さあ、害虫駆除を始めるか!
まだ、横の繋がりがあります。
「それと、主人には今日の事を話しておきますので、何かの折にはお力になれると思います」
「失礼ですが、ご主人は何を?」
「そういえば、言っておりませんでしたわね。主人は内政大臣をしておりまして、宰相の実の弟で名前を『クオグル』と言いますの」
「ああ!」
答えを聞いて思い出した。
招待状を送る時に見た。
そうか、内政大臣か。
……ブラックだな。
偏見の可能性が有るが間違いでもないだろう。
「言っておきますが、主人は過労で倒れた事は一度もありませんから」
「そうですか」
……だからぁ、何故、分かったんだー!?
その後、軽い雑談をし、お暇する事にしたのだが、プリシア夫人が爆弾を落とした。
「私としては、1番目の椅子が欲しかったけど、リアンベル公爵と争いたくないから、諦めて2番目の椅子が欲しいのだけど頂けないかしら?」
……2番目の椅子?
リアンベルさんと争いたくない?
……ああ!
「大変嬉しい申し出ですが、お渡し出来る椅子が今はありません。
それに、椅子が出来る頃には、他にも欲しがる方も居るかもしれないので、その話は、その時に考えたいと思います」
「……分かったわ。残念だけどね」
良し!
逃げれた!
「お母様、椅子ですか?」
「ええ。既に最も価値の高い椅子は予約済みだったから、せめて、2番目を、と思っていたけど、まだ無いみたいだわ」
「ライザック様に、そんな価値の高い椅子を持っていたのですか?」
「ええ。王族の方々も、それなりに考えているかもしれないわね」
「そうなのですね! 一体、どれ程の豪華な椅子なのかしら?」
「プリシア夫人?」
「何処で教育を間違えたのかしら?」
「え、お母様?」
マリアセルは、ディスられている事に気付いたが「何故、椅子で?」状態だな。
困惑するマリアセルを置いて、俺達は屋敷に帰ったのだが、ソフィア王女、いや、ソニアが居た。
「お邪魔しているですわ」
「どうして、居るんだ?」
「……てへですわ」
「逃げてきたな!」
「お願いですの! 匿って欲しいですわ!」
「ソフィア!」
「お母様!?」
「連絡があったのです! 帰りますよ」
「ライ、裏切ったのですの!」
「先程、帰って来た俺に何が出来る?」
「……それなら誰ですの?」
「さあ、帰りましょうね。逃げて遅れた分を取り戻す為に、私自身で勉強を見てあげますから」
「い、いやぁああぁあああーーーですわ!」
「それでは、ごめん遊ばせ」
ソニアの悲鳴が、ドップラー効果で聞こえる。
「連絡はしておきました」
「良くやった」
さて、害虫駆除は、早ければ早い程良いから、今晩でも行こうかな。
「ライ、何かする気でしょう?」
「顔に出てたか、レイ」
「私が、ライの事で間違う訳ないでしょう」
「……分かった。ミカル」
「畏まりました」
ミカルが、俺の意図を察して、メイド達を部屋から出した。
「……で、ライは何をやろうとしているの?」
「ゴミ掃除」
「……ま、まさか!?」
「お! 流石は、幼馴染みだ」
「……つまり、正解よね?」
「まあな。正直、居ない方が落ち着くしな」
「分かったわ。でも……」
「分かっているよ、皆で、だろ?」
「そうよ、分かっているじゃない。でも、どうやって見つけたの?」
「メイドの採用面接の時に来た人の中に闇ギルドが紛れ込んでいたから、不採用にした後、ダンジョンの機能を使って追跡した」
「なる程ね」
「皆は、どうする?」
リン達が、居ない!
「ライ様、装備の点検をしてくると、皆様は自分の部屋に行かれました」
「……分かった」
「あははは」
レイ、笑い過ぎだ。
……翌日の夜明け前に、俺達は貴族街の隅にある屋敷の前に居た。
既に門番は処理した。
それと逃亡防止に、領地に居たアデリナ達も召喚して、ミカル達やアデリナ達を屋敷の外周に配置した。
「さあ、害虫駆除を始めるか!」
まあ、闇ギルドといっても、強いのは極一部だ。
つまり、その強者を俺とキサラが対処すれば、残りは近衛騎士以下だ。
結果は、闇ギルドのボス部屋以外は制圧完了となり、格好つけてガイとディアナに扉を開けて貰い、左側にキサラで、右側にレイで、俺の後ろにリンという配置で部屋に入る。
「……チッ! 使えねぇ、奴らだぜ」
「諦めたのか?」
「ああ。お手上げだ」
「そうか、それなら……」
と、続きを言おうとしたら、天井から刺客2人が現れた。
「「がっ……」」
俺は、バンザイするかの様に、両手を上げ、刺客に対してカウンターを顎に入れる。
「バレている不意打ちに意味が有るのか?」
「てめぇ。闇ギルドを敵に回した事を後悔させてやる!」
「王都の闇ギルドは、既に貴様1人なのに?」
「はん! 闇ギルドは、この王都だけに存在している訳じゃあねぇからな。覚悟するんだな!
お前らの家族も、だ! ……がぁ……ぐっがぁ……げぼぉ……が……」
俺は一気に闇ギルドのボスに接近して、左足蹴り上げで金的からの、両拳による左右の肋骨クラッシュして、右膝蹴りを鳩尾に入れ、左拳で顎砕きをした。
「逆鱗という言葉を来世でも忘れるな!」
「ライ……」
「終わったー」
俺達は手分けして闇ギルドの連中を拘束していき、アデリナ達は撤収して貰った。
それが、終わると隠し部屋とかを探して「重要書類」とか、取引先の「リスト」とかを探して見つけていると、到着したみたいだ。
「まさか、闇ギルドを潰すとはな」
「アーサー殿下、お久し振りです」
「ふん! このオレ様が貴様の後始末をする事になろうとはな」
「新人の子爵には、荷が重いモノですから」
「貴様! いい加減に、その気持ち悪い口調は止めろ」
「分かった。名声と実利をやるから後始末をよろしくな」
「ふん!」
俺達は、アーサー殿下に後始末を押し付けて屋敷に帰る事にした。
因みに、流れは、俺達からリアンベルさんで、リアンベルさんから国王で、国王から王太子と宰相で、王太子からアーサー殿下、という感じだ。
8日後
「……以上を以て、ライザック=フォン=アークレイド子爵を伯爵位に昇爵する!」
「国王陛下から多大な褒美を頂き有り難き幸せ。より一層、国の繁栄に微力ながら貢献したいと思います!」
アーサー殿下の裏切り者め!
結局、アーサー殿下が指揮を取り、俺が実動隊を連れて闇ギルドを壊滅した事にされた。
そして、闇ギルド壊滅という快挙に、根回しされて、俺は伯爵位に上げられた。
謁見の間から出ると、メイドから手紙を渡されたのだが、内容は「オレ様は、人からの施しなど要らん!」というアーサー殿下からの手紙だった。
まあ、「アーサー殿下が指揮を取り」で、周りの王族に言われて渋々で名声を取らされたのだろうな。
帰ると……
「ライ様、伯爵位昇爵おめでとうございます」
「「「「「「「おめでとうございます!!!」」」」」」」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




