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逃げるは恥だが点は取る

掲載日:2021/01/30


「バッカもーん! 今日という今日は逃がさんぞ!」


 廊下の端から男の声が迫ってくる。


ーー先生だ!


 俺は反射的に階段を駆け降りる。そのまま中庭の人混みに入り、他の生徒に紛れる。

 結果、先生はそのまま通り過ぎて行った。



“今日も” 課題を全く出さなかった俺は放課後に残れと言われた。だから “今日も” 教師、学校からの脱獄をする。

 それは俺にとって日常茶飯事である。

 

 課題を出さない理由は、テストではいつも高得点を取るから成績はそこまで悪くはならないし、一般入試を受けるつもりだから、「成績そこまで関係ないやろ」的な考えだからである。


 そしてさらに、テストで高得点を取れることにも理由がある。


 

 それは、俺が異世界人だからだ。




  さかのぼること十八年前。


 俺は大学を卒業し、社会人として働き始めていた。

 社会人一年目で、まだ初々しい日々。とある朝のことだった……。


「寝坊した……」


 目覚ましをセットし忘れていて、起きたら家を出る十分前だった。

 新人というのもあり、遅刻という悪い印象はつけたくなかった俺は急いで家を出て、駅までダッシュした。


 前だけを向いてひたすら走っていた最中、クラクションの音が右真横で鳴った。

 反射的に首を右に。右を向く。


 瞬間、首が百八十度曲がった。

 トラックに轢かれていた。




 目を覚ます。一瞬天国かと思ったが、違った。知らない女性が泣いて喜んでいた。自分の腕が赤ちゃんみたいな小ささで……ってか赤ちゃんだった。


「は?」


 心の中で呟いた。




 どうやら俺は生まれ変わったみたいだ。異世界転生バンザイ!

 街の風景は前の世界と全く同じ、店や機器、商品なども全く前の世界と同じ。だから初めは同じ世界だと思った。しかし違った。


 この世界には魔法があった。


 俺の父親は昔家を出て行ったらしい。

 そのため、俺と姉の二人を、母さんは一人で育ててくれた。だから家は貧しかったし、母さんは年中休みなくバイト掛け持ちしてまで働いてくれていた。

 そんな母親を、将来は楽にさせてあげたいと思い、有望な職に就くことを決める。この世界は魔法があるが、大した魔法はないらしく、前の世界と変わらない学歴社会だ。

 だから勉強を頑張ろうと決めた。


 しかし、中学に上がった頃にあることに気づいた。それは前の世界と勉強の内容が全く同じことだ。

 だから、ほとんど授業だけて内容を思い出すことができた。







 という理由で高得点を取れ、課題を出さなくなり、現在は先生から逃げている。

 さらに何故か、俺は魔法の才能が人間離れしている。転生特典というやつか。ありがたき。


 そろそろ正門が見えて来た。

 なんとか学校からの逃走成功!と思いきや、窓から先生の声が。


「逃げても無駄だからな! 今日という今日は許さん! 生徒会が追いかける! 覚悟しておけ!」


 まじかよぴえん(⸝⸝o̴̶̷᷄ o̴̶̷̥᷅⸝⸝)


