おっちゃん達もな!
あの時のモブ、再出演!
魔石というジュセレに良い物を知った俺は、いずれ再会するレイとレイのジュセレ「サリア」の為に、ダンジョンに行って魔石を集める事にした。
何時もの様に、周りからは全力疾走に見える俺達にとっての駆け足での移動中に、悲鳴が聞こえた。
駆け付けてみると、このダンジョンに初めて来た時に声を掛けて来た気の良いおっちゃん達だった。
場所がまだ第6階層で、おっちゃん達が窮地になるとは思えないと周りを見たら、悲鳴は女性の声だった。
おっちゃん達のメンバーに女性は居ない筈だが、良く見ると、まだ10代半ばぐらいの少女が居た。
多分、彼女が悲鳴を上げたのだろう。
とりあえず、礼儀として声を掛けた。
「助けは要るか?」
「助かる。ライ、やってくれ」
「雷矢九連射! はい、片付いた」
周りに居たコボルト9匹を雷矢で、眉間撃ちした。
「有り変わらず、巫山戯た技量だな」
「まあな。それよりどうしたんだ? この辺りなら目隠ししてでも行けるだろ?」
「目隠しは無理だ」
「それで、何が有ったんだ? それに……」
俺の視線に気付いたおっちゃんが答えた。
「この娘はな、友人に頼まれてな。Cランクとは言わんが、Eランク以上に育てて欲しいってな」
「何故?」
「この娘、エマの父親は商人だが家を留守がちで、1人にするのが心配らしい」
「それで、最低限として、自衛出来る程度に鍛える為か」
「そういう事だな」
「じゃあ、さっきの悲鳴は?」
「不意を突かれて、コボルトに襲われそうになった所を、ギーズが庇ったんだが、怪我を負って、その怪我を見て、悲鳴を上げたみたいだな」
「分かった。じゃあ、治しておくな」
「いつも、済まないな」
「それは言いっこ無しだ、おっちゃん」
「ありがとうな、ライ」
ギーズの怪我を見て回復魔法で大丈夫だと判断して回復魔法で怪我を治療した。
「助かった」
「良かったな」
「ほい、銅貨1枚」
「ああ」
「え!?」
ああ、知らないのは当然か。
「言っておくが、この値段は、おっちゃん達だけの特別料金だからな」
「なあ、ライ」
「なんだ、おっちゃん」
「何回も聞くが本当に良いのか?」
「毎回、言っているだろ。あの時、俺達を純粋に心配した言葉が嬉しかった、て」
「しかしなぁ……」
「何度も言うが、この話はこれで仕舞いだ」
「分かったよ」
「じゃあな」
「ああ、ライ達も気を付けろよ」
「おっちゃん達もな」
そう言って、おっちゃん達と別れ、下の階層を目指して移動した。
……60階層のボスモンスターの「レッサーケルベロス」を倒すと、今度は「煉獄の闘衣」が宝箱から出た。
因みに、これで「煉獄」シリーズが揃った。
まあ、キサラは、徒手空拳だもんな。
因みに、レッサーケルベロスを倒したのは、今回で14回目で、2周目じゃないからな!
流石のダンジョンも、キサラの本性は分からないのかもしれないな。
まあ、格闘家系が仲間になったら、あげても良いかもしれないな。
そして、61階層から、また1ランク上の難易度になる。
罠が致死どころか、即死系が混じってくる。
まあ、俺達は大丈夫だけどな。
身も蓋もないが、第5位階魔法に、「罠察知」が有るから問題無い訳だ。
因みに、俺のオリジナル魔法で十八番の雷撃弾は、第4位階魔法だ。
ダンジョン攻略は進み、今、70階層のボスモンスターの部屋に居る。
いやー、寒かった。
61階層から、雪原フィールドで、モンスターも氷や雪系しか出ないから、火炎系の支援魔法が大活躍した。
真面目に、全ての属性の支援魔法を覚えて正解だった!
さて、ボスモンスターは「レッサーフェンリル」か。
実は、モンスターの知識はサラから学んだから、結構知っている訳だ。
ただ、こういう知識も「力」の内だから、他人には簡単には教えるなとも学んだ。
この世界での「小型種」は、オリジナルの約6割引きのスペックだ。
身体の大きさも強さも、な。
だから、流石のサラも「氷神狼」は見た事が無いらしい。
さて、戦闘開始と同時に各支援魔法をキサラとリンに掛ける。
しかし、流石に2人だけでは苦しいみたいで、俺も攻撃魔法で後方支援をした。
「……!?」
「炎壁! 危なかったな、リン」
「ありがとうございます、ライ様」
レッサーフェンリルが、氷槍を6発放って来たが、俺の「炎壁」が全て防いだ。
「まだ、戦闘は続いている。気を抜くな!」
「はい!」
「キサラ、同時に8発放つ」
「分かったのじゃ」
「炎槍、八連!」
「ギャン!」
「今だ!」
「喰らうのじゃ、銀閃!」
「ギャ……」
「……妾達の勝ちなのじゃ」
俺の「炎槍」八連でかなりのダメージを負って身体の動きが止まった所を、キサラの通常技の「銀閃」でレッサーフェンリルの首を斬り決まった。
まあ、通常技と言っても、単に魔力を手刀に纏わすだけだがな。
「お疲れ、キサラ、リン」
「結構、楽しかったのじゃ」
「お粗末でした、ライ様」
キサラとリンに回復魔法と洗浄を放って綺麗にした。
そして、待っていたご褒美の宝箱が出現した。
中身は……!?
「おぉ! 中身は、氷華の薙刀か!」
でも、「槍」じゃなく、「薙刀」が出る辺り、創造神辺りの日本贔屓を感じる。
もしくは、日本人が転生したダンジョンマスターの趣味かもしれないな。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。
天の声
主人公が行っているダンジョンの50階層までは、パーティーに1人以上のAランク冒険者が居れば攻略出来ますが、60階層のボスモンスターは、パーティー全員がAランク冒険者じゃないと攻略は無理です。




