血が繋がってなくても親子よね
ざまぁは、難しいです。
一応、俺達は其々に部屋を用意して貰ったが、リン達は俺の部屋に居る。
「ライ様、あのサラという方は?」
「さっき言った通り、捨て子だった俺の育ての親だ」
「ライ様が捨て子…… しかし、それだけでは、アークレイド公爵家との繋がりが……」
「半ば引退している状態だが、サラはSランク冒険者だ」
「Sランク冒険者!」
「そうだ。その関係からリアンベルさんと友人となり、その縁で俺とレイは幼馴染みとなった」
「分かりました。それで、今後の予定等は御座いますか?」
「全く信じていないが、俺が国外追放になった原因の、この国の第4王子が改心して謝罪したいと言っているみたいだから、先ずは、その辺からだろうな。その後は、学友達に会う予定になるかな?」
「畏まりました。しかし、ライ様の印象から察するに、私は随行しない方がよろしいみたいですね」
「……そうだな」
「それと、クロの事はどうしましょうか?」
「リアンベルさんには、伝えておく」
「分かりました」
その日の昼食後に、リアンベルさんに時間を貰い、リンのジュセレ「クロ」に付いて話した。
「……はぁ。ライはサラ以上の規格外ね」
お詫び代わりに、ジュセレと魔石の関係を話した。
「……お詫びになってないわよ!」
その1時間後に、例の馬鹿王子からの手紙が届いた。
内容は、まあ普通の私的な謝罪文と、公式の場で改めて謝罪したいとの事だったが……
改心したのは嘘だな。
公式に謝罪したいとの事だが、その日時が明後日になっている。
「リアンベルさん」
「……私も舐められたものね」
俺の公式な身分は、アークレイド公爵家となるから、リアンベルさんにも手紙を見せた。
まあ、結果は予想通りだ。
とりあえず、服は至急で仕立て、レイも首が隠れるドレスを選び、当日に備えた。
当日の謝罪の場となる「小謁見の間」は、王族のみと公式な事をする場所だ。
「さて、集まったな。これより第4王子フィリップの謝罪を始める」
この場に居るのは、国王と王立学園の学園長に、馬鹿王子。
そして、俺、レイ、リアンベルさんの6人だ。
「国外追放を言い渡して済まなかった」
「……」
「何故、返事をしない」
「フィリップ殿下。誰に対して謝罪したのでしょうか?」
「当然、貴さ……お前に対してだ」
「お前とは、誰ですか、フィリップ殿下」
「お前は、お前だ!」
「はぁ……」
リアンベルさんが、ワザと溜め息をする。
「どうやら、フィリップ殿下の改心は嘘だったみたいね、マハドーラ」
「……そうみたいだな。それに、レイサリア嬢とは両想いと言ったのも嘘だな。」
「パパ!」
「はあ!」
「レイサリア嬢を安心させ婚約する為にも、早くライザック君と謝罪したいと言ったのも嘘だという事だな?」
「……」
「マハドーラ国王陛下、発言の許可を」
「許可する」
「マハドーラ国王陛下、発言の許可をありがとうございます。
レイサリア=フォン=アークレイドとして宣言します。私とフィリップ殿下とは、一切その様な関係になっておりませんし、その様な交流すら一切ありません」
「そうであろうな」
「私も知りませんよ、マハドーラ」
「何を言っている! 王族であるボクと婚約者になれる名誉を与えてやるんだぞ! 光栄に思い、頭を下げて、心からの感謝を述べてボクに傅くのが当たり前だろうが!」
「マハドーラ」
「済まない、リアンベル」
「パパ!?」
「改心したと父親である儂に嘘を言い、公式の場で、公爵家の前で暴言を吐く姿を国王の前でするとはな……」
「パ、パパ?」
「もう良い。フィリップよ、おぬしの王位継承権を剥奪し、王籍より除籍し、辺境騎士団に入団を命ずる! 誰か!」
国王がそう言うと、渋い文官が入って来た。
って、この国の宰相だ。
「フィリップの王位継承権を剥奪、王籍からも除籍し、辺境騎士団に入団させよ」
「畏まりました」
「パパ、嘘だよね?」
「平民の分際で、パパなどと呼ばれる筋合いは無い。早く連れ出せ」
「はっ!」
「パパ! パパぁ!」
やっと静かになった。
あの馬鹿王子……王子は要らんか。
あの馬鹿が消えたから、やっと静かになった所で、空気だった学園長が口を開いた。
「さて、ライザック=フォン=アークレイド君の学園での対応ですが、特例措置で学園卒業を正式に認可します」
「そうですか」
「良かったわね、ライ」
「ありがとう、リアンベルさん」
「次に王族としての詫びだが……」
お金、男爵位、近衛騎士団の入団、宰相が頂点の行政機関の入閣、と過分な詫びを並べられたが、全て断った。
お金は、1年有れば黒金貨3桁稼げるし、男爵位は、貴族になる事自体が嫌だし、近衛騎士団の入団は、規律で縛られる所に行きたくないな。
行政機関の入閣は、アレ、ブラックだろ?
絶対に嫌だね。
「父親として謝罪する。済まなかった」
「謝罪を受けいれます」
「そうか。ライザック君とレイサリア嬢と学園長は退室して良いぞ」
言い換えれば、部屋から出て行けという命令と言える。
「「「畏まりました」」」
俺とレイと学園長は退室して、学園長は別行動し、俺とレイはメイドの案内で移動する。
国王side
「だからと言って、何もしない訳にはいかないよな、リアンベル」
「そうね」
「それでだ。アークレイド公爵領の東隣の王家直轄地があるが、それをレイサリア嬢に譲渡したいがどうだ?」
「娘のレイじゃなくて、ライに譲渡しなさい」
「それは良いが、何か理由が有るのか?」
「いずれ、白日に晒されるだろうから言うけど、レイはライを探す旅の途中で奴隷に堕とされたの」
「何ぃ!」
「だから、譲渡するなら、ライにして。それにライに譲渡するなら、その王家直轄地の北隣に有る大森林も頂戴な」
「分かった。そうしよう。しかし、良く無事だったな?」
「イシュトリア国の王都のオークションに掛けられたけど、ライが買ったみたいよ」
「何処の誰とも分からぬ者に買われるよりかは遥かに良いが……」
「落札額でしょう?」
「聞いても良いか?」
「良いわよ。ライがレイを買った額は……」
「……(ゴクッ)額は?」
「白金貨900枚よ」
「白金貨きゅ、900枚!?」
「そうよ」
「ライザック君は、それ程の実力を……」
「血が繋がってなくても親子よね」
「そうだな」
ライside
「ライザック!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




