おや、貴方は?
結局、主人公は……
昨年はありがとうございました!
今年もよろしくお願いいたします。
しかし、年末年始を奴隷から始まる。
まあ、「なろうの異世界」らしいかな。
専用の部屋に入ると俺が買った(仮)3人の奴隷と、オークション側のスタッフ2人にゴツい身体の警備員みたいな野郎が3人居た。
そして、空気が固いな。
「当オークションをご利用頂きありがとうございます。早速ですが、手続きをしたいと思うのですが、よろしいですか?」
……ああ!
向こうの布陣を見て分かったわ!
俺は、直ぐにマジックバッグに見せ掛けた鞄から今日の為に用意した白金貨50枚ずつ入れた小袋を2個出し、全てをテーブルの上に中身を出した。
「失礼致しました」
……やっぱりな!
向こうの言い分は、「小僧、代金が払えるだろうなぁ? ああ!」……だろう。
それを、俺は支払いが出来る事を証明した訳で、その後は、スムーズに必要な手続きが終了した。
……オークション会場を出ると、最後の稼ぎと言わんばかりの売り出しをしていた。
結構、良品の奴隷も居るな。
何処かの高位貴族の令嬢の侍女をしていて、貴族の生まれだとか、奴隷商が言っている。
俺は、ある事を思い付き、キサラにジト目で見られながら、元貴族令嬢の侍女8人全員を買い、旦那が行商中に事故に遭い負債を返せず借金奴隷になった母娘を買い、同じ様な理由で借金奴隷になった料理屋の母娘も買った。
「英雄、色を好む、とは良く言ったものじゃ」
ちょっと待て、キサラ!
それは誤解だ。
確かに、路上販売をしていた奴隷商の女性の奴隷が着ている服は貫頭衣で、色々な所が気になるが違うんだ、キサラ!
キサラを説得しようとすると、誰かが近付いて声を掛けて来た。
「おや、貴方達は?」
俺に声を掛けたのは盗賊に襲われていた奴隷商の夫婦だった。
「お久しぶりですな」
「久しぶりだな」
「……かなり買われましたな」
「まあな」
「どうです、私共の方も?」
……歌が上手いが、お互いに右腕を欠損した双子の姉妹を買った。
序でに、セットの様に居た演奏が出来るが左足を欠損した少女も買った。
奴隷商の夫婦に、大型の馬車の手配をお願いすると、俺が買った奴隷の18人全員から、「貴方、何者?」という目で見られた。
「ライ、どうするつもりなのじゃ?」
「喫茶店」
「喫茶店?」
「ああ。この都市なら、多少だが優遇されるし、勢いで奴隷も買ったしな」
「それで?」
「毎日、面倒を見るのは無理だから、自立した生活を送って貰う」
「分かったのじゃ」
奴隷商の夫婦に大型の馬車の用意が終わり、奴隷達全員が馬車に乗った所で邪魔が入った。
「貴様!」
「誰だ?」
「貴様に奪われた奴隷を返せ!」
「は?」
「儂が買う予定だった伯爵令嬢を寄越せ!」
あ、こいつは……それなら……
「……つまり、俺がオークションで正式に購入した奴隷『全員』を何の交渉もせずに無料で寄越せ、と言うのだな?」
「そうだ!」
「旦那様!?」
「聞いたな?」
「ああ、確かに聞いたな」
「確かに聞きましたわ」
「聞いたぜ」
たまたま通り掛かった治安維持で巡回中の衛兵も答えた。
「じゃあ、お願いする」
「分かった。では、国際奴隷法に則り、奴隷の強盗罪で逮捕する」
「あ! ち、違うんだ! これは……」
あの馬鹿は、無駄な抵抗をしながら衛兵に連れ去られていった。
「ライ……」
「酷いな」
「酷い事を……」
不愉快な男だったから、ちゃっかり罪状をぼったくりした。
向こうは、伯爵令嬢だけの請求だったが、俺は「購入した全ての奴隷」にした。
そう!
