ところで、本当に男爵位は要らないのか?
国王が自国の事を知るのに、障害が無いのは普通ですよね?
絶っ対に、面倒臭い事が起きる!
魑魅魍魎、悪鬼羅刹が蔓延る王城なんか行きたくない!
「断る」
「何故だい?」
「逆に聞くが、何故、誘う?」
「どうやら、性根は捻れていたみたいだけど、鍛えていたから、強さはそれなりの筈だ。
しかし、息子達は君達に負けた。是非、我が騎士団に入団して欲しいと思っている」
「それを聞いて尚更だ。断る」
「何故かな?」
「俺は、この自由な冒険者が気に入っているから、規則に縛られた騎士になるつもりは無い」
「……分かったよ」
そう言うと、3人の騎士と喚く馬鹿共が帰って行った。
やっと静かになったと思っていたが、2週間後にイシュトリア王家の印籠付きの手紙が使者と一緒に俺の所に来た。
……マジかよ。
内容は、ガレフ大盗賊団を壊滅した報酬を与えるという内容だった。
完璧な牽強付会だ!
でも、流石に王家が前に出た以上は、行かないといけないよなぁ。
面倒臭ぇ……
使者には、行くと伝えた。
何時までに、とか言ってないが、「可能な限り」が頭に付くのは暗黙の了解だ。
一応、ローラ達には、旅が何時でも出来る様に準備しておけと言ってある。
最悪、シバァザードに帰るか。
4日後、イシュトリア国の王都に到着した。
気分が乗らない為に、途中の盗賊とかがウザいから、前日の夜明け前にラピスに乗って行った。
話が通っていたのか、王都の外周の正門に近付くと、門番が俺達に気付きギルドカードの確認だけで済み、数分後には、王家の紋章付きの馬車が来て、ドナドナされて王城に到着して、メイドに案内されて客室に通された。
「長くて4日になりますが、この部屋でお待ちください」
長くて4日なら、まだ早い対応だな。
空いた時間は、皆で魔力操作や魔力制御の鍛錬をしていると、2日目の午前10時頃にメイドが来た。
「大変お待たせしました。準備が整いましたので、謁見の間にご案内いたします」
「分かった」
ラノベだと、此処で小さい分岐点が発生する。
着ていく服を、冒険者モードか、貴族モードになるが、この異世界は冒険者モードで良いみたいだ。
……今の所は。
謁見の間の扉に到着すると……
「都市リザラルトの英雄が入室します」
誰かが、そう言うと、謁見の間の扉が開く。
リアンベルさんに、鍛えられた俺とレイに死角は無い!
キサラやリンも修得済みだし、ラピスはリンから教わったから最低限はマスターした。
「面を上げよ」
うむ。
玉座に座っているのが国王か。
とりあえず、国王は愚鈍な豚じゃないみたいだし、横に座っている王妃も強欲婆には見えないな。
しかも、更に横には、王子王女まで居るのは何故だ?
向こうの奏上が終わったみたいだな。
「……因って、金一封と男爵の地位を与える」
ちょっと待てや!
今、何て言ったぁ?
「お待ちください!」
「どうした、クリフォード侯爵よ」
あの馬鹿親父、侯爵だったのか!
「約束では、近衛騎士団への入団だった筈です」
「うむ。詳しく調べると、男爵位が相応しいと判断した」
「何と!」
「国王陛下」
「何だ?」
「発言の許可を」
「許可する」
「ありがとうございます、国王陛下」
「言いたい事が有れば申してみよ」
「単刀直入に申します。男爵位を頂くのはお断りいたします」
すると、周りの貴族共が口を挟みだした。
「何と不敬な!」
「卑しい冒険者風情が!」
「国王陛下からの報酬を断るとは!」
他にも、色々と貴族共がピーチク言っていると国王が制した。
「理由は何だ?」
「私は、この国の者ではありません」
「他には?」
「私は、冒険者が気に入っています」
「……分かった」
「国王陛下!」
馬鹿親父のクリフォード侯爵が叫んだ。
次に国王が爆弾を投下した。
「但し、冒険者ライには『竜騎士』の称号を与える。以上で、報酬授与は終了とする」
周りが騒ぐ中、王家一行が退室すると、司会役の多分だけど宰相が言った。
「冒険者ライに仲間達は別室に案内する」
すると、メイドが「こちらです」と言って別室に案内された。
待っていると、国王と王妃と多分だけど宰相とクリフォード侯爵が入って来た。
入ると、自己紹介が始まって、国王は「ゼアリス」で、王妃は「ビクトリア」で、やっぱり宰相だった人は「ゼクト」と言う。
「此処での発言は無礼講とする。さて、話をしようか」
先ず、国王がそう言った。
「それで、謁見の間で言った『竜騎士』の称号とは何だ?」
「竜騎士の称号とは、簡単に言えば国王である儂の所まで来る事が出来る通行証みたいな物だ。
この国は一度滅びた。
何とか復興する事が出来たが、その時に復興後の最初の王を支えたのが、国王の幼馴染みだった竜を友にしていた騎士だ。
それ以降は、竜騎士の称号は「国王の友人」という扱いとして生まれた」
「そうか」
「ところで、本当に男爵は要らないのか?」
「要らないし、断る」
「……分かった」
「待ってください国王陛下! ライ君。本当に男爵位は要らないのかい?」
「何度聞かれても答えは同じで、要らない」
「諦めよ、クリフォード侯爵」
「しかし、国王陛下。これだけの逸材です。
手離すには惜しい人材です」
「無駄だ。ライ君は、雷翔姫の息子だからな」
「「え!?」」
王妃とクリフォード侯爵が、驚いている。
「ちょっと待ってください。今、誰の息子だと言ったのですか?」
「ライ君は、雷翔姫サラの息子だ」
「本当かい、ライ君」
俺は冒険者ギルドのカードを見せる。
「本当だ……」
俺は冒険者ギルドのカードを仕舞った。
「彼のSランク冒険者サラは、当時の王太子を筆頭に多数の貴族が結婚を申し込んだが、全て断ったと聞く。そんな雷翔姫サラの息子が貴族の権威を欲しがるとは思えん」
「……分かりました」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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