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不意に馬車が停まり、外から何やら話し声が聞こえる。


「どうした?何かあったのか?」


緩やかに、だが停車する予定のなかった馬車が停まった事を不審に思った父が御者に声をかけた。


「先代様より旦那様宛に使者が来ております。こちらを……。」


先代様と言うのはクリスタの祖父の事。

その祖父から急ぎの手紙が届いたらしい。


御者から手紙を受け取り、内容を確認した父の表情が僅かに強張った。


「父様、何かあったのですか?」


そう声をかけたのは眠っていたマシュー。

寝ぼけ眼で父を見るマシューはとても可愛らしく、クリスタの胸がキュンっとした。



「ああ、父上の屋敷に厄介な客人が来ているらしい。」



祖父母の屋敷にいる厄介な客人に心当たりがあるのか、父は心底嫌そうな顔でマシューとクリスタを見比べ頭を抱えている。


「すまない、マシュー。」


「何がですか?」



突然謝る父にマシューは首を傾げた。



「私とクリスタの銀の髪と碧い瞳が持つ魔力がとても珍しいのは知っているな?そしてそれを持つ人間が少ないと言う事も。」


この世界で魔法を使えるのは貴族である者が多い。と言うのも、魔法はその血筋で受け継がれているらしく、魔法が使える血脈の者が貴族、そうでない者が平民となっている。貴族より平民の方が圧倒的に多いが、魔法の力を自分達の特権にしていたい貴族達は平民との婚姻を忌み嫌っていた。

一般的な貴族は上流貴族は金の髪に青い瞳、下流でも茶色の髪と瞳をしている。ちなみに平民は焦げ茶や黒髪がほとんどだ。


しかし、クリスタとクリスタの父の様に変わった髪の色と瞳を持つ家系はいくつかある。変わった色の髪と瞳を持つ者は特殊な魔力を持つ事が多く、両親のどちらかが特殊な色を持っていても同色の子供が誕生するのは稀である。それ故に特殊な色を持つ血脈の者は、その色を受け継ぐ子供を誕生される事が暗黙の義務だ。クリスタの様に二人目で特殊な色を受け継ぐ子供が誕生したのは本当に運が良い。


「この銀の血を一族に加えたいとしつこく欲する者がいるのだ。私に銀の娘が産まれたら嫁に欲しいとな。私が駄目なら娘をとは……諦めが悪い。」


父が母と結婚する前に何かあったのだろうか。その表情は苦々しいものになっている。


「それで、父様が謝った理由は一体?」


父の言葉から何かを察したのか、マシューの口元がひくひくと動いた。


「今回の洗礼に息子と娘を連れて行く事は知っていても、私の色を受け継いだのが息子か娘か知らんらしい。」


「父様、まさか?!」


「父上の手紙によると、あれの所に娘はいない。私の色を受け継いだ子供が息子であればしつこく言い寄る事はないだろう。私のた…妹の為に頼む。」


父はマシューに娘の振りを、そしてクリスタに息子の振りをしろと言っているようだ。父の為に…と言いかけたのは、きっと本心だろう。

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