……ありがたき幸せ
ついに主人公に正式に爵位が!
特にバイオレンスやラブなイベントが起きる事無く、俺達は王都に到着した。
勿論、ソフィア王女殿下が居るから貴族用の出入り口を使い早く通る事が出来た。
闇ギルドの暗殺者共は、残念ながら王城まで一緒に行く事になっている。
理由は言うまでも無いだろう。
さて、王城に宿泊と言う名の軟禁されて15日経過したが、やっと全ての処理が終わったみたいで、謁見の間に呼ばれた。
図書室の利用許可が降りなかったら地獄だ。
招待を受けたのは俺とレイだけで、全員がぞろぞろ行く訳にもいかないしな。
「さて。今回、ソフィア王女の暗殺という由々しき事態になったが、無事に終わった事を宣言する」
「「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」」
国王陛下が、右手を掲げて静かにさせた。
そして、事の顛末を話した後……
「そこで、今回の事態に於いて功績を上げた者に褒賞を与える」
最初に名前が挙がったのが、総指揮を取ったという名目で王太子が。
次に、その王太子を補佐したという事で宰相が。
そんな感じで王族派に褒賞を挙げていき、最後に呼ばれたのが俺だった。
「必要な証言や証拠を集め、生き証人を用意し、ソフィア王女を守った功績は大きい。
因って、ライザック=フォン=アークレイドに子爵の爵位を授け、王家直轄地のアルファロードを領地として授けるものとする」
「「「「「「「「おおー!!!」」」」」」」」
「お待ちください!」
「何だ、いきなり。
ターヌキ=バタカ=タザマァサレル侯爵」
「国王陛下に申し上げます。あの者は元は平民です。そんな元平民にいきなり子爵位や領地は過ぎた褒賞だと愚考いたします」
「つまり、ソフィア王女の命は、子爵位や与える領地よりも軽いと?」
「め、滅相もございません!」
「ならば、反対する事は無いな?」
「勿論でございます!」
「他に反対の者は居らんな?」
「……」
「では、ライザック=フォン=アークレイドに子爵位と領地を与えるものとする」
「……ありがたき幸せ」
……断れる訳無いじゃん!
リアンベルさんも、呼ばれていたみたいで「うんうん」と、聞こえるみたいに強く頷いているし!
そして、文句を言ったハゲ侯爵は俺を睨んでから所定の位置に戻った。
「これにて、終了とする!」
謁見の間から出ると、メイドが「別室にご案内いたします」と言うから付いて行くと、王城から王宮に移動して、何処かの部屋に通された。
ちょっと待っているとリアンベルさんとレイも入って来て、更に待っていると国王陛下と宰相が入って来た。
「待たせたな。それと、この場は非公式だ」
「「「はい」」」
「さて。やっと表立って子爵位と領地を渡せるな」
「しかし、いきなり男爵位を超え子爵位はやり過ぎだと思いますが?」
「構わん。他国とはいえ、侯爵の地位に就く者が手を焼く大盗賊団を壊滅させ、白金貨900枚以上を10日程度で稼ぐ者に、男爵位など小さ過ぎる」
「ちょっと待て、国王!」
「ど、どうした宰相」
「儂は、アークレイド女公爵様のご機嫌取りだと聞いていたが、大盗賊団を壊滅とか白金貨900枚を稼いだなどと初耳だが?」
「……リアンベル、良いか?」
「仕方無いですね。いずれ露見するでしょうが、それまでは他言無用でお願いしますね」
「勿論です、アークレイド女公爵様」
「レイ」
「……はい」
レイは、首のスカーフを外した。
「……奴隷紋!?」
「娘のレイサリアは、ライザックを迎えに行く道中で騙され奴隷に堕とされました。そして、他国でオークションに掛けられて、白金貨900枚で買ったのが、ライザックです」
レイは、素早くスカーフを首に巻く。
「……そうだったのですか」
「そういう事だ、宰相」
「……ちょっと待て! もしかして最近、魔石の流通が大増加したのは……」
「聞く必要がありますか、宰相様」
「ライザック君、君か……」
その後は雑談に入り、ある程度時間が来ると、お開きになり必要な手続きをして、俺達は王城を後にしてリアンベルさんの王都の屋敷に泊まった。
明日は、俺が引き継ぐ王都での屋敷に案内される予定だが、どんな屋敷だ?
後、新しく爵位と領地を授かった貴族は、6ヶ月以内に王都の屋敷でお披露目会をしないといけないらしい。
とりあえず、リアンベルさんから屋敷の管理に必要な執事とかは1年貸してくれるみたいだから、その1年間で必要な人員を揃える様に言われた。
……要職は人化スキル持ちのダンジョンモンスターにやらせて、メイドとか下働きとかは募集しようかな。
後、ちょっと掃除もしておこうかな?
???side
「またしてもか!」
「しかし、あの者は誰だ?」
「先に調べていた者からの連絡が途絶えていたのが最近判明した」
「真剣に調べる必要があるな」
「そうだな。闇ギルドに連絡を入れておく」
「ああ、頼む」
「それにしても、どうする?」
「計画がかなり遅延しているぞ!」
「大幅な見直しは確定だな」
「ああ、そうだな」
「それなら、あの『計画』を先にやるか?」
「……そうだな。問題は無い」
「分かった。準備を進めておこう」
「皆の者。我らが悲願を!」
「そうだ! 我らが魔王『破壊の魔皇』様の封印を解き、この汚れた世界を、破壊の力で浄化して頂くのだ!」
何処かの場所で、黒いフードを被った者達の会合が今日も行われていた。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




