……あははは。
まあ、定番ですね。
ある意味で予想出来た騒動が終わると、厳かにレイが召喚の魔法陣の中央に立つ。
レイが召喚の魔法陣の中央に立ち、召喚の詠唱を唱えると、魔法陣が光り輝き、積層型になり再び1つになると緑と白金に輝く。
そして……
「ワン!」
現れたのは、プラチナと見間違うばかりの白いウルフだった。
「ホワイトウルフだ!」
「流石はアークレイド公爵の令嬢だ!」
「召喚の儀で、これ程のジュセレが召喚されたのはアーサー殿下以来だぞ!」
色々と外野は叫んでいるが、当の本人は、目の前の「モフモフ」に釘付けだ。
しかし……
「レイ! 名前を」
「はっ! そうだったわ」
やれやれ、だな。
「貴方の名前は『サリア』よ」
「ワン!」
「喜んでいるのね。」
「ワフ」
「良かったわ」
そして、最後に召喚の魔法陣に立つのはレイの双子の姉であるレインだ。
レインが召喚したのは、鮮やかな朱いウルフだった。
勿論、レイの時と同様に周りは騒いでいた。
そして、双子だからなのか、レインも朱いモフモフに目を奪われていたが、レイの声に我に返り名前を与えて終了した。
因みに名前は「ロゼ」だ。
それと、例えば、同じ「鳥型」のジュセレだとしても、どんな成長をするかは、当人の資質と努力次第だ。
それに、ジュセレには幾つかの型がある。
攻撃型は、ジュセレ自身が攻める型だ。
守護型は、パートナーをジュセレが護る型だ。
共闘型は、パートナーとジュセレが共に攻撃する型だ。
補助型は、パートナーが攻撃して、ジュセレが補助する型だ。
1番多いのが「攻撃型」で、次が補助型が多い。3番目が守護型で、最後が共闘型だ。
その後、暫くはレイとレインのジュセレが話題に上がり、序でとばかりに、「ハズレ」を引いた俺を貶していた。
……あははは。
別に俺は聖人君子では無いから、周りのデスりに平気な訳じゃない。
だから、ディスった奴らの名前はリアンベルさんに密告しておいた。
俺は、そんな周りの声を無視して、図書館で支援系の魔法を調べていた。
幾ら、頭の中で浮かぶとはいえ、その数はそれなりになる。
正直、手を付けていない魔法が幾つも有る。
そんな中で、なんとなくキサラの本質を感じた俺は、前世の好きな漫画の真似をしたくて図書館で支援系の魔法を調べていた。
それに、支援魔法を使える様になれば色々と楽しめるし、キサラの本質を隠す事が出来る。
キサラは生きている「人間」じゃない。
だから恐らくは……
召喚の儀から早2年が過ぎて俺達は3年生になった。
レインが朱いウルフがジュセレになって周りの期待に応えた形になったのか、元々の予定なのか、あの日以降は、短いながらレインとの時間が取れる様になっていた。
やっぱり、レイもレインも寂しかったのか、時間が許す限り一緒に居た。
レイやダリア達のジュセレは、あれから大きくなったり外見が変わったりして成長している。
しかし、俺のジュセレであるキサラは、外見が変わっていない。
レイ達は応援や慰めたりしているが、それ以外は更にデスっていた。
まあ、俺としては、そんなデスっている連中を哀れんでいた。
オマケとして、連中の両親にも、な。
要するに本質を見抜けず、表面しか見れない憐れな奴らを。
勿論、俺とキサラは何もしていない訳が無く、キサラの本質を感じていた俺はキサラを前衛で俺が後衛で戦闘訓練を重ねていた。
因みに、キサラの戦闘は「徒手空拳」だ。
そして、決め技が「手刀」や「足刀」だった事で、俺は確信した。
……ジュセレには、「桁」や「格」が違う「上」が有ると!
多分、騎士とかの、更にエリートの中で信頼されている精鋭なら知っている秘密を俺は知ってしまったと思う。
それこそ、知っているのは極限られた「選ばれた者達」ってヤツだ!
気付けたのは、俺が日本人の転生者だからだろうと思う。
まあ、それでも知らない振り、気付いていない振りをしておこう。
実は国家機密で、知ったからには「服従」か「死」かっなんて嫌だしな。
話が変わるが、勿論、学生としてダリア達友人とは楽しい思い出を沢山作ったぞ。
学園には夏季と冬季に長期の休みが有る。
まあ、2年になると社交界のお披露目のデビュタントがあるからだけどな。
社交界が夏と冬に有るから学園もそれに合わせているという訳だ。
1年生の夏休みは、皆でアークレイド領に行き、冬休みは、ルティの実家がある辺境伯の所にお邪魔して冬を満喫したりした。
2年生の夏休みは、デビュタントの為に死ぬかと思う程大変だった。
俺のデビュタントは、貴族の誰かと結婚する気は無かったから社交辞令は程々にして、終始レイの虫除けをしていたよ。
何故か、アークレイド女公爵ことリアンベルさんがニマニマしながら俺とレイを見ていて、何故かレイがいつもの元気が無く終始、上の空だった。
2年生の冬休みは、サラ相手にジュセレの強化合宿をしたりした。
この合宿で、俺とサラの関係がダリア達、皆にバレて大変だったよ。
さて、3年生になると、内申書に多大な影響を与えるイベントが存在する。
それは、簡単に言えば「最強決定戦」だな。
3年生の夏休みは、2年生の冬休みと同じく強化合宿をした。
今度は、この「最強決定戦」を念頭に。
そして、夏休みが終わり、2ヶ月後の今日から始まるのだ。
この「最強決定戦」を!
残念ながらレインは王族と婚約している為に参加が出来なかった。
その分頑張っていたのがレイだ。
正に快進撃で勝ち進み、決勝戦の舞台に立っている。
その決勝戦の舞台に立っている相手は俺だ。
まあ、俺の方は波乱万丈だったな。
あまりにも、キサラとの連係が良過ぎて反則を疑われたり、俺に就いている侍女が人質にされて八百長を強いられたりした。
当然、侍女に迷惑にならない様に秘密裏に処理したから大丈夫だ。
向こうは大丈夫じゃないけどな。
なんせ、アークレイド女公爵の侍女を人質にしたんだからな。
勿論、俺もレイも友人達とも対戦した。
特にレイの対戦相手の7割は友人達だった。
俺は、準決勝の相手がダリアだった。
そして、俺とレイとの決勝戦が始まる!
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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