閑話~淑女達の憂鬱
蛇足的な補足文ですね。
次話も同時投稿済みです。
リンside
昔は違った名前だったけど、今の私の名前は「リン」になります。
母は私が小さい頃に病死して、私はお父さんに育てられたわ。
そんなお父さんは、Cランク冒険者で、よく家を空ける事が多くて寂しかったけど、冒険者という仕事を理解していたし、誇りに思っていたから我慢してお父さんの親友のエンリケさんの家で、そういう日はお世話になったわ。
そんなある日に、最近見掛ける様になった冒険者パーティーに臨時参加を求められた私は、勉強だと思って承諾したけど、まさか、人身売買と繋がりが有るなんて思わなかったわ!
そして、結局は奴隷に堕とされたけど、隙きを突いて逃げようとした所を、あいつらに重傷を負わされ、寄って来たモンスターに襲われたわ。
その後は、必死に抵抗していてあまり覚えていないけど、お父さんの親友のエンリケさんを見た後は覚えていないわ。
そして、気が付いたら暗い場所に居て動けない私に、エンリケさんが言ったの。
「僅かだが、希望が有る。耐えてくれ」
だから耐えていると、何故か少年が現れて、私の前に来て、エンリケさんから説明を聞いたら、その少年が私を買うと言ったのよ!
信じられないわ!
私、死に掛けているのよ。
私の身体だもん。
今の私の状態は私が1番良く知っているわ!
それなのに……
そして、少年は、私があの時に喪った全てを取り戻してくれた。
……決めた!
立場は奴隷だけど、それ以上の忠誠をライ様に誓うわ。
私の全てはライ様に委ね、私の未来はライ様に捧げよう。
その後、お父さんが帰って来て色々有ったけど、ライ様が「お父さんに甘えて来い」と命令して頂けたから我慢していた分、目一杯甘えちゃった。
最後の朝、お父さんがとんでもない事を言ってくれたわ。
「孫の顔を見せに来るのを待っているからな」
もう!
私、奴隷なのよ。
そんなの無理に決まっているわよ。
……でも、そんな幸せな未来が有っても良いかもしれないわね。
勿論、その時、隣に居るのは……
さあ、私の新しい人生が始まるわ!
喫茶店店長テリーヌside
私は奴隷だけど、私を買ってくださった御主人様の恩情から、両親から貰った大切な名前を私の新しい名前として頂きました。
そして、私が奴隷になった理由は、男爵家の両親が騙されて借金を背負わされたから。
下には、まだ9歳のマリーナや7歳のセインが居るわ。
だから、私が奴隷になる事で手に入るお金で借金は返せたわ。
ハッキリ言って男爵位なんて、ちょっと成功した商家ぐらいの財力しか無いのよ!
マリー、セイン。
大丈夫よ。
私、貴方達ぐらいの時から、生活費を稼ぐ為に居酒屋で働いていたんだから。
だから、……泣かないで。
お姉ちゃん、頑張るから!
……でも、幾ら居酒屋で働いていたからって、いきなり喫茶店の店長をやらされるし、幾ら普段は2階に居るとはいえ、何故、男爵位の小娘が、元とはいえ天上の存在である伯爵令嬢や公爵令嬢、終いには王女殿下までを!
私が! 色々と! 言わない! と、いけないの?
奴隷である私がそう心の中で思っても言えない訳で、内心を隠して笑顔で「やります!」と言ってやったわ!
……まあ、結果だけ言えば、御主人様である「ライ様」に惚れちゃったから頑張るんだけどね。
救いは、王女殿下達も同志だという事。
私達には差し障りない事なら、かなり言動の自由を頂いているから、今日も仕事が終わった後、マリーやセインに手紙を書いている。
ライ様をどうやって堕とすかを考えながら。
喫茶店の双子の歌手カナside
私の名前は、奴隷になってカナ。
出身は、田舎の村で農家。
歌が上手いから、唄って小遣い稼ぎをしていたら、両親が食い付いて本格的に「歌」で生活費を稼ごうとしたけど、ちょっと歌が上手い程度では纏まった稼ぎになる訳もなく、最初に借りたお金も返せず、怒り狂った父さんにマナと一緒に右腕を切断されて奴隷にされた。
妹のマナと励まし合い毎日を過ごしていると、少年が来て私達双子を買ったわ。
……そして、信じられない事に私とマナの右腕は元通りになったの!