 とはいえ生徒会は4人。上手く家まで逃げられるだろう。しかし、あの生徒会四天王を甘く見てはいけない……。


 油断はせずに急いで帰ろう。帰宅部のほこり。




 正門を出て五分ほどたつ。このまま走り続ければ、生徒会に見つかることなく帰れるだろう。生徒会チョロいぜ!うれぴ。


 「この角を右にっとぉ」


 曲がろうとした瞬間、小さな体とぶつかった。

 少女漫画でこういうシーンあったような。ドキドキわくわくデュフフフフ。


「すみません大丈夫です……かぁ!?」


 目の前に倒れていたのは生徒会だった。


「大丈夫で……って、俺君か! 見つけたぞもう逃さないもんね!」


「生徒会副々会長のスネすね男パイセンかよ! しまった、こうなったらアレを使うしかない」


「何ざます!?」


「召喚魔法!」


「!?」


「口寄せの術!」


「・・・」


「・・・」


「……なにが、、起こった!?」


 すね男パイセンはキョロキョロする。


「すねちゃま! こんな所で何してるざます! 今日は、おフランス製のバッグを買いに行くって言ったざます!」


 すね男パイセンの背後から1人の女性が言った。


「そうだった!」


 すね男パイセンは去って行った。やはりおフランス召喚は強い。うひひひ。





 家まであと半分という所か、いいペースだ。

 だからと言って油断はしない。油断は禁物だからな。何が起こるかわからない。例えばさっきみたいに急にばったり遭遇しちゃうこともあるからな。


 そう考えながら角を左に曲がった瞬間。


「おぉ!これはこれは、奇遇だな!」


 そこにいたのは生徒会だった。

 おいおい、また四天王と遭遇かよ。フラグ回収しちゃったよ。


「俺君よ、もう逃げるのはよせ。俺たちからは絶対に逃げられん! 絶対にだ!」


「なに!? 書記のヅラ先輩は俺にGPSでも付けてんですか?」


「ヅラじゃない桂だ! 付けておらん! 生徒会、俺君の帰宅ルートは把握済みだからな!」


 カツラ先輩カツラ付けておらんのか。ってか、ルート把握済みなら奇遇じゃねぇだろ!まぁそんなことどうだっていい。


 今は生徒会上位四々(じょういしし)相手に、次はどうやって逃げるかだな。

 まぁそんなこと考えなくても、俺の最強魔法使っちゃえばワンパンいちころチョチョイのチョイだけどね!


なんつって、テヘコツ(๑•؂<๑)⌒☆


「ルート把握済みですか。それではここを回避したとしても、まだ二回も遭遇しちゃうかもしれないんですよね。あんまり魔力使いすぎないように立ち回りますか」


「ほう。俺から逃げられるとでも?」


「まぁまぁ見ててくださいな」


「ほう?」


「では少し魔法失礼しますね。領域展開!」


 あたり一面、風景が変わった。


「ここは……ん!? この匂い! まさか」


「そうです。カツラ先輩の好きなそば屋です」


「なんだ! この豊富なメニューは! ハッ! 期間限定だとッ! 小倉マヨネーズぶっかけそば。何という斬新な発想。食べてみたい」


 先輩がメニューに夢中の間に、さっさと移動しますか。






 走っていると後ろからもの凄い速さで迫ってくる、見慣れた制服を着た男。三人目の生徒会か。俺は立ち止まり、言った。


「同じ一年でありながら副会長を務める恭次郎だな!」


「うむ。その通りだ! 立ち止まったということは逃げるのを諦めたか! わっしょいわっしょい!」


「そうだな。もう鬼ごっこは疲れた。では素晴らしい提案をしよう。恭次郎、お前も鬼にならな……間違い、お前も逃げ側にならないか」


「ならない!」


「見れば分かるお前の成績、特待生だな。その学力、練り上げられている。至高の領域に近い! 仲間に入れ恭次郎。そうすれば十日でも百日でも課題を出さずに逃げられる。足の力も増える」


「課題も提出も生徒という人間の美しさだ! いつ提出忘れるか分からないからこそ、皆、冊子やノートを持ち続けるのだ! それに足の力というものは、逃げることに対してのみ増えるものではない! もう一度言おう、俺は絶対に仲間にはならない!」


