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『君にオレが攻略出来るかな?』


それはR15の冒険あり!勉強あり!!の学園恋愛シミュレーションゲームである。


R15と言っても過激なシーンがあるわけではないので、製作者がゲームのパッケージのイラストにそう書いただけなのだが。勉強あり!!の勉強部分が最低限中学卒業レベルがなければゲームが始められないと言う事だ。


チュートリアルでメイン攻略対象者でありクラスメートでもある皇子アルトゥールと護衛騎士ヴァレリーの超美麗スチルを見た直後に行われる1年目実力診断テストがエグいのだ。

実力診断テストで5教科75点以上でなければその1年はイベントが何も発生してはくれないのだ。例えば体育祭や文化祭等のお手伝いイベントも、ここはオレに任せて次のテストに備えろと、素敵な笑顔で追い出されてしまう。そして親密度は上がらず、ハピエンを逃す。

それが1年目だけではなく!2年目も3年目もだ!!しかも難易度は学年が上がるに応じて上がっていくのだ。

極めつけは卒業前のテストが難しい!偏差値高めの大学入試レベルである。

テストの問題を書き写してからゲームをリセットしてやり直すプレイヤーもいたが、問題はやり直す度に問題が違うためあまり意味がない。

勉強が苦手なプレイヤーはこの実力診断テストで脱落してしまうが、1年目の実力診断テストをクリアすると、攻略対象者の1人の数学教師の初登場にして優しき微笑みスチルがGET出来る。

そのスチルがまた超美麗で良い!! 

詩織もゲームを進める為に一生懸命勉強したおかげで、リアルの成績がかなりあがった。



「さて、どの役柄を選ぶ?そこの…詩織はヒロインなんてどうだ?」


「ヒロインは…………」



天真爛漫で一日一善がモットーのふわふわの美少女。

あんなに可愛らしい女の子になれたら楽しいとは思う。


でも


「ヒロインはなりたい私とは違う気がします。」


その答えに神の目が丸くなった。


「そ、そうか?魂の色が柔らかい詩織の方がヒロインのイメージに相応しいと思うが。」


魂の色。


自身の色はどんな色なのか気になるが、それよりも今は転生するキャラクターだ。


選べるのなら、自分の好きなキャラクターになりたい。


「私は、クリスタになりたいです。」



クリスタとはヒロインのライバルキャラであり、ヒロインと攻略対象者の恋のスパイスとなる当て馬でもある。


ライバルキャラクターは悪役令嬢と言う風潮もあるが、クリスタは確かに眉目秀麗のお金持ちの令嬢だが悪役ではない。むしろ意地悪をされるヒロインをさり気なく守ってくれるサポートキャラだ。

クールでツンとしているが、たまに微笑むと極上に可愛い。それに顔がどことなく姉に似ている気がして、詩織はクリスタが大好きだった。



「クリスタか……。まぁ良かろう。」



ふん、と鼻を鳴らすと神は詩織から本を受け取る為に手を伸ばした。



「涼し気な顔で成績上位をキープするような当て馬の女が良いのか。」



ヒロインとしてプレイヤーがどんな努力をしても天才肌のクリスタはヒロインの1歩先を行く。そしてヒロインが学生として誤った選択肢を選ぶと、すぐさまクリスタがやってきてヒロインを正論で叩き伏す。それを良く思わないプレイヤーがいるのだが、神もその1人らしい。



「はい。私はクリスタが好きなので。私に選べと言うのなら……私は当て馬令嬢を選びます。」




詩織がにっこり笑って本を渡すと、その瞬間辺りが白く包まれた。


「イメージと違うが…まぁ良かろう。これから転生する世界は神である私の私的感情から、多少?干渉するが、ゲームではなく現実の世界だ。」


そう言う神の視線は本へと向いている。本を傷つけないように丁寧に包みを開封する様子に、姉からのプレゼントを手放してしまった罪悪感に胸がチクリと痛んだ。


「尊き本よ。私をハピエンに導いてくれ。」


不意に神の姿が遠ざかる。



「……?……!!」



魂だけの詩織が何かに吸い込まれるように落下していると、神が何かを言っていたが、詩織にはもう届かなかった。



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― 新着の感想 ―
[一言]  家族の事でショックを受けていた割には、アッサリ転生に納得しましたね( ´~`)  まあ、世界が滅んでいますし突然の事でまだ実感がなかったか、神が攻略本欲しさに何か干渉している可能性もありま…
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