落札価格「白金貨70枚の王女」も数に入っている。
いやぁ~、一日一善だな。
その後は、奴隷商の夫婦に別れの挨拶を済ませると、御者に行き先を領主館と伝えると、御者が3度も聞き返したのは笑えた。
領主館に到着した俺は、侯爵に説明して奴隷達を預かって貰い、念の為に執事を借りて商業ギルドに行き必要な手続きを済まそうとしたが、向こうは俺の事を知っており、友好的な待遇を受けた。
都合良く、俺が求める庭付きの土地が有ったから購入して、店舗兼住居の建築を依頼した。
後、喫茶店を開く為の人材も依頼する。
まあ、主に事務的な部分を、な。
3ヶ月後に完成した。
1階は店舗と応接室に、奴隷達の寝室以外の生活空間にし、2階は、店舗内から入るVIP専用のラウンジと別口から入れる奴隷達の寝室にし、3階は俺とキサラの居住区にした。
それと、当然、VIPのラウンジからは、客は2階の他の部屋とかには行けない様にしてある。
勿論、色々と万が一を想定して部屋数とかも余裕を持たしている。
それと、この3ヶ月は奴隷達に喫茶店を開く為に必要な知識と技能を学んで貰った。
纏め役は王女だった「ローラ」に任せた。
まあ、貴族の世界で生きて来たんだ。纏め役が「王女」の方がやり易いだろう。
回想
~元伯爵令嬢レザリーナ~
私は、イシュトリア王国のアリサールの街を治める領主の長女として生まれたわ。
家族構成は、伯爵のお父様に子爵家から嫁いだお母様に私が6歳の時に病死したギリックお兄様と長女の私。
ある日の朝、お父様とお母様の寝室から凄い悲鳴が聞こえたわ。
理由を教えて貰えなかったけど、あれから、お父様とお母様の身体の調子が悪くなっていったわ。
そして、お父様は病死して、お母様は気が触れてしまったわ。
その結果、代々、我が家に仕えていた執事のタヌフが色々と手を廻してくれて家の財を分家等から守れましたけど、結局は廃爵となり、お父様が裏で抱えていた借金を支払った為に、今後に必要なお金が、金貨10枚足りなかったわ。
換金出来る物は全て売り払ってしまったわ。
お母様が褒めてくれた髪や宝飾品さえも……
私は決心したわ。
私を売る事を!
タヌフは反対したけど、お母様が安心して暮らすには後、金貨10枚足りない。
私は金貨20枚で売れたわ。
10枚はお母様の為に、残り10枚の内、5枚はタヌフに、残りはお母様の万が一にとタヌフに渡したわ。
私は後悔しない。
どんな境遇でも誇りを持って生きてみせるわ!
~元公爵令嬢リリーシュ~
私は、とある王国の公爵令嬢よ。
私には6歳の頃から王太子という婚約者が居て、学園では節度を持って接していたわ。
そんなある日に、とある男爵の養女となった男爵令嬢が王太子の周りを彷徨き始めたわ。
私は、善意と立場から注意していたけど、向こうの反応は私が虐待したみたいな感じだった。
そんな事を幾度か繰り返していると、国王陛下と王妃陛下とお父様が不在の時、王太子が主催するパーティーで、馬鹿げた、そして、屈辱しかない茶番劇が始まったわ。
その結果、私は王太子を毒殺しようとしたという冤罪で無理矢理に奴隷に堕とされた。
……私は、伝統ある公爵家の者。
私は、誰にも心を屈したりしないわ!
~元王女殿下ローラ~
私は、クーデターで滅んだ最後の王族。
新時代を民に知らしめる為に、私は奴隷に堕とされたわ。
私も出来る限りの事をしたつもりだったけど、駄目だった。
ごめんなさい、お父様、お母様、お兄様。
奴隷に堕とされた後、風の噂で聞いたわ。
クーデターは成功したものの、内部抗争が始まり、結果として「国」として維持が出来ず滅んだと。
私は、王族としての最後の責任を果たせぬまま、奴隷として生きる毎日が始まる。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




