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キサラは『ジュセレ』だ

見分けが付かないとね~。

 この声は……


「ラディか!」

「ラディ!」

「久しぶりだな、ライザックにレイサリア嬢。今日はどうして王城に? 

 それに、何故、国外追放が解かれたのに直ぐに帰らなかったんだ?」

「ラディ、吉報だ。あの馬鹿王子が王位継承権を剥奪され王族から除籍され、辺境騎士団に強制入団だ」

「そ、そうか。ざまぁみろ!……と、誤魔化すなよ。何故、国外追放が解かれたのに直ぐに帰らなかった?」

「知っての通り、俺は元山育ちだ。しかも、Sランク冒険者に育てられた、な。だから、正直窮屈だったんだ」

「……なる程な。まあ気持ちは分かる」

「そういう事だ」

「それで、この後の予定は?」

「特に無い」

「それなら、ちょっと寄らないか?」

「何処に?」

「直ぐ、近くに騎士用の訓練場がある。どうせ、冒険者生活を満喫していたんだろう? 

 少し実戦で培った生きた戦い方を見せてくれないか」

「分かった。……良いかな?」

「問題ありません」

「案内役から許可を貰ったし行こうか。それと、ラディのジュセレも成長したな」

「まあな」

「その色と外見から『炎の妖精』に進化か!」

「ああ。色々と助かっているよ。そういうライザックのジュセレはあの時から変わって無いな?」

「まあな」

「周りが何を言っても気にするなよ。あれだけ頑張っているんだから、いつかライザックのジュセレも成長するよ!」

「ありがとうな、ラディ」

「気にするな」



 ……こうして、ラディの案内で訓練場に到着した俺は早速、模擬戦用の剣を渡されたが、その剣をラディに投げ返す。


「危ないぞ、ライザック!」

「何、当たり前みたいに俺に模擬剣を渡す?

 俺は後衛だろうが!」

「そうだったな」


 何を「てへぺろ」をやってんだ。

 アレはワザとだな。

 まあ、サラがオールラウンダーだからなぁ。

 そのサラから英才教育を受けた俺が、後衛しか出来ないとは思っていないみたいだな。

 実際は、むしろ、前衛ガンガンな戦闘型なんだけど、それはキサラが居るから見せる必要は無いだろうしな。

 それに、あの妖狐も言っていただろ?

「切り札は先に見せるな。見せるならさらに奥の手を持て」と。


「それでは、模擬戦を開始する。 ルールは先程言った内容だ。

 準備はいいな? ……始め!」

「キサラ」

「分かったのじゃ」

「……くっ」


 最初はやっぱり新米みたいで手加減したキサラに押されている。


「かはっ……」

「勝者ライザック!」

「次は僕だ! だが、僕は女性に剣を向ける気は無い。君が剣を持て!」

「断る」

「騎士として恥ずかしくないのか?」

「俺は騎士じゃない」

「分かった。この模擬戦に僕が勝ったら騎士団に入団して貰う」

「……」


 ……役職も無い「一般騎士ひら」が何を言ってんだ?


「……始め!」

「……ぐぅ」


 キサラにお願いして、ボールは潰して無いけど、動けない程度の威力を放って蹴って貰った。


 そんな風に、キサラが無双していると、外野から野次が飛んで来た。


「女性に戦わせて恥ずかしく無いのか! 

 男なら前に出て戦え!」

「後衛が前衛より前に出る訳ないだろ?」

「それなら、後衛として動け!」

「動く必要が無いから動かないね。そう言うのなら、俺を動かしてみろ」

「分かった。それなら、私が動かしてみよう」

「ライナス副団長が動いたぞ!」

「小僧、覚悟するんだな!」

「さて、野次の声が少々汚いが、正々堂々と試合をしよう」

「ああ」


 きちんと、距離を取った副団長と相対する。


「……始め!」

「ふん!」


 速っ!


速度上昇スピードアップ!」

「まだまだ」


 横薙ぎの一撃を放った。


反応速度上昇リアクションアップ!」


 キサラは、イナバウアーで避ける。


「ほう? なら、これはどうだ?」


 キサラが体制を直した瞬間、上段からの兜割りの一撃を放つ。


腕力上昇パワーアップ! 耐久力上昇バイタリティアップ!」


 キサラは両腕を頭上でクロスしてキサラの手甲の部分で防御した。


「見事! では、本番だ……」

「くはぁ……」

「キサラ!」

「どうした、先程までの勢いは?」

「ライナス副団長、女に戦わせているヒモをブチ倒してください!」

「……と、言っているが?」

「キサラ」

「分かったのじゃ」


 キサラが返事した途端に、キサラの動きが速くなり力が増したかの様に副団長を押し始めていき、俺は副団長に勝つ為の隙きを作った。

 キサラが、ワザと正面からの正拳突きを繰り返す事で副団長の両腕を前に出させ、キサラの左拳が下がった瞬間に脇腹に魔法攻撃をした。


石矢ストーンアロー!」

「かっ……ぐはっ!」 

「ライと妾の勝ちなのじゃ」


 そうドヤ顔しながら副団長の鳩尾みぞおちに右拳を深く入れたキサラの顔には、角と牙が生えていた。


「な!」

「俺が何時いつ、キサラが人族だと言いました?」

「勝者ライザック!」


 周りの反応は……


「卑怯者ー!」

「鬼人族を使うなんて!」

「騎士として恥ずかしく無いのかー!」


 だから、俺は騎士じゃねぇって!


「それで、説明をしてくれるかな?」

「説明も何も、この国の貴族なら当たり前な戦い方だが?」

「え!? どういう事だ?」

「キサラは『ジュセレ』だ」

「「「「「「「「「「「「あっ!!!」」」」」」」」」」」」


 ……やっと気付いたか。


「だから言ったじゃないですか、副団長」

「サラディオ」

「僕達の時の優勝者は、変わっていると」

「では、彼が……」

「そうです。彼がライザック=フォン=アークレイドです」


 キサラは既に角と牙を引っ込めている。



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点をお願いします。

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