「そうか残念だ。では鬼ごっこを再開しよう」


 俺はそう言うと、恭次郎はもの凄い速さで俺に迫ってくる。だがもう遅い。


「なに!? 足が止まった!」


 恭次郎はあっけに取られた顔で足元を見た。


「そうだ。今俺は大量のトラップ魔法を仕掛けた。長話に付き合ってくれて助かったよ。お陰で仕掛ける時間稼ぎが出来た」


「しまった! そういうことだったのか!」


「さらばだ恭次郎。気が変わって仲間になりたくなったらいつでも言ってくれ」


 そう言い、俺はこの場を立ち去ろうと歩き出した瞬間、足元に大きな音が鳴り、足が動かなくなった。


「あっちゃ〜罠踏んじゃった、ドジっちゃった。テヘペロ」


「うむ! 自分で仕掛けた罠を踏むとは、理解できない!」


「ちょっと煽るのやめてもらっていいですか? とりあえず強制解除するか。俺の罠だけ。俺の罠だけね!」


 俺は自分の足にかかる罠を排除して、自宅へと走った。





 家に着くと、女の子が立って待っていた。


「教師から俺君の強制連行を言われてね。悪いけど学校に戻ってもらうわ」


 彼女はれい。生徒会長でありながら同じ一年。さらに、俺の幼馴染である。


「悪いけど、れいみたいな裕福な家じゃないんでね。帰ってやることが沢山あんの」


「俺君が母親の為にやることは勉強じゃなかったわけ?」


「働きっぱなしの母さんの負担を減らすために家事全般やってんの。俺は課題やらなくても、授業だけで高得点とれるからさ。応用の初見問題もな」


「なによその言い方! ずっと勉強してる私を馬鹿にしてるわけ!?」


「別に馬鹿にはしてないよ。俺も勉強する時間があればしたい。今の成績に満足しきってるわけじゃないから」


「勉強は暇な時にするんじゃなくて自分で時間を作るものよ。ってか課題くらい休み時間にできるでしょ!」


 何が休み時間にしろだ。

 学校終われば家事とバイト。将来の大学費用の為にバイトをぎっしり詰め込む疲労困憊の俺の体。休める時間くらい必要だろ!

 だから実際、休み時間はヒール魔法で脳を中心に疲労回復している。毎日睡眠不足だから魔法で回復しないとやってけない。


「休み時間は休む為に必要なんだよ! 休まないと、人間は集中力が続かねぇ。裕福で人生楽なやつとは違って毎日大変なんだよ!」


「は!? 誰が人生楽だって!? アンタのそういう態度ほんっとムカつく! そういう生意気な態度とってると、いつかアンタも母親みたいに会社クビになっちゃうんじゃない」


ーーは!?


 それを聞いた途端、何かがぷちんと切れたように、怒りが込み上げてきた。


「は!? 母さんを馬鹿にすんな! もうお前とは二度と関わりたくない。もう二度と話しかけてくるな!」


 俺はこの世界に生まれた頃から物心付いていた。だから母さんのこともよく見てきた。

 若くして二人も産んで、一人で必死に育ててくれた。俺たちを寝かしつけてから、いつも一人で泣いていた。

 

 前世は酷い母親だったこともあって、より一層、母さんの苦労が心に刺さった。


 そんな母さんを馬鹿にされた。それが本当に許せない。


「なによもう話しかけるなって! 大っ嫌い! 後で後悔しても知らないから! とにかくさっさと学校に戻りなさい!」


「わかった、学校には一人で戻るから。れいとはもう話したくない。見たくもない」


 結局学校に戻るハメになってしまったが、それはまぁいい。

 とりあえず学校へと足先を向けて、この場を立ち去ろう。

 最後、れいの顔を見ると、何か言いたげな顔で頬を膨らまして赤面している。


「ちょっと待ちなさい」


「なんだ、まだ何かあんのか」


「次の学年末テストで私と勝負しなさい!」


「え、なんで」


「私に楽って言ったこと。私が勝ったら謝罪して! 毎日ずっと、誰よりも勉強してるんだから!」


「わかった。なら俺が勝ったら母さんを馬鹿にしたことを謝罪しろよ。母さんは何も悪くない」


「わかったわ」







「マジかあのれいと勝負かよぉ」


 俺は今、家に帰って頭を抱えている。

 あんな真っ赤な顔で真剣に勝負挑んでこられたら、流石に断れない。

 しかし、勝負の相手は毎度学年一位のれい。模試の偏差値は七十越えの天才。いくら学年十位に入っている俺でも勝てる気がしない……


 でもどうこう考えるんじゃなく、とりあえずひたすら勉強しなきゃだな!


 そうと決まれば早速バイト先に連絡だ。学年末テストまで休みをもらう。いくら大学費用が高いとはいえ、今はしょうがない。







 遂にテスト当日が来た。


 あれから毎日ずっと勉強をしていた。だからもちろん課題は終わっている。


 そして何としてでも勝つ!


