……その意味を、教えてやる!
転生者は、ライだけではありません。
レイside
「オレが、魔竜人ヴァリアスをやる!」
「それなら、私は魔獣人ベリモスよ!」
「アタイは、魔鳥人セーレイをやる!」
「それなら、私は中衛をやります」
「ニャー!」
「リン、頼む。フラン達は、後衛を頼む」
「任せて」
「畏まりました」
「分かったー」
「キュー!」
私達は、とりあえず向こうの名前と外見で判断して相手を決めたわ。
「決まった様だな。では行くぞ!」
そして、私達は戦いながら都合良く馬鹿広い謁見の間で、ライの邪魔にならない様に、少しずつ左側へと移動したわ。
……どうやら、向こうも同じ理由みたいで、簡単に左側への誘導が成功したわ。
「さて、我が魔王カリグラー様の邪魔にならない場所で、貴様達の処理を済ますとしよう」
「それは、こっちの台詞よ!」
私のこの言葉が切っ掛けで、戦闘が再開されたけど、良く言えば一進一退、でも悪く言えば形勢不利と言えて、お互いの長所のぶつけ合いは、私達が若干不利だわ。
「ちっ、ハ○ラー親衛騎団か……レイ!」
ガイが、わざと相手の攻撃を防御して後ろに飛んで距離を開けた。
それに合わせて私達も、ガイの方に飛んだ。
「レイ、お互いの長所のぶつけ合いだと、此方が不利になる」
「ええ、そうね」
「そうだな」
「そうですね」
「だから、オレが鳥で、レイが竜で、ディアナが獣で行こう」
「分かったわ!」
「分かった」
そして、相手を変えて再び戦闘を始めたわ。
私は薙刀のリーチを利用して向こうの近距離で戦わず中距離で戦い、ガイは向こうの遠距離の攻撃を防御しながら、その隙を突いて魔法攻撃をし、ディアナはセレスで増幅した火魔法で多重攻撃をして、その隙をディアナのパワーでたたみ込んだわ。
そして、リンは私達の攻撃で出来た隙を突き、魔法攻撃を放つ。
「漆黒槍三連!」
「がぁはっ……」
「ぎぃ……」
「ぐっ……」
「今よ! 螺旋烈槍!」
「今だ! 熔岩球!」
「今! 魔炎乱舞!」
「ぐはぁっ……」
「がっ……」
「ごふっ……」
やったわ!
まだ生きているけど、もう虫の息だわ。
「ま、魔王カリグラー様、もうし、申し訳ありません!」
「おや? 形勢が不利みたいですね」
この状況で、大した強がりね。
「よろしいでしょうか?」
「仕方ないですね。許可します」
「ありがとうございます」
そう言った瞬間、敵3体の身体は光り出して魔竜人ヴァリアスに、残り2体が勝手に集まり合体し、一体のモンスターが現れた。
「合成魔竜獣ヴァリアスだ。この姿を見た以上は貴様らには『死』のみだ!」
「そうはいかないわ! ガイにサナ、ディアナにセレス、リンにクロ、フランにエレナ、ミアにカー君、もう1戦よ!」
敵の外見は、頭部は3つで中央が竜で、右が獣で、左が鳥で、前足は竜で、後ろ足が獣で、胴体は竜で、猛禽類系の羽根があり、尻尾は竜だわ。
「くっ……」
「どうした! 先程までの勢いは?」
「強い……」
合体した事で強くなっている!?
リンも加わって4人掛かりで攻めているのに、重傷さえなっていないわ!
「喰らえ、重力刃!」
「きゃあああ……」
「ぐぅぅぅ……」
「がぁあああ……」
「レイ! リン! ディアナ!」
「これで、周りを彷徨く羽虫は処理した。残りは、鈍重な貴様だけだ」
「フラン、エレナ、ミア、3人の治療を!」
「分かったわ」
「お任せください」
「はい!」
「回復する前に終わらせてやる、死ね!」
ガイside
……ヤバい!
レイ達が重傷を負った。
あの怪我は、ライじゃない限り直ぐには回復は無理だな。
そうなると、オレしか居ないか……
まあ、こういう役回りは何時かは来ると思っていたが、存外早く回って来たな。
前世じゃ、恋人すら居なかったが会社内では、それなりに重い責任を背負わされていたし、独立した後は、自己責任的な部分もあった。
だから、異世界転生をして、ライ達に出会ってからは、ライが居ない時の物理的にも精神的にも皆を支える「柱」になる日が来ると思っていた。
そういう意味では、オレはポ○プに憧れていたし尊敬をしていた。
……そうだな。
オレの恋人じゃないが、背後の大切な女性を守る為に、強敵に、ただ1人で立ち向かうのは、如何にも「英雄」らしい!
世界を救う事で、大切な「誰」かを救うのが「勇者」なら、大切な「誰」かを救う事で世界を救うのが「英雄」だ!
オレも異世界転生者として、全力を出す時が来たという事だな。
ライよりかは弱いかもしれないが、ライと同じ知識をオレも持っている。
……その意味を、教えてやる!
「ふっ」
「何ぃ!?」
オレは、膂力任せての一撃を、盾を外した左腕で軽く防いだ。
「ま、まぐれだー!」
「……」
「ば、馬鹿な!?」
両前足による連続攻撃を、オレは無防備で受けて身体が揺らぐ事すら起こらなかった。
「今、何か、したのか?」
「ふ、ふざ、巫山戯るなー!」
身体強化の応用で、身体をゴムみたいにしてあるから、攻撃の衝撃は分散してダメージも無い。
「次はオレの番だな」
「防御は堅牢かもしれないが、攻げ……」
「ふっ」
「ぐはぁ!」
「反撃は認めてやらない」
「が、ぎぃ、ぐはっ、がぁあ、げぶぅ、ごっ」
オレは、右正拳を竜の顔に打ち込むと、左回し蹴りで獣の顔に打ち込み、ほぼ同時に、右回し蹴りを鳥の顔に打ち込む。
そして、竜の角を握っての両膝蹴り、着地と同時に竜の両目に2本貫手を放ち、首の付け根に左爪先蹴りを放ち、その場で垂直飛びをして一回転しての右踵落としを竜の頭に打ち込む。
しかも、一撃一撃に、圧縮した魔力を込めているから、発勁とか浸透系みたいな効果を殴る蹴るの中で放つ事で、見かけ以上のダメージを与えている。
「し、信じられ……」
「消えろ!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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