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申し訳ありません!

出来る人が居ると、主人公は暇になります。


この話から、いつもの午後9時からになります。

 地下に設置されている個室はヒンヤリしていて、匂いと硬いベッドを除けば意外と良かった。

 当然、洗浄クリーンを使った。


 ……まあ、声が届く場所に居るキサラをなだめるのはちょっと苦労したがな。


 取り調べは勿論、全否定となり平行線のまま終わった。

 理由は、助けた女が気絶したままだったからで、そんな訳で宿屋に連絡が取れず無断外泊となった。


 そして今は多分朝なんだろうと思っていると、騒がしくなり衛兵が慌てている様子で近付き鍵を開けた。


「申し訳ありません!」

「どういう事だ?」

「貴方様が辺境伯様の御令嬢を救ったにも関わらず、この様な場所に拘束して申し訳ありません!」

「……はい?」


 アレ、辺境伯の御令嬢?


 はあ、テンプレかよ。


 当然、俺達を捕えた衛兵の首が物理的に切られる騒ぎになったが、俺が許す事で収まり、「本当に良いのですか?」と聞いてくる御令嬢に「はい」と答えて辺境伯が居る領主館に向かった。


 ……いやな、お前がさっさと目覚めれば、こんな事にならずに済んだ事だからな。


 領主館に到着して、待つ事1時間後に御令嬢の父親である辺境伯と執事らしき爺さんに御令嬢が応接室に入り、お互いの自己紹介を済ました。


「娘エミリーナを危ない所を助けてくれて心から感謝する」

「いえ、たまたま近くを通りかかっただけだから……」

「それでも、助けた事実は変わらん」

「お父様、彼、とっても強いのよ」

「ほう」


 あ、馬鹿。


「ライ殿。エミリーナを救ってくれた恩人に言うにはいささか心苦しいがお願いしたい事があるがよろしいかな?」

「……はい」


 結局、辺境伯と模擬戦をする事になり、中庭に移動してルールを決めて試合開始だ。


「……うむ。エミリーナが言うだけはある」

「どうも」


 試合開始から3分程過ぎた辺りまでけるばかりしていたら、距離を開けた時に、そんな事を言われた。


「だが! これはどうかな?」


 何か、大技を使う様な台詞せりふを言うと剣を振り上げだ瞬間……


「止めなさい!」


 凛とした声が中庭に響いたと思ったら、大人の女性が現れたよ。


「私は禁止した筈ですが?」

「いや、エミリーナを助けた恩人の実力を確かめる為にだな……」

「言い訳は無用です!」

「はいっ!」


 外見の欠点が全く無い大人の女性が、笑顔で俺に近付いた。


 ……正直、笑顔が滅茶苦茶怖ぇよ!


「ごめんなさいね。主人には後でキツく言い聞かせますから。」

「あ、はい」


 奥さんでしたー!


「それと……」


 大人の女性、もとい辺境伯の奥さんが、そう言うと、先程の執事が小袋をトレイに乗せて俺の前に出した。


「エミリーナを助けてくれたお礼よ。」

「ありがたく頂戴します」


 素直に受け取るのは、アークレイド公爵家に居た時に学習済みで、小袋をマジックバッグに見せ掛けたポーチに仕舞う。

 因みに、小袋の中身は大金貨5枚入っていたが、口止め料込みだな。


「お礼を渡して終わりという訳にはいかないのよ。一泊で良いから2人には泊まって欲しいのだけど良いかしら?」

「分かりました」

「良かったわ」


 こうして、奥さん「カタリーナ」さんが、辺境伯の首の襟を掴み引きずって退場していた。

 辺境伯に、すがる様な顔をされたが、視線を逸した。


 ……辺境伯、死ぬな!


 暇になったから、執事さんに宿屋の事をお願いして、与えられた部屋で魔力操作と魔力制御の鍛錬をしていると、夕食の時間になり、現れた辺境伯とカタリーナ夫人と青年1人とエミリーナが居たが、辺境伯の顔には青痣と目の下の隈が出来ていて、カタリーナ夫人は、肌が艶っ々だった。


 ……カタリーナ夫人、まだ現役なんですね。


 食事のマナーは、リアンベルさんは厳しかったとだけ言っておこう。


 夕食の場で改めて辺境伯の家族を紹介された。

 第1夫人カタリーナさんの長男のオスカー(21歳)に、次女であるエミリーナ(17歳)で、第2夫人とその子供達は、王都に住んでいるらしい。

 それと、カタリーナさんの次男と長女だが、次男は王宮で文官として働き、長女は既に嫁いでいた。


 さて、先程から長男オスカーの様子が可笑しいのだが、まさか、な……


「き、キサラさん!」

「なんじゃ?」

「貴女と結婚を前提にお付き合いをしたい」

「断る」


 バッサリと求婚を切るキサラと、絶望顔をする長男オスカーの対比は笑えた。


「何故ですか?」

「妾は既に仕える者が居る」

「……そうですか。 幾らだ?」

「は!?」

「幾らだと聞いている」


 オスカーが真面目な顔で俺に言った。


「最初に、金銭を聞く時点で答える気は無い」

「何だと!」

「それな……」


 俺が反撃の口撃をしようとしたらカテリーナさんが被せてきた。


「オスカー!」

「は、母上?」

「情けない。どうやら、私の教育がまだ不足していたみたいですね」

「……え!?」


 アレ?

 俺の幾つかの気の利いた口撃が……


「明日からは、オスカーには『笑顔』と言う言葉を思い出せない様にしてあげます」

「……いや、あの……」

「何か?」

「……何でも無いです」


 あの絶望顔、辺境伯にソックリだな。

 キサラはというと、普通に食事を頂いていた。

 俺も、普通に食事を頂いた。


 翌日には領主館を出て、一応の目的地を王都にして出発をした。


 都市から出る乗り合い馬車で移動する事にした俺達は周りの人達と痛む尻を我慢しながら楽しい会話をしていると、急に停まった。


「死にたく無かったら、現金と荷物を全て置いていけ」


 ……盗賊共だった。



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点をお願いします。


カタリーナさんの設定ですが、実は元第4王女で、彼女の一目惚れで婚約が成立しました!

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