 あと課題からいつも逃げていた俺が、今日課題を全部出したら先生はどんな顔して驚くだろ。おしっこちびるかな。うひひひ。


 チャイムが鳴った。そして皆んなが席につき、先生がテストを配る。教室は静まり、何故か俺の心臓はバクバク鳴っている。

 テストで勝負するのにこんな緊張するなんてな。


 テストが配られ、チャイムが鳴った。

 皆んな一斉に問題冊子を開け、その音が一瞬教室に鳴り響く。

 俺は一拍おいて、ゆっくり冊子を開けた。その方が落ち着いて、緊張が和らぐから。




 一日目が終わった。とても好調だった。

 帰りにれいに会ったが、見ないふりして黙って横を通った。

 だってあんなこと言ったもん。喧嘩中だもん。しょうがないもん!




 二日目、三日目と、順調にテストをこなしていった。

 今の調子だと前回よりも遥かに点数が高い。

 もしかして勝て……いいや、ダメだ。油断はダメだ。帰ってまた明日の、最終日のテスト勉強だ!




 遂に最終日。

 数学、物理基礎、と順調にこなしていく。


「次で最後かぁ」


 最後は生物基礎。本当に今のところ絶好調だから、もしかして勝てるんじゃ?

 れいが謝罪する姿を思い浮かべると、自然と笑みが。口角が上がってしまう。ガハハハッ!




 最後の科目、生物のテストが始まった。


 俺は問題を開ける……と、絶句した。


「……(え?」


 大問一、全てが記号問題で一文一文が長文。ここまではいい、だが、選択肢が多すぎる……


「(十二択!?」


 消去法をしても、せいぜい五つくらいしか消せない。というのも、シンプルに難しすぎる。

 問われる内容が深すぎる。選択肢で、細胞や器官の、仕組みや働きを事細かく書かれている。

 学年末テストで範囲が今までの全てだった為、広く浅く勉強していた。それでも教科書は全て読んだ。

 しかし見たこともない応用問題だ。最初からこの難易度の応用問題を出してくるとは。

「前世で生物選択ではなかった為しょうがない」なんて、自分に言い訳をして、大問一を、とばす。


「(嘘……だろ?)」


 この難易度の応用問題が大問五の最後まである。

 全てが十二択の応用問題となっていた。


「(終わった……)」


 油断しすぎた。一気に底辺に落ちた気分だ。


 もうダメだ。


 その瞬間、時が止まったように感じた。そして今までの様々な思い出が蘇ってくる。前世の記憶も。

 そうして走馬灯のように、沢山の言葉や記憶や想いが浮かぶ中、ある一人の男性の言葉で、走馬灯の加速度が止まった。

 

 それは俺が前世で読んでいた漫画の鬼○の刃。そこに出てくる一人の男性の言葉。


「五感や血管への神経を隅々認識するのではなく、無駄なところは閉じて、必要最小限の動作で最大限の力を出す。そうすればだんだん頭の中が透明になっていく。そして “透き通る世界” が見え始める」


ーーハっ!


 我に返った。

 走馬灯は消え、目の前にはテストとペンが、机の上に広がっている。

 そして、体が透けて見える。


「(ふむふむ。体が透けて見え……はぁァア!?)」


 おおおい。ちょちょと待て。

 ちょと待てちょと待てお兄さ〜ん。


 つまり、透き通る世界に至ったのか!?


 ま、ままま確かにこの世界には魔法があるくらいだし……あるのか…透き通る世界、あるのか……


 いや、今は慌てている場合ではない。とりあえずテストだ、、おや?待てよ。テストはニ時間。


 よし!魔法と透き通る世界を駆使して挑もう!


 俺は無属性魔法で、細胞単位で体の全てを何倍にも加速させ、千里眼で細胞や器官の活動を観察する。

 尿意が物凄く増した為、ぼうこう辺りを筋肉ブースト魔法して、耐える。


 そうして、自分の体という模範解答を見ながらテストを受けた。





 テスト終了のチャイムが鳴る前に俺はなんとか解き終わった。

 そしてテスト終了直後、トイレへダッシュした。


 トイレに駆ける。


「はぁ〜」


 つい声が漏れる。だが尿は漏れなかった良かった。


 しかしそれにしても、物凄い勢いで発射している。

 ○悟空もこんな感じだったのだろうか。「かめはめ」まで我慢して溜め込み、「はぁ〜」と言いながら出す。発射する。


 今もなお俺の俺は威力を落とさず、小便器に、物理法則を無視したかのような一直線で地面と水平なビームを放つ。


俺の俺「重力? 何それ美味しいの?」


 なんて言ってそう。



 聖剣エクスカリバーを閉めた俺は、手を洗っていてふと思う。鏡越しでも透き通る世界で、透けて見えるのかな?

