当然だが、手紙は生温かった。
本人は「軽く」と思っていますが……
今回は、30階層からの開始にした。
理由は、ガイの装備品を揃える為で、その為に俺達はガイに歩調を合わせた。
「ガイ、危なくなったら助けるから、出来るだけ自力でやってくれ」
「分かった」
たまに、笑えないピンチが何度か有ったが、最終日の10日に何とかガイに俺達と同じユニークシリーズを手に入れる事が出来た。
まあ、延長も出来るけどな。
さて、ガイの装備品は「金獅子の具足」、「金獅子の手甲」、「金獅子の装束」、「金獅子の鎧」、「金獅子の大盾」、「金獅子の戦斧」となった。
勿論、2ランクアップするポーションを使った結果だ。
しかしな、正直、聖○士星○の獅子座の黄○聖衣と勇者ロボ系を参考にし融合した様なデザインだ。
……やっぱり、このダンジョンにはダンジョンマスターが居て、元日本人じゃね?
「なあ、この装備品、別の意味で凄いな」
「ライ○ニング・プ○ズマとか言ってみる?」
「流石に無理だろ、光速拳は」
「実はな、音速拳なら可能なんだ」
「マジ!?」
「マジだ」
俺は魔力を高め自身に重複した付与を施し、左ストレートを放つ。
心の中では、「燃え上がれ、俺の小○宙! ペガ○ス彗○拳!」と叫んだのは秘密だ。
……ドッコーン!
「な!」
俺が左ストレートを放つと、目に見えない塊が俺の左拳から飛び出し、1秒遅れで突風が吹き荒れ不壊の筈のダンジョンの壁に激突して直径2mの拳型のヘコみが出来た。
「……マジかよ」
蛇足だが、この後、レイに正座説教を20分受ける事になった。
レイが怒った理由は、突風で転けて、タンコブが出来る程に頭を強く打ったからだろう。
それに涙目だったしな。
……これで、このダンジョンでやるべき最低限は終わった所で、キサラ達のおやつ分を残して、回収した魔石は全てサナに平らげて貰い、ダンジョンを脱出して転移扉で我が家に帰った。
「お帰りなさいませ、ライ様」
「ただいま、ローラに、皆」
「ライ様、アークレイド女公爵様から御手紙が届いております」
「分かった」
そう言ったら、何故か、ローラは自分の仕事着の胸の上部のボタンを外して、胸の谷間から手紙を出した。
……何処で、そのネタを知った!?
当然だが、手紙は生温かった。
自室で手紙を読むと、たまたま登城していたリアンベルさんに次期王太子のアーサー殿下が近衛騎士と模擬戦させたいから、俺に王城に来る様に言われたみたいだ。
……多分、あの時の模擬戦を何処かで聞いたのだろうと予測出来るな。
まあ、養子で継承権も無いが、書類上は貴族の令息だから義務を果たすか。
リアンベルさんに、承諾した事を転移扉で直接伝えに行くと、今回の経緯を教えてくれた。
どうやら、俺の予想は当たっていたみたいで、俺がした模擬戦を知ってアーサー殿下が見てみたいと言い出した、との事らしい。
「別に、命令に従う義務や義理は無いけど、どうするライ?」
「まあ、必要以上に溝を作る理由も無いしな」
「ありがとう、ライ。出発は5日後よ」
「分かったよ、リアンベルさん」
「所で、レイとは何か変化があった?」
俺は、レイとの混浴を思い出して顔を赤くなるのを自覚しながら答えた。
「と、特に無いよ」
「ふ~ん。そうなの」
リアンベルさんが「にや~」と笑顔になった。
……ヤバい、逃げよう。
「じゃあ、また」
「ちょっと、ライ……」
リアンベルさんが何か言っていたけど、無視して俺は転移扉で帰った。
この5日間は、レイ達と模擬戦をしたり、ローラ達と新作の研究をしたりしたが、ラピスのドジで、研究中の生クリームがローラ達に掛かった事件が有った。
ローラ達は怒ったが、俺とガイが庇った。
その後の俺とガイは、下心からラピスを優しく慰めたのは言うまでもない。
最後に、最近構ってやれなかったサラに夕食以降は散々巻き付かれ、風呂同伴だけは何とか防いだ。
5日後、リアンベルさんと俺達は、公爵家の馬車で王都に向かったのだが、リアンベルさんが乗っている馬車には俺とキサラとレイとサリアしか乗っていない。
他の皆は、2台目の馬車に乗っている。
「リアンベルさん、俺やレイに何か伝えたい事が有るのか?」
「勿論よ。先ずはアーサー殿下なんだけど、ライ達は知っている?」
「優秀だと聞いている」
「それに、私利私欲に走らず公明正大だとも聞いているわ」
「どちらも正解よ。ただ、ジュセレを交えての模擬戦だけは違うのよ」
「どう違うんだ?」
「簡単に言えば、傲岸不遜になるわ」
「つまりは?」
「ライ、頑張ってね」
「最終的には、俺対アーサー殿下になる訳か」
「そういう事よ」
公爵家の馬車の為に、2日で到着する距離を4日掛かった。
王都の公爵家に到着した俺達は、久しぶりに長女のルーシュと再会した。
「レイ!?」
「ルーシュ姉さん!」
「久しぶりね、レイ」
「ルーシュ姉さん、久しぶり。それで今日はどうしたの?」
「お母様から手紙が来たのよ。それにはレイが王都に来るって」
「都合良く重なったからよ」
「そうなんだ」
「それより、そんな無粋なスカーフを取……」
「ダメ!」
レイの首からスカーフを滑り落ちた。
「こ、これは奴隷紋!?」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




