私達の勝ちよ!
色々と調べたり考えた結果、この「名前」になりました。
冒険者ギルドを後にした俺達は、南西の森に行く途中で、例のペンダントを俺なりに調べたが、装着者に害になる付与等は無かった。
……念の為に、適当に召喚した人型モンスターに装着させたが、特に異常は無かった。
それなら……
「はい、レイ」
「私!?」
「ああ。このメンバーだと、レイが必要だと思うからな」
「分かったわ」
そう言って、レイは俺が出したペンダントを赤い顔をして受け取ったが、こう言った。
「……ライが着けて」
「分かった」
ペンダントを着ける時に、レイの後ろに周り、レイのうなじを見て「ドキッ」としたのは皆にはナイショだ。
「あ、ありがとう、ライ」
「あ、ああ」
変に意識してしまった。
……あ!
「ライ様、場所を弁えて欲しいです」
「どうしたのであります?」
「ワフン」
「ニニャー」
「「……」」
俺達は馬車の外に逃げた。
「「ハァハァ」」
お互いに見つめ合い……
「「……」」
2人同時に声を出した。
「「あははは!」」
……まあ、良いか。
「レイに皆、行こうか」
「うん」
「ワフ!」
「はい、ライ様」
「ニャー!」
「ラピスは、いつでも良いであります!」
南西の森の中に入り、目に付く薬草を採取し、襲い掛かるモンスターを討伐しながら奥へと進むと気配探知てあ魔力探知の両方に反応が出た。
注意しながら静かに接近すると、オーガの変異種が5匹居た。
……確かに、オーガにしては若干小柄だが、それに反して身体は筋肉質で精悍な印象を受ける。
何よりも、オーガの額の角は通常は眉間の上の額辺りに一本生えている筈が、このオーガの角は両目の目尻の上の額辺りに一本ずつ生えている。
更に、外見の色が通常は肌色なんだが、こいつらは、「赤色」だ。
外見の色が変わるだけで、強さが違うのが、この世界のモンスターだ。
色違いだけでも、充分に警戒する必要がある。
「どうする、ライ」
「そうだな……」
ちょっと思案してレイ達に話した。
「先ずは、流石に5匹は多いから3匹は俺の魔法で倒して、俺が1匹を、レイ達がもう1匹を倒すのはどうだ?」
「分かったわ。その作戦で行こう!」
「ワン!」
「異論はありません」
「ニャー!」
「ラピスは頑張るであります」
「よし! じゃあ、行くぞ。烈光槍、九連!」
「「「GaAAAーーー……」」」
頭、胸、腹に、光の上位の魔法攻撃を受けて、変異種のオーガも死に逆らう事も出来ずに倒れた。
……しかし、第6位階魔法の3発で倒れるのなら、大したモンスターじゃないな。
レイside
「ラピス、行って!」
「行くであります!」
ガギン!
「ラピス、そのままお願い!」
「はいであります」
「リンは、首より下の急所狙いで」
「分かりました」
「私は、ラピスと一緒に真正面から行くわ!」
結構、強いわね。
……でも!
ダンジョンの50階層より下のモンスター程じゃないわ。
……行ける!
5分程、攻防を繰り返す中で、リンが必中の一撃を背面から心臓の位置や連続して膝裏に放った事に因って、致命的な隙が生まれた。
「今よ! 破!」
「GaAAAーーー……」
私の回転しながらの一撃で、変異種のオーガの首を斬り、オーガの頭が地に落ちた。
「私達の勝ちよ!」
「やりましたね、レイ」
「リンのお陰よ」
「ラピスは、であります」
「勿論、ラピスが頑張ったお陰よ」
「嬉しいであります!」
「当然、サリアやクロも頑張ったわ」
「ワフン!」
「ニャー!」
……何か、サリアやクロの表情や仕草が、人族みたいに感じる時があるわね。
ライside
「おー、勝ったか」
俺は、「素」の状態で、変異種のオーガの攻撃を避けていた。
そして、レイ達が勝利したのを確認すると、オーガの両膝を瞬間的に魔力強化した蹴りで逆に曲げさせ、両膝を地に突けた所を貫き手を放ち、オーガの首を刺し貫いた。
「Ga! Aa……」
そして、オーガの断末魔が聞こえた瞬間、世界の終わりかの様な終末的な重威圧と死神の鎌の様な死の戦慄が俺達を襲った。
「ぐ……」
「きゃ……」
「な……」
「ありま……」
「キャ……」
「ニャ……」
……辛うじて立っているのは俺だけか。
「お見事」
賛美の言葉と拍手をしながら現れたのは、恐ろしい程の美貌を持つ紅髪朱眼で金糸の飾り刺繍が入った、場に不似合いな純白のドレスを着ている女性だった。
「な、何者だ?」
俺が感知しなかった、だと!?
「初めまして。どうやら、この場に於いて私の存在に耐えられたのは1人だけみたいね。
私の名前は『シャナル=ペサディーラ』よ」
……何処かで聞いた様な気がする。
「「あ!?」」
思い出した!
「あら、2人は博識ね」
「思い出したぞ」
「思い出したわ」
「解答をどうぞ」
……出来れば正解であって欲しくない!
何故なら、俺達全員の「絶対の死」を意味するからだ。
「ろ、悪夢の魔皇」
「正解よ」
「「……」」
「ま、まさか、こんな所で、この世界の全ての魔王の頂点に立つ最恐にして最強の魔皇に会えるとは思わなかったな」
「あら、当然よ。あの変異種のオーガは貴方を釣る為のエサですもの」
「え!」
レイが俺の代わりに応えた。
「何故、ライを?」
「私が、個人的に私の居城から出るのは、将来に於いて『悪夢の魔皇』である私と互角になれる可能性が有る存在に会いに行く時だけだからよ」
「光栄です、と答えた方が良いのか?」
「なんでも良いわ。それよりも……」
魔皇は、俺達1人1人をじっくり視て回った。
「……面白いわ! なんて数奇な運命なの!」
「どういう事だ?」
「こんな面白い事を話せる訳ないわ! でも、私を楽しめたご褒美をあげなくちゃね」
「ご褒美?」
「そうよ。そうねぇ、ご褒美の内容は……」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




