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「それでって?」


マシューの呟きに、ベンヴェヌードが訝しげに尋ねた。


「私の所にも『ヒュドール』の関係者からの接触があるんだ。最初の接触が10ヶ月程前……『ベンヴェヌード』から名前を聞いて、調べた末に辿り着いたのが『マシュー=ラフォレーゼ』なんだと思う。」


「お兄様!それは…!!」


ベンヴェヌードから辿り着いたマシューは、マシュー本人ではなく、マシューの名前を名乗っていたクリスタの事。

そう口に出そうとしたクリスタだったが、マシューが首を振ってそれを制した。


「彼は隣国の現国王の第7王子で、1番王位に近い王子だと言われていたんだ。でも……ベンヴェヌードが聞いた通り1年前に剣で胸を貫かれて崖から転落して死亡した。」


マシューの冷静な言葉に、クリスタもベンヴェヌードもショックを受けている。


「じゃあ!ヒュドールは本当に死んだって言うのか?!」


目を潤ませるベンヴェヌードにマシューはふぅっと息を吐いた。


「クリスタ、悲しいよね?私の胸においで。」


甘い兄の表情でクリスタをそっと抱き締めるマシュー。


「窓の外から私達の唇を読んで会話を盗み聞きしている者がいる。」


マシューがクリスタの銀の髪を一房掬い上げ、その髪にチュッと口付けると、髪で口元を隠しながらそう囁いた。


読唇術で外から会話を盗み聞きしているスパイがいるなんて……。

急にクリスタを抱き締めたマシューの意図に気付いたクリスタがマシューの胸に顔を埋めるとマシューがクリスタの銀の髪を撫でる。


意地悪な嘘(フェイクメンティーラ)。」


先程の防音の魔法に重ねるようにめくらましの魔法をかけたクリスタは、マシューの胸から離れた。


「これで少しの間、周りからは私がお兄様の腕の中で泣いているようにしか見えませんわ。」


防音とめくらましの魔法の外からは、立ち尽くすベンヴェヌードと泣いているクリスタをマシューが抱き締めて慰めるように髪を撫でる姿にしか見えない。


「私の言いたい事をわかってくれて嬉しいよ。ありがとう、クリスタ。」


クリスタの頭を撫でて微笑むマシューの笑顔に、思わず尊いと叫んでしまいそうだ。


「結論から言わせてもらうと、彼は生きている。」


「「えっ?」」


きっぱりと言い放ったマシューにクリスタもベンヴェヌードも驚いた。


「まず1つ。『ヒュドール』と言う名はあの時だけの名で、本名は彼とあの時の『クリスタ』しか知らない。」


あの時の『クリスタ』はマシューの事。

おそらくヒュドールは別れ際に本名をマシューに教えたのだろう。


「そしてもう1つ。彼から『クリスタ』への声を受け取っている。」


「私ではなくお兄様へ……ですか?」


「不本意ながら、彼は私に使った1回につき1度だけ声を届ける事の出来る魔法を使っていてね。」


フッと遠い目をするマシューを見て、何かに気付いたかのようにベンヴェヌードが握り拳で自分の手のひらを叩いた。


「その魔法ってあの時のキ………!」


あの時のキス!と言おうとしたベンヴェヌードをマシューがギロリと冷たく睨むと、周囲の温度が下がっていく。


「それ以上何か口にしたら……物理的に表に出られない身体にするよ。」


口調までも冷たいマシューは恐ろしい。


「はい。すみません。」


ベンヴェヌードはただ震えながら謝るしか出来なかった。

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