その後は、御主人様、いえ、ライ様の喫茶店で歌姫として働いています。
たまに、ライ様から新しい歌を教わって喫茶店で披露しているのだけど、ライ様は何処から新しい歌を手に入れているのかしら?
今日も、私とマナは喫茶店で歌う。
勿論、同じ様な境遇の左足が無かったアリーもライ様に治して頂いて楽器演奏をする為に、一緒にステージに居るわ。
……今日は、黒い服を着た女の子と、白い服を着た女の子と、黄色の髪の女の子の日常を謳歌し困難に立ち向かう歌を唄おうかしら。
それとも、水晶の姫がヒロインで、母を慕う王子の冒険活劇の歌を唄おうかしら?
それとも、たまには荒々しく、極限を超えた鍛錬に因って全ての敵を一撃で粉砕する元一般人の頭髪と眉毛が無い隠れた孤独な英雄を称える歌を唄おうかしら?
エリside
私はエリ。アークレイド公爵領の片隅に存在する村の出身で、メイ、マイ、リラとは年の差が3歳も離れていない幼馴染みよ。
私達には才能が有ったみたいで、冒険者として成功して女性だけのパーティーで、Bランク冒険者にまでなったわ。
そして、ある日に指名依頼が入ったのよ!
なんと、あのアークレイド女公爵様からで、令嬢の1人のレイサリアお嬢様の護衛が仕事よ。
報酬も破格だし、護衛対象が同性だから身の危険も無い事から受けたわ。
護衛対象のレイサリアお嬢様は、貴族にありがちな傲慢な所もなく、優しくて気立ても良くて、しかも冒険者としての知識や技術も修得済みでEランク冒険者でもあったわ。
何でも、あのSランク冒険者の「雷翔姫サラ」様から直接指導を受けたとか。
……羨ましい!
そして、レイサリアお嬢様の旅の目的は、国外に旅立った友人を見つける為みたいで、そんな宛ての無い旅は無理だと思っていたけど、どうやらレイサリアお嬢様にだけは旅立った方角だけは教えていたみたいで、その方角「東」に向かう事になったわ。
正直、私達に妹が出来たみたいで、護衛というよりも妹に付いて来た姉みたいになっていった。
そのお陰で、その友人が誰で、どんな想いを抱いているか知ったわ。
是非、妹の恋路を実らせるべく、私達は旅をしながら私達が教えられる事は全て教えたわ!
そして、レイはジュセレと共に単独でトロールを倒せる様になったし、盗賊も処理出来る様になったわ。
まあ、流石に盗賊の処理はキツかったみたいで数日間引き籠もっていたけど。
そんなある日に、食堂で食べていると、知らない女が近付いて来たから警戒していたけど、今思えば向こうの方が上手だったのね。
すっかり警戒心を解かれて、勧められるまま飲んでしまい、気付けば奴隷環が私達の首に填められていたわ。
レイの首にも……
私達とレイは、別々の奴隷商に引き取られ、レイの安否を心配していたある日に、私達は腐った貴族に買われ、身体は穢され、飽きたら部下に与えられ、そこでも部下の獣欲に汚されたわ。
部下にさえ飽きられると、再び奴隷商に売られ、今度は、Bランク冒険者パーティーに買われ、また身体を……
そして、強力なモンスターに遭遇した時、私達を肉壁にして逃げたわ。
私達は、身体中を傷だらけになりながら必死に抵抗した後の記憶は無かった。
気が付いたら、私とメイだけがまた何処かの奴隷館にいた。
何故、私とメイが生きて奴隷館に居るのか聞いても、その事を教えない条件で格安で購入したから教えないと言われたわ。
もしかして、マイとリラは……
いいえ、まだ諦めるのはまだ早いわ!
私達が生きているんだもん。
あの2人もきっと……
そんなある日に、私達を買う人が現れたわ。
……そして、私達はレイと再会した。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




