僕はどんな絶望があろうとも、絶対に、希望を捨てたりしない!」
根っからの真面目で誠実な人が、命の危険が迫ると、こんな感じでしょうか?
ロナside
冒険者ギルドで情報収集をして新しい方のダンジョンに行く予定だったけど、ライさんに勧められて、行き先を古い方のダンジョンに変更した。
悪く言えば主体性が無いみたいに見えるけど、ライさんは都市リゼラルトのダンジョンを深い所まで行っている熟練者とも言える。
だから、そんなライさんが僕達に初心者ダンジョンを勧める理由が有ると考えて変更した。
「先に此方に来て正解だね」
「まあな」
「本当よね。もし、あの時の矢に鏃が付いていたら、私、良くて右目に眼帯を付ける事になっていたし、悪ければ、毒入りで死んでいたわね」
「油断大敵」
「本当にそうだな、ナル」
「レナ、済まなかった」
「もう良いわよ。でも、次からは気を付けてね、イレス」
「ああ」
最初は馬鹿にしていたけど、とんでもない!
ライさんが勧める理由が分かった。
兎に角、最後の方の罠が酷かった。
威力こそ、致命傷には程遠いかったけど、それ以外は正に致命傷に至る罠だった。
流石は初心者育成ダンジョンで、20階層まで、戦闘面では全く問題無かったけど、最後の方の罠が凄かった。
罠感知や探索がダンジョン攻略に於いてとても大切だという事が分かったよ。
さて、20階層のボス部屋で休憩と反省会をして、帰還の転移陣にそろそろ行こうかという時に、イレスが言った。
「行ってみようぜ!」
「イレス、何処に?」
「勿論、下の階層だよ」
「それは止めておいた方が良いよ」
「そうだな」
「何故だ、ロナにラナイ」
「冒険者ギルドの受付嬢が言っていただろう。21階層以降は、難易度が桁違いで、命の保障が無いと」
「でも、そんなのは、新人に対してだ! ボク達には当てはまらない」
「そうかもしれないけど……」
「何も、最下層まで行ってダンジョン踏破しようと言っている訳じゃない」
「でも……」
「それなら、次のボスまでだ! 幾らなんでも、21階層から他のダンジョンなら50階層の難易度なんて無いだろうしな」
「まあ、それなら良いじゃない」
「確かに」
「そうだな。次のボスまでなら良いな」
「……分かった。でも、気持ち的には他のダンジョンでの50階層ぐらいの警戒でいく事」
「よっしゃー! さあ、行こうぜ!」
ライside
ロナ達が気になって、トーヤのダンジョンに、行く事にした。
「トーヤ、遊びに来たぞ」
「ライさん、皆さん、ようこそ」
「トーヤ。俺の知り合いが来ている筈だが、今、何処に居るか調べて貰えるか?」
「どんな人達ですか?」
「男3人に女2人だ」
「……」
待っていると、トーヤの仲間達が来た。
「ウルカやサキに、アリエやレーシャ、遊びに来たぞ」
「早速、模擬戦をやろうぜ」
「ウルカ! 先ずは、お持て成ししないと」
「後で、魔法について語り合いましょうね~」
「模擬戦をするだ」
「まあ、ちょっと待ってくれ。トーヤにた……」
「ライさん。彼らですか?」
モニターを見ると、ロナ達が映っていたが、場所は問題だった。
「あの馬鹿共が! トーヤ、何階層だ?」
「26階層です。送りましょうか?」
「頼む」
「分かりました」
トーヤに転移用の「扉」を設置して貰い、ロナ達が居る26階層に向かった。
ロナ達はモニターを見る限りは、まだ大丈夫だろうが、それも時間の問題だ。
急いで、ロナ達が居る場所に向かうとダンジョンモンスターに囲まれているロナ達が居た。
「く……皆、頑張れ!」
「ごめん。もう魔力が……」
「私も、残った左目が霞んで……」
「ロナこそ、逃げろ!」
「そうよ。残った左腕も動かないんでしょ!」
「オレの残った右足も使えそうに無い」
「……済まない。下の階層に行こうと言わなければよかった」
「イレス、何を言っているんだ!」
「そうよ。あんただって右目と左腕に両耳が無いでしょう」
「それに、1つ前の戦闘で受けた、お腹の傷からの出血が止まってないわ!」
「だからだよ! 囮になって時間を稼ぐから皆は逃げてくれ!」
「そうだな。どうせ動けないのなら、囮も2人居た方が良いな」
「「「イレス! ラナイ!」」」
「ラナイが残るのなら私も残る」
「ナル!」
「だから、ロナとレナは逃げて」
「仲間を見捨てる訳が無いだろ!」
「「「「ロナ……」」」」
「僕はどんな絶望があろうとも、絶対に、希望を捨てたりしない!」
「……そうね」
「全員でフォローして1匹ずつ倒せば良い」
「そうだな。たかが、5匹だ」
「そうですね。ちょっと頑張れば片付く数だ」
……入り辛い。
レイ達も同じ意見の様で、既に魔法攻撃の準備が出来ていて、何時でもダンジョンモンスターを瞬殺出来る状態だ。
だからと言って見捨てる気は更々無いが、ロナ達も冒険者としての意地もあるだろうし、マジでどうやって乱入しようか?
「ライ様、ラナイの残った右足が千切れて、右腕も喰い千切れました」
「ライ、イレスも両足が……」
「ライ、ラナイを庇ってナルが両目をヤラれて、背中に致命傷手前の怪我をしたぞ」
「ライ君、ロナ君がレナを庇って残った左腕が焼失したわ」
「俺が、ロナ達を睡眠魔法を掛けて眠らすから、その瞬間に一気に……睡眠魔法」
「「「「「あ……」」」」」
ロナ達が睡眠魔法で目を閉じた瞬間にレイ達の魔法攻撃が炸裂した。
直ぐに、俺達は駆け付けロナ達の治療を開始したお陰で一命を取り留めた。
因みに、千切れたロナ達の身体の一部は私物の有無を確認した後、全て焼却した。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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