大奥様、時間です
こういう宿屋があっても可笑しくないと思いませんか?
レイとマリアネラ嬢が仲良く会話をし、俺達はルーシアさんと雑談をしていた。
扉をノックする音が部屋に静かに響く。
「大奥様、時間です」
「あら、もうそんな時間なの。楽しい時間は過ぎるのが速いわね。私は少し所用で出ますが、ライ君達は、よっくりしていってね」
「ありがとうございます、ルーシアさん」
そして、ルーシアさんが部屋を出て6分後に、マリアネラ嬢が、この部屋に来た理由を思い出す。
「あ! お祖母様は!?」
「少し前に、所用があるからと部屋を出たよ」
「どうして、教えてくれないのですか!」
「何故?」
「……もう、いいですわ!」
そう言ってマリアネラ嬢も部屋を出ていったのだが、レイのお肌が艶々だった。
どうやら、レイはマリアネラ嬢をストレス発散に利用したみたいだ。
マリアネラ嬢が部屋を出て、数分後にメイドが来て「お部屋の用意が出来ましたので、ご案内いたします」と、言われたから付いていった。
その間に、ルーシアさんの立場とかを聞いたら、普段は、この先の都市で暮らしているが、こうして定期的に訪れているとか。
因みに、サリアは1階の玄関ホールで不貞寝している。
早く省エネ形態になれると良いんだけどな。
それと、ウルフ系とかは、この段階の身体の大きさが、そのまま潜在する素質として出るから、サリアの大きさは「期待」とか「優秀」という枠を軽く超えて、「規格外」とかに該当する。
その後の夕食とかも特に問題は起きず、風呂、就寝となり翌日を迎えた。
「昨日は、仕事が多く立て込んでいて挨拶が出来ず失礼した」
「いえ。こちらこそ……」
と、領主のブルーリュス伯爵と貴族の儀礼的な挨拶が終わると、ルーシアさんとの挨拶を終わらせる。
少し離れた所では、とても仲良く会話をしているレイとマリアネラ嬢が居た。
俺達は、領主館を後にして、冒険者ギルドに寄り、盗賊共の討伐報酬を取りに行ったのだが……
「てめぇみたいなガキ共が、持っていい金じゃないなぁ」
「そうだな。オレ達が預かっててやる」
「序でに、女もオレ達に寄越しな」
「それは良い! オレ達が教育してやる」
「断る」
「何ぃ」
「ガキ共! オレ達が優しく言っている内に、消えるんだな」
「勿論、女は残れよ」
今回は、ちょっと意趣返しにやってみた。
「ば~か」
「「「殺す!」」」
思いっ切り見下し目線と嘲笑顔で言ってみたら、見事に釣れた。
3人のチンピラが腰の剣を抜き、俺に向かって来た所を、右手を潰し、左膝と右肘を逆にも曲がる様にしてやった。
その後、腹パンを入れて気絶させて、剥ぎ取りをして不要品を売った。
……銀貨3枚って、ショボい上に、現金と合わせても銀貨9枚で大銀貨1枚にも届かなかった。
この後、ブルーリュスを出発して、次の目的地「バーレン」を目指した。
翌日には、特に問題は無く目的地の「バーレン」に到着した。
「先ずは、宿屋だな」
「うん、そうだね」
「ワン!」
レイに抱かれているサリアが返事をした。
実は、サリアは不貞寝をしていた訳ではなく、瞑想的な事をして、省エネ体型に早くなれる様に頑張っていたのだ。
だから、問題は無いが、良い事はあったという訳だ。
因みに、今のサリアの大きさは、前世でいうチワワぐらいだ。
勿論、馬車とかは、街に到着する前に仕舞っているから、宿屋に行っても馬車料金は取られずに済むのは地味に嬉しい。
とりあえず、ちょっと高級感のある宿屋を選ぼうとしたのだが、向こうが偉そうだから止めた。
その一部始終を見ていたお兄さんが声を掛けて来た。
「宿屋なら、飯の美味い良い宿屋があるぜ」
誘いに乗って行ってみる事にした。
ちょうど昼時だったから、そこで昼食を取る事にしたのだが、当たりだった。
「美味いな」
「そうだろう。実は、此処の店主が調理担当をしているんだけどな、昔、王城で働いていたらしい。
当然、仕事は調理担当の1人だったらしい」
「それは、凄い経歴ね」
「まあ、過去に何があったかは知らないが、飯が美味いんだから問題無いしな」
「確かにそうですね」
「どうする?」
「アタイとしては、部屋が空いているなら良いかもな」
「そうだな」
「良し、決まった! 今日の晩飯と明日の朝飯がタダになったぜ!」
「どういう事です?」
「この宿屋は、連れて来た客が一部屋取れば1食タダになるんだ」
「なる程ね。確かに、私達には一部屋だけを取るのは無理ね」
「そういう事だ。しかも、あの時、高級宿を選んでいたから金は有るだろうしな」
で、実際に隣同士の部屋を2つ取った。
振り分けは、俺、キサラ、レイ、リンと、ガイ、ディアナ、フラン、エレナだ。
昼食を食べ終わった俺達は、街を散策する事にしたのだが、また詰め所の牢屋を賑やかにさせてしまったのはご愛嬌だな。
散策の途中で、銀細工の専門店があったから、入ってみたら予想以上に良い細工物があったから、レイ達に贈る事にしたら、結構喜んでくれたよ。
宿屋に帰り、晩飯を食べようと、1階の食堂に行くと、あのお兄さんと仲間らしき人達が食べていた。
相席を聞いたらOKが出たから相席し、注文を済まして待っていると、お兄さんこと「ニルス」が話し掛けて来た。
「改めて仲間を紹介するな」
「戦士のロブだ」
「斥候のロミーよ。残念だけど、そこのガサツな男の妹よ」
「なんだと!」
「はいはい。兄妹喧嘩は止めてね。私は魔術士のジェシカよ」
「ボクは治癒術士のビリーです」
「因みに、オレは槍戦士だな。パーティーの名前は『銀槍』で、全員Cランク冒険者だ」
……結構、真面目にやっているみたいだな。
「次は、俺達の番だな」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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