ちょっと待ち給え!
現実なら、同じネタが連チャンで起きる可能性が「0」じゃないですよね?
あれからの道中は、特に特筆するイベントは無く、行く先々に棲息する盗賊共を根絶やしにした事くらいだ。
懸賞金が掛かっていたのは18人で、次の転生を促した盗賊共は180人程か。
このまま行くと、あの「天才美少女魔導師」と同じ「二つ名」が付きそうだな。
勿論、アジトにも行って、全て回収したのだが、間近の潰した盗賊共のアジトで、「アレ」目的に使われた女性7人と、商品用で出荷予定の少女が4人も囚われていた。
せめてもの救いは、全員に「奴隷環」が付いて無い事ぐらいだろう。
そんな訳で、アジトの隅に放置して有った女性服を彼女達は着ている。
勿論、全員に洗浄を掛けて表面は綺麗になった。
現在の俺達の目的地は、当初の予定通りで、王都までの最後の都市「リゼラルト」だ。
……1時間程、歩いていると、都市リゼラルトの外壁が見えて来た。
更に歩いて50分後に中に入る事となり、門の近くにある詰所に行き、説明した。
今回も、盗賊共の首は残していたから見せると、懸賞金が5人も居た大盗賊団だった。
詰所は大騒ぎになり、懸賞金の合計でも大騒ぎになり、とりあえず、女性に人気の宿屋に彼女達を泊めて、俺達は、大盗賊団を潰した事で領主からの呼び出しを受けた。
領主館に入り案内された応接室で待っていると、領主らしき初老と、執事らしき男性が入って来た。
お互いに自己紹介をすると話が始まった。
「ガレフ大盗賊団を潰してくれて感謝する」
「その感謝を受け取ります」
「これは儂からのお礼だ」
「ありがたく頂戴します」
「えらく素直に受け取るみたいだが?」
「知り合いに貴族が居たので」
「そういう事か」
「そういう事です」
リゼラルト侯爵からお礼の小袋(中身は白金貨18枚)をマジックバッグに見せ掛けた鞄(箱)に仕舞うと、乱入者が現れた。
「詐欺師は此方ですか、お祖父様!」
「許可も無く、入るでないラガールア!」
「何を言うのです。耄碌したのですか? こんなガキ2人にガレフ大盗賊団を壊滅出来る筈がありません!」
「……済まない。教育を間違えていた様だ」
「お祖父様!」
「黙れ!」
ちょっと考えれば分かる事だよな。
領主で、しかも侯爵の地位を持つ者が手を焼く大盗賊団を壊滅出来る存在から、どうやったらガキ2人が功績をかすみ取り、自分の手柄に出来るんだ?
……結果として、ラガールアが用意する相手と3日後に戦う事になり、助けた女性達は、領主であるリゼラルト侯爵が責任を持って対応する事になった。
それで、俺達は領主館に一泊となり、その間はラガールアは自分の部屋に軟禁となった。
与えられた部屋でのんびりしていると、キサラが話し掛けて来た。
「全く、貴族という者は面倒臭いのじゃ」
「まあな」
周りの気配察知や魔力探知すると、左右の壁から聞く耳を立てている者が2人に、天井には僅かだが殺気が漏れている奴が1人居る。
ちと、制御が難しいが、無詠唱で天井に居る奴の周辺360度に雷矢を発生させて放つ。
「!?」
そして、俺から見て左側の壁向こうに居る聞く耳を立てている誰かに視線を送り言う。
「済みませんが、天井裏に大きなゴミが有るので、片付けて貰えませんか?」
「「!?」」
反対側の壁向こうに居る聞く耳を立てている者と一緒に驚いているみたいだ。
……どうやら、天井裏のゴミは片付けたみたいだし、左右の壁に居る誰かも居なくなった。
「これで一息付けれる」
「そうじゃな」
メイドが来て夕食の時間が来たから、案内されて食堂に行くとリゼラルト侯爵から謝罪が出た。
「済まなかった。まさか、ラガールアがあんな馬鹿とは思わなかった。家族としてでは無く、この国の貴族の1人として対応する」
「分かりました。そちらにお任せします」
当然、ラガールアが用意した相手との対戦の約束は流れたのだが、既に向こうは出発した為に、対戦そのものは予定通りになった。
それと、お詫びとして「通行手形」を貰った。
これが、有ればこの都市の出入りで、一般用ではなく貴族用の出入り口が使える様になった。
それと、この都市限定であるが、少々なら無理が利くみたいだ。
何処まで使えるか分からないが、侯爵の私兵ぐらいの権限が有るらしい。
……居る間は使えるな。
翌日、侯爵に許可を貰い、領主館を出ると宿屋の部屋を取り冒険者ギルドに向かった。
「この視線にやっと慣れたのじゃ」
「そうだな」
俺とキサラは、受付嬢の居るカウンターに行こうとするが、邪魔が入った。
「ちょっと待ち給え!」
「何の用だ?」
「君には不釣り合いだ」
「何が、だ?」
「君には美しい彼女とは釣り合わない」
……敵確定だな。
「貴様に言われる筋合いは無い」
「安心して欲しい。どんな脅迫をされたかは分からないけど、美しい君を私が守ってみせる」
「必要無い」
「……え!?」
「貴様は何を勘違いしている。妾がライと共に居るのは、妾自身の判断なのじゃ」
「……そんな!」
「故に、貴様の申し出は、妾に対する侮辱でしかないのじゃ。この愚か者が!」
まあ、都市程の規模なら余裕が出る奴もそれなりに居るだろうと思うが、こういう奴も出るんだなぁ。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




