君達は、何か不正をしていないか?
父親が偉くても、子供までも偉い訳じゃないよね?
しかも、2つ貰った。
これ、2つ使っても意味無いタイプだろ。
俺に1つ使ったとして、後1つは誰にだ?
……まあ、保留だな。
「ライ」
「どうした、レイ」
「やっぱりライは第2だ……」
「その先、禁止。命令な」
「……」
「ただ、当然と言えるだろ?」
「……そうだね」
俺は魔王ライゴスから貰った「結晶」2つを「箱」に仕舞う。
帰りの道中は、盗賊は合計34人に、ゴブリン28匹に、オーク7匹を始末した。
盗賊のアジトの金銀財宝は、しっかりと貯めていた。
都市リザラルトに到着した俺達は、領主館に着き、依頼完了のサインを貰い、冒険者ギルドで依頼完了の手続きをした。
さあ、帰ろうかと思ったら邪魔が入った。
「ちょっと待ち給え」
「俺達の事か?」
「ああ」
「で、何の用だ?」
「君達は、何か不正をしていないか?」
「……は?」
「不自然だ。君達ぐらいの子供が、あんな高額の報酬を貰えるなんて……」
覗き見してんじゃねぇよ!
「そんなのお前には関係無いだろ?」
「そんな訳にはいかない!」
「なら、どうしろと?」
「7割出し給え。ボクが有効利用してあげる」
「無駄な時間を過ごした」
「そうね」
「そうですね」
「待ち給え!」
ち、移動先に回られたか。
「それなら、こうしよう。練武場で模擬戦をしよう。貴様が勝ったら今回の依頼の報酬を7割だそう。但し、俺達が勝ったら、貴様らの手持ちの現金全て頂く上で、2度と俺達に関わるな!」
「良いだろう」
俺達と暇そうにしていた受付嬢1人が冒険者ギルドに併設している練武場に移動した。
「ルールは以上です」
「それで構わない」
「ボク達もだ」
お互いに模擬戦用の武器を持つ。
レイは棍棒を、リンは刃を潰した短刀2本を、ラピスは素手となった。
俺とキサラも素手だ。
俺の相棒であるキサラが武器を持つ必要は無いからな。
向こうの4人も準備が終わったみたいだ。
しかし、俺達を舐めているのか、ニヤニヤしていて苛ついた。
「準備はよろしいですね? ……始め!」
「ボク達が、君達を正しく導いてあげるよ」
「余計なお世話だ!」
まあ、レイ達も無駄な時間を過ごしていると思っているみたいで、最速で沈めていった。
「あう……」
「がはぁ……」
「ぎぃ、ぐふぅ……」
「え!?」
「後は、貴様だけだ」
手の内を見せる必要が無いから、今回はサリアとクロは見学している。
「ひ、卑怯だぞ!」
「何が?」
「君達がこんなに強いなんて!」
「馬鹿か」
「でも、ボクは負けない! 何故なら、ボクはイシュトリア国の近衛騎士団に居たのだから」
「それがどうした?」
「それに、何故、君が前に出ない? まだ年端もいかない少女を戦わせて恥ずかしく無いのか!」
「はあ……キサラ」
「なのじゃ」
「ぎ、がぁ、ごっ、げぶぅ、が、ぐふぅ……」
キサラは、左足で馬鹿の右足の小指を蹴り、右足で馬鹿の左脛を蹴り、左拳でリバーブロー、右拳で鳩尾に入れ、飛び左膝蹴りで顎をかち上げ、左回転して左腕刀を胸部に打つ。
「勝者ライ!」
「では、全ての現金を出せ」
意外と持っていて、合計で大金貨8枚だった。
「約束通り、2度と俺達に関わるな!」
「く……」
翌日、冒険者ギルドに行くと、3人の騎士が玄関前に立っていた。
更に、その後ろには昨日の馬鹿達が居た。
「パパ! あいつらだよ」
はあ。
あの馬鹿、父親に泣き付いたか。
情けねえ。
「君がライ君だね?」
「そうだ」
「私は、あの子の父親でグリフォードだ」
「それで」
「息子の話だと、口車に乗せられて騙されて、お金を全て奪われたと言っているが本当かね?」
「全くの虚言であり、無意味で浅慮な判断で絡まれ、俺達が正当に手に入れた報酬を奪おうとしたので、対処しただけだ」
「本当か、ザイール」
「ち、違うよ! 全部向こうの嘘だ!」
後ろに控えていたリンが俺の前に来た。
「ライ様」
「リン」
「この娘は?」
「俺の奴隷であり、仲間です」
「ライ様、私が証明します」
「分かった。では、リンに命令する」
「はい」
「今までの命令を全て破棄した上で、今回の発言でどちらが虚偽の発言を言っているか、嘘偽り無く事実を言え。これは命令だ」
「虚偽の発言をしているのは、あちらです」
「う、嘘だー!」
「奴隷への命令は絶対だが?」
「そうだな。奴隷は主人の命令に絶対に逆らえないからな」
「く、口裏を合わせているだけだ!」
無駄な抵抗だな。
「だから、最初に『今までの命令を全て破棄した上で』を入れた。後、リン。破棄した命令は撤回だ」
「はい、ライ様」
「うむ。確かに、それでは奴隷も、主人の都合の良い意図を汲み取る事が出来ないな……済まない。息子の言葉だけを信じた私を許して欲しい」
「それで、貴方は近衛騎士だと聞いたが、何故、この都市に居る?」
「訓練中に、ちょっと痛めてね。陛下には、それを口実に休暇を取らされたんだ」
「そう言う事だ」
「急に押し掛けてごめんなさいね」
まあ、此処は公共の場だから、本当の事を言う訳が無いか。
「分かった」
「済まないが、1つ質問しても良いかい?」
「答えられる事なら」
「ありがとう。では、質問だ。王都の王城に興味が有るかな?」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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