 試してみる。


「おぉ! 見えたすげぇ! ってあれ? 俺心臓多くないか? 一、ニ、三、…七。心臓七個かぁ。多いなぁ。ってまじ!? ううううううそでしょ!? あっれれ〜おっかしぃなぁ〜? ってほんとマジでふ!? うほでふよね? うほでふよな? うほほほほほほほッ」


 俺はあまりのショックで意識が飛び、その場に倒れこんだ。





 目が覚めると知らない天井が見える。

 辺りを見回すと、ここは……


「病院?」


 ってなんで!?

 動揺していると、ドタドタと物凄い足音で誰かが駆け寄って来た。母さんだ。


「あんた! やっと目が覚めたのね! 良かった。良かった」


 母さんが泣いている。

 また一人、今度は女の子が入ってきた。


「目が覚めたってほんと!?」


「れい!?」


 今にも泣きそうな目をしている。可愛い。


「えっと……俺…どれくらい寝てた?」


「もう一週間は寝てたわよ! ほんと心配したんだから!」


「れい……」


 母さんは俺たち二人を見た後涙を拭いて、ニヤリと笑い、


「母さんはそろそろバイトに戻ろうかしら」


 と言って出て行った。


「……でさ、、そのぉ……勝負はどっちが勝ったんだ?」


 れいは下を向いて少し口を尖らせる。


「アンタの勝ちよ! 最後の生物、平均点が四十点下回ったのに、アンタ満点取るなんて、もう完敗よ」


「そ、そうか」


 言えねぇ。「体という模範解答見ました」なんて言えねぇ。


「もうあんな無茶はしないで」


「え、ええ?」


 無茶? 何のことだ?


「だぁかぁら、もう徹夜なんてしないで! あのテストで満点取るなんて、どんな無茶してたわけ? どうせずっと寝てなかったんでしょ! それでテスト終わって倒れて頭打って気絶とかほんとダサい……ほんと……心配したんだから」


 やばいやばいやばい、体見ました。心臓いっぱい驚いて倒れました。なんて言えないって。


 ま、まぁ? うなずいてないし、嘘はついていないから別にいいか?


「だからもうあんな無茶しないで……あと、ごめんなさい。あんなこと言うつもりなかったの。ただ、イライラしちゃって……」


 なんか照れてる?頰赤い?

 かかかかくぁわいい!


「う、うん。ごめん。俺も言い過ぎた」


 そしてれいは可愛すぎたげんぱく。


「あとさ、アンタに負けて思ったの。私あれだけ勉強したのに負けた。生物なんて何回も何回も復習したのに八十点だった」


 れいは低い声で下を向いて言った。

 これは慰めてれいのハートを掴み取るイベントか!?


「大丈夫だよ! 焦ることはない!」


「なんなの、満点とって煽ってるの?」


「違う。何度もやり直して出来なかったなら、またやり直せばいいじゃん。今回は俺が勝ったけど(体見てすみません)あくまで高校のテストだろ? 本番は大学の受験なんだから、そこで結果出せばいいんじゃん!」


「俺君……」


「分からなかったとこは、まだ何度でもやり直せる。一から始めよう……いいえ、ゼロから!」


 キッターー!一度は言ってみたかった、前世のアニメ名言!!


「俺君……も手伝ってくれる? 分からないとこあったら教えてくれる?……」


「あぁ教えるよ! 俺の特等席で!」


 と、れいを強く抱きしめて言った。


 やばい、、リゼ○のスバ○パイセンのポエムテク、ついついやってしまったけど……大丈夫かな……引かれちゃったり……


 と、れいの顔色を確かめる。


「う、うん」


 と、赤面したれいが上目遣いで言った。


 あ、やばいキュン死しそう。最高。幸せ。うへへ。






 ここから、恋愛経験ゼロの俺は始めよう。俺のリア充の物語を。


(ゼロ)から始める異世界リア充生活』を!




 









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