……本気ですか?
過去の記憶から、大切な存在を「奪う者」に対して過剰反応します、主人公は。
「次は私だな。セントレイム聖国の公爵家当主のアンデレス=エール=ドラードだ」
「次は私の番ね。ジュリアーネよ」
「ふん! オスカーだ」
「オスカー!」
「構いません。俺達は、別に気にしていませんから」
「ええ、そうね。私達は、此処の管理者からの依頼で、仕事として貴方達の救出に来ただけだから」
「そうだな。管理者から、命は勿論の事、名誉も守って欲しいと言われたが、どうやら、オスカー殿は、クローネア嬢の未来はどうでも良いみたいだしな」
「どういう事だ!」
「分からないみたいだな。他国の事とはいえ、ドラード公爵様、どういう教育を?」
「恥ずかしいばかりだ」
「申し訳ありません」
「オスカーお兄様のご無礼を皆様、どうかお許しください」
「お父様! お母様! クローネア!」
「リン、連絡を」
「分かりました」
数分後に、ガイ達が来た。
「終わったみたいだな」
「ああ。後、悪いが、安全確認に行ってくれないか、ガイとディアナ」
ガイとディアナは頷いた後、地下からもう一度、残党が居ないかの確認に行って貰った。
こうして、残った俺達は、リンとガイ達の到着を待つだけになったのだが……
「ふん! 改めて見ると見栄えの良い女が揃えているな。良いだろう。先程までの無礼を許してやるから、そのチビ以外を差し出せ」
「……本気ですか?」
「口答えは許さん。直ぐに差し出せ」
「「オスカー!?」」
「オスカーお兄様!?」
「何を驚いているのです。下民に救いの手を出しているだけですよ」
「質問だが、彼女達をどうするつもりだ?」
「寵愛をある程度与えたら、我が家の家臣達に譲与する予定だ。
家臣と言えども我が家は公爵家だから、充分に裕福な生活が出来るだろうな」
「「オスカー……」」
「オスカーお兄様……」
「ドラード公爵様」
「済まない。オスカーには充分言い聞か……」
この糞ガキが……
「質問したいのですが、良いでしょうか?」
「何でも聞いてくれ」
「セントレイム聖国では、直系であれば、女性でも爵位を継ぐ事は出来ますか?」
「……直系であれば可能だ」
「分かりました。やる事が出来ました。ここでは少々狭いと思います。申し訳ありませんが、外への移動をお願いします」
そう言うと何か悟ったのか、1名除いて青い顔をして頷いた。
……全員の移動が終わり、正面玄関前に立つ。
「シバァザード王国がライザック=フォン=クランフィリア伯爵が、セントレイム聖国のオスカー=エール=ドラードに決闘を申し込む!」
「「「「なっ!?」」」」
「伯爵家の令息だったのか?」
「違います。俺が伯爵です」
「「「え!?」」」
「何!?」
「更に言えば、彼女レイは、アークレイド公爵家の三女で、俺の婚約者です」
「「「「はっ!?」」」」
「もう良いでしょう。オスカー=エール=ドラード、返答は?」
「その決闘を受けてやる」
「「オスカー!」」
「オスカーお兄様!」
「国を違えど、たかが伯爵家と、我が公爵家の違いを教えてやろう」
「……私達は、何処でオスカーの教育を間違えたのだろうか?」
「アンデレス……」
「オスカーお兄様……」
「何を言っているのですか、お父様、お母様! それにクローネア!」
「頼む! 貴公や婚約者に侮辱を与えたのだから、決闘は仕方ない! しかし、命だけはどうか奪わないで欲しい」
「私からもお願いします」
「私もです」
「……分かった。命だけは奪わないでやる」
「口だけは達者だな。良いだろう。此方も命だけは奪わないでいてやろう」
そして決闘が始まれば……
「無様に這いつくばれ!」
「……」
「がはぁ、ぎ、ぐぼぁ、がぁ、ぐっ、ぎぃ……」
油断し、完全に見下した顔をしながら大上段に剣を振り上げた瞬間に、一気に接近して、右膝蹴りを鳩尾に入れ、両膝が落ちた所を両拳で挟む形で、奴の両手の薬指と小指を潰し、潰れる威力の左膝蹴りで金的、右一本貫手で右眼を潰し、左拳で肋骨を砕いて、右ローキックで左膝を砕いた後、生き地獄を味わせる為に、回復魔法を掛ける。
「回復魔法を掛けてくれると……」
「ええ。約束ですから、命だけは奪っていませんよ、命だけは」
「どういう事だ?」
「両手の薬指と小指や他の砕いた場所や『潰した箇所』は、伝説の霊薬エリクサーか、第6位階魔法の完全回復でないと元通りにならない様に中途半端に回復させた。因って、文官や武官にもなれず、左膝を潰したから行動の自由を奪い、アレを潰したから次代を残せない様にした」
「「「「そんな!?」」」」
「当たり前だろう。何故、伯爵家の当主である自分の婚約者を他国の公爵家といえども、当主でも無い者に差し出さなければならない?」
「それは、そうだが……」
「別に、これから来る管理者に、『隠れていた残党に皆殺しにされた』と、報告しても良いのだぞ」
「アンデレス……」
「私達の『命だけは奪わないで欲しい』という我儘を聞き入れて貰い……感謝する」
ドラード公爵は、苦渋に顔を歪ませながら、言葉を紡いた。
その後、空気を読んでいたガイ達が現れ、更に1時間後に、リンと共にバーレン伯爵達が到着した。
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