……ライの馬鹿!
ストーカー、駄目、絶対!
俺が選んだのは……
「このスキルの書『鍛冶師』にする」
「それで良いのか?」
「ああ」
国王の案内で、俺達は宝物庫と王宮を繋ぐ通路を歩いている。
「先程は済まなかった」
「別に構わないが、もう2度と、クリフォード侯爵相手に善意で動く事は無い」
「まあ、そうであろうな」
途中でメイドさんが代わり、王城の一般用通路を歩いている。
……開放されたー!
やっと王城から出れた!
そして、俺はある決意から王都の冒険者ギルドに向かった。
「近辺にダンジョンが有るか?」
「はい。王都の東門から北東に進みますと巨岩がございますから、それが目印になります」
「分かった」
冒険者ギルドを出た俺達は、東門から北東に進み巨岩を見つけ近くまで行くと、ダンジョンが有った。
俺達は、都市リザラルトのダンジョンと同じ様に下の階層へと攻略を進め、第31階層に到着した。
因みに、第30階層のボスはワーウルフ3匹と、死霊騎士2体と、リッチ1体だった。
流石に此処まで来ると、他の冒険者の気配は無いな。
「ちょっと、憂さ晴らしするから待っててくれないか?」
「構わないのじゃ」
「いいよ」
「ワン!」
「ご存分に暴れてください、ライ様」
「ニャー」
「どうぞーであります」
「ありがとうな」
先頭は俺で、5m後ろをキサラ、そこから更に10m後ろにレイ達が歩いている。
そして、発見&強襲のダンジョンモンスターが、俺に気付くと襲って来た。
「第4位階魔法の雷槍、八連! 第5位階魔法の光槍、八連! 同じく第5位階魔法の闇槍、ハ連!」
身体の温まって来た所で更に!
「第6位階魔法の烈光槍、ハ連! 同じく第6位階魔法の漆黒槍、ハ連! 第7位階魔法の重力弾、ハ連! 雑魚を蹴散らせ! 第8位階魔法の白炎爆裂!」
調子が乗って来たー!
「羽撃け! 第9位階魔法の紅蓮不死鳥! 打ち降ろせ! 第9位階魔法の雷霆鎚!」
お、ダークオーガ3匹を発見!
「第4位階魔法の身体強化上昇3倍!」
「GaAAAーーー!」
「おらー!」
只今、ライは4m近くのダークオーガ3匹を相手に肉弾戦を繰り広げています。
「止めだ、キサラ!」
俺が、そう叫び左腕を水平に伸ばすと、俺の手には紅い刀が握られていた。
そして……
「疾っ!」
ダークオーガ3匹は、断末魔を叫ぶ事もなく魔石に変わった。
俺の手に握られた紅い刀は消え、キサラの勝鬨の声がダンジョンに響いた。
「ライが、勝ったのじゃー!」
「スッキリしたー!」
レイ達にお願いして、俺が倒したダンジョンモンスターの魔石を拾って貰い、俺が2つ目の袋に纏めると、ダンジョンの転移陣で地上に戻り、冒険者ギルドで魔石を1/3を換金した。
残り2/3は、サリアとクロの強化に回した。
勿論、1階層から30階層までの無難な魔石は換金して、31階層からはサリアとクロ用にした。
それでも、白金貨28枚になった。
明日は、レイ達の気分転換に付き合う予定だから、王都の最高級の宿屋に泊まった。
白金貨1枚見せたら笑顔で手続きをしてくれたよ。
「ライ、ダンジョンの事だけど……」
夕食やお風呂も終わって、後は寝るだけの時に、レイが聞いて来たから、遮音の魔法を放つ。
「何、レイ」
「ダンジョンで、当たり前の様に第5位階以上の魔法を放っていたよね?」
「ああ」
「アッサリ認めたー!」
「別に隠す必要は無いだろ。特にレイには」
「……ライの馬鹿!」
何故か、当たり前の事を答えたら、レイが真っ赤になって「馬鹿」と言われた。
……解せぬ。
翌日は、お洒落をしたレイ&サリアと、リン&クロと一緒に両手に花デートをした。
まあ、俺の後ろにはキサラが居るがな。
「ライ、アレが欲しい」
「分かった」
「ライ様、アレが欲しいです」
「アレだな」
「ワン!」
「コレか?」
「ワフ」
「ニャー」
「ソレ?」
「ニャン!」
そして、後ろから誰かをナンパしている声が聞こえて、ハッキリ断る返事が聞こえると、逆上する2人の声が聞こえたら、2人分の身体が倒れる音がした。
そして……
「これだけなのかじゃ? 時化ておるのじゃ」
更に……
「親父、それ5本買うのじゃ」
「まいど!」
どうやら後ろの誰かは、買食いは自力で出来ているみたいだな。
最近になってやっと、少しは食事が美味しく感じる様になったみたいだ。
また、白金貨2桁の買い物を済ますと宿屋に戻る事にした。
翌日の夜明け前にチェックアウトし、王都を出ると人化を解いたラピスに乗って都市リザラルトの手前に到着した。
「ただいまー」
「「「「「「お帰りなさいませ、ライ様!」」」」」」
「後、悪いけど旅は無しな」
「「「「「「分かりました!」」」」」」
とりあえず、5日はゴロゴロしよう。
……と、思っていたのに!
3日後
「ライ君、やはり諦められない。是非、我が近衛騎士団に入団して欲しい!」
外では、そんな事を言っている馬鹿が居る。
そして、出入り口は全て閉めて結界を張り誰も入れない様にした。
「ライ、どうする?」
「……全員でシバァザードに帰ろう」
「ライ様の故郷ですか!」
「ああ。それで、この国から離れたくない者は居るか?」
「ライ様、それ、本気で言ってます?」
「え!」
「聞くまでもなく、全員がライ様に付いて行きますから!」
奴隷達、全員が若干不機嫌気味に頷いた。
「わ、分かった」
奴隷全員の意思確認が済んだ俺は、次は、エルフ3人娘に聞いた。
「正直、行きたいのは山々だけど、多分無理」
「分かった。それなら、私物を纏めてくれ」
30分後に、エマナが居るエリフの森に転移扉で移動して、エルフ3人娘を返却した。
どうやら、個人の感情ではどうする事も出来ない事情が有るみたいだ。
代わりに、エマナから「友好の証」を貰った。
これが有れば、大抵のエルフは、友好的に接してくれるらしい。
エルフの村全員に別れの挨拶をして転移扉で帰った。
「またな!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




