たのだが、ターヌキ=バタカ=ザタマァサレル侯爵は、いつも、その様な上位貴族らしからぬ言動をしておるのか?」
「め、めめ滅相もございません!」
「では、先程の物言いは何だ?」
「それはその……」
「全員、目を瞑れ。これは命令だ。但し、宰相だけは目を開けていろ」
国王陛下に「命令だ」と言われた以上は、目を瞑るしかないな。
「この中で、ザタマァサレル侯爵に何らかの被害を受けた者は、静かに挙手しろ」
何人か挙手したのを、探知系や空気の流れから感じた。
「うむ。宰相よ、挙手した者を記録せよ」
「はい」
ちょっと待っていると宰相が「終わりました」と言ってきて、国王陛下が言った。
「手を下げて良い。全員、目を開けよ」
「……」
ザタマァサレル侯爵は、目が泳ぎ、冷や汗を掻いていた。
「……ザタマァサレル侯爵よ」
「は、はい!」
「先程の挙手した者達から聞き取り後に、王城に召喚する」
「……畏まりました」
……ハゲ侯爵、ざまぁ!
そして、ハゲ侯爵は退場すると、リアンベルさんが「来い来い」を俺とレイにした。
行くと、俺がお披露目会の開催を言った場所に3人で行き、アークレイド女公爵が宣言した。
「私アークレイド公爵から皆さんにお報せがあります。私の娘レイサリア=フォン=アークレイドとライザック=フォン=アークレイド子爵が、正式に婚約した事を発表します」
勿論、挨拶の時に気付かなかった馬鹿は、驚いていたが、気付いた皆さんからは、温かい拍手を頂いた。
周りを見ると、俺とレイの婚約を喜んでいる者達や、悔しがっている者達が居た。
ダンジョン機能の1つに支配領域内の録画再生が出来るから後で確認しよう。
そして、この婚約報告が凶行に走る者の原因となった。
「そんな婚約、認めるかー!」
暴言を吐いたアレは、当主の突然の事故死で新しく当主になった学園時代の1年先輩のタアホー=キヌタ=アキテウキマ伯爵だ。
勘違い馬鹿で、レイのストーカー野郎だ!
アキテウキマ伯爵は、懐から出した短剣を抜き、俺に向って「命、取ったらー!」みたいに突っ込んで来た。
ザシュ!
「取ったー!」
「何か、したのか?」
「ば、バカな!? 確かに手応えが……」
バカが短剣で刺したのは、「箱」から出したブロック肉にしたオーク肉だ。
バカが確認する瞬間の隙を突き、左足の前蹴りでぶっ飛ばした。
「ぐばぁ……」
勿論、鮮度が下がるから直ぐにオーク肉を「箱」に仕舞う。
「ガイ、拘束しろ」
「は!」
館内警備員として居たガイに言った。
まあ、ガイも分かっているから、演技上の返事をしてバカを拘束した。
普通なら、被害者が子爵で、加害者が伯爵だと、被害者が泣き寝入りする事になるのだが、今回は……
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