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ミアは?

最優先は、人質の安全ですから。


「待たせたな。先ずは、依頼をやり遂げた事に感謝しよう。お陰で妻は病から解放される」

「受けた仕事をしただけですから」

「それでも、だ。少しだが、儂からも報酬を出そう」

「いえ。既に報酬は冒険者ギルドから受けていますから」

「いや、この報酬は、領主としてではなく、彼女の夫としての感謝だ。受け取って欲しい」

「分かりました。ありがたく頂きます」


 この後、領主はニルス達と軽く雑談をした後、ニルス達は領主館を出る事になった。


「またな、ライ」

「ああ。またな、ニルス」


 ニルス達とそれぞれに別れの挨拶が終わると、ニルス達は部屋から退室した。

 それから、5分程経つと領主は口を開いた。


「初めましてだな。私は、ギーリス=ハウト=バーレン伯爵だ」

「初めまして。俺はアルファロードの領主で、ライザック=フォン=クランフィリア伯爵です」

「そうか、君が……。急用が入り、ライザック殿のお披露目会に行けず申し訳ない」

「いえ。御詫びの手紙を頂きましたし、贈り物まで頂いたのですから、お気になさらずに」

「そう言って頂けるのなら良かった」

「お久し振りです、バーレン伯爵様」

「お久し振りですな、レイサリア嬢。先ずは、ご婚約おめでとう」

「ありがとうございます、バーレン伯爵様」


 この後、フランも挨拶を終わらすと話が始まった……のだが、貴族同士の軽い雑談に終わるかと思っていたら、真面目な話が待っていた。


「さて。冒険者としての君達に、実は頼みたい事がある」


 バーレン伯爵にそう言われて姿勢を正す。


「分かった。先ずは、話は聞こう」

「この街を馬車で、1時間程南下すると森があり、更に10分程南下すると湖がある。

 その湖周辺は風光明媚な事で国外にも有名で、上位貴族の方々も来られる為に、それ相応の設備を整え、警備をする者も配備したのだが……」


 この話の流れだと、アレかな?


「軽くて脅迫、最悪は殺害ですね」

「ああ、そうだ。」


 ……やっぱりか。


「とある高貴な方々が来られていたのだが、何処からか情報が漏れ、盗賊共に因って籠城を許してしまった。幸いな事に、まだ事がおおやけに露見されていない為に、内々に収める事が出来る」

「つまり、問題解決にバーレン伯爵は、俺達に協力して欲しい訳だな」

「そういう事だ。頼む。手を貸して欲しい」

「良いか?」


 俺は、レイ達を見ると全員が頷いてくれた。


「分かった。引き受けよう」

「……感謝する!」

「それで、発覚から経過した時間は?」

「まだ、1日も過ぎていない」

「分かった。早速だが、現在入手している情報を教えて欲しい」

「うむ」


 そう答えると、執事が扉近くに有る花瓶置き用の家具の引き出しから書類を出して俺に渡した。

 書類は、俺から順に回し読みをして、内容を把握したのだが、見事に解決に繋がる情報は無かった。

 そして、被害者が洒落になっていない。

 まあ、伯爵位のバーレン伯爵が「高貴な方々」と言うのも頷けるな。

 なんせ、シバァザード王国の南に隣接する国「セントレイム聖国」の公爵家の三女である「クローネア=エール=ドラード」が、拉致監禁被害者のリストに載っていた。


「被害者の身分を考えると、用意周到に計画されたみたいだな」

「ああ」

「つまり、両方に裏切り者が居るという事を前提で考えた方が良いな」

「……ああ」


 まあ、こういう裏切りは辛いよな。


「まあ、その辺は事件を解決した後で、双方がやる事だから、俺達が気にする必要は無い」

「その通りだな。それで、どうするのだ?」

「それは、実際に現場を見てからだな。だから、地図は無いか?」

「此方です」


 執事が既に用意していた。


「なる程な。地下室とかは有るか?」

「はい。このしゅとなる屋敷にはございます」

「他は?」

「ございません」

「他に、何か有るか?」

わたくしにはございません」

「バーレン伯爵は?」

「無い」

「それなら、早速向かうとしよう」

「頼む」

「ああ、任せろ」


 俺達は直ぐに領主館を出たが、追跡者が居ないかを注意しながら街の東門・・から街を出た。

 南門以外から出るのは当たり前だろ。

 何処かに見張りが居たらどうする?

 だから、万が一の為に東門から街を出た。


 魔力探知や気配察知を全力で使い、周りに人が居ない事と、追跡者や見張りが居ないのを確認すると、俺達は転移扉ゲートを使って、湖畔の幾つか有る物置小屋に転移する。


 実は、来た事が有るんだよ。

 王立学園の夏季休暇の時に、な!

 レイが「お久し振りです」と言ったのは、以前、湖畔の屋敷に行く時に、レイがバーレン伯爵に会っていたからだ。


 ……俺?


 俺は、雑用の手伝いを理由に挨拶をレイに押し付けたから会っていない。

 当時は、冒険者になった時に、公爵家の身分を返却する気でいたからなぁ。

 貴族に会わない様にしていた。


 そして、綺麗な景色を目に焼き付けていたから、転移扉ゲートで転移する事が出来た訳だ。


「やっぱり、転移扉ゲートはチートだよな」

「確かにな。さて、囚われた令嬢を助けに行きますか」

「そうじゃな」

「うん。それで、何か作戦が有るの?」

「一応、有るぞ。身も蓋もないが、安全で安心な方法がな」

「どんな方法なの?」

「こうするんだ、フラン」


 俺は、レイ達を結界で隔離してから、広範囲に睡眠魔法スリープを最大限まで強化して放った。


 ……そして、結界を解くと、呆れた顔をするレイ達が居た。


「……確かに、身も蓋もない上に安心安全な方法と言えるわね」

「そうだろう」

「それじゃあ、万が一なんかが起きる前に救出に行くわよ」

「あ、ガイとディアナとフランとエレナは、屋敷外の連中の方を頼む」

「分かった」

「「「分かったわ」」」

「ミアは?」

「経験値稼ぎ、だな」

「そうか。ミア、頑張ってね」

「うん」

「それじゃあ、二手に別れて行動開始な」


 こうして、俺達は二手に別れた。




厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点をお願いします。

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