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42(また別のお話)

気が付くと周りは真っ白だった。


上も下も前も後ろも白。


「………。」


少し離れた所にこたつとこたつの上にあるゲームの機械に繋がれたテレビがぽつんとあるだけ。


ゲーム機と一緒に置かれたみかんがとても美味しそうで、無性にみかんが欲しくなった。


そしてそのこたつに分厚い眼鏡でジャージ姿の少女が片足だけ突っ込んでお腹を出しながら眠っている。


「………へっくしょい。」


鼻水を盛大に飛ばしてくしゃみをする少女は、どうやら寒いらしい。


「?」


誰も触っていないのにまくり上がってお腹丸出しの服を直り、こたつの布団が少女を覆うと少女はニヤリと笑った。


「アル様ハピエン、うひょ〜ん。」


「うわ、気持ち悪っ。」


この少女は寝ぼけているのだろうか。


眠りながらぐふぐふと気色悪く笑う少女が気持ち悪くドン引きだ。


「えへへ………。」


幸せそうに笑う少女から離れたいが、周りは一面真っ白でこの少女から離れて真っ白な空間に身を投じるのは正直怖い。


「ぐふぅ、ヴァレリーらぶ。」


アル様、ヴァレリー。


その名に聞き覚えがあった。


「君にオレが攻略出来るかな?」


口から溢れた言葉はとある恋愛ゲームのタイトルである。


ふとこたつの上のゲームと繋がったテレビを見ると、美麗なスチルと共に表記されたNormal Endの文字。


「ハピエンじゃないじゃん。」


この『君にオレが攻略出来るかな?』通称『オレ攻め』は、超難易度の高いゲームですぐに飽きてしまったゲームで

このスチルは見た事がある。


「うう〜ん。」


そもそもここはどこで、この少女は何故ここで寝ているのだろうか。

いや、少女が何故ここで寝ているのだろうかではなく、何故ここにいるのだろうか。


「ここはどこ?」


こんな見渡す限り真っ白な場所なんて知らない。


「ここは神域だよ。」


呟きのような疑問に答えたのは、今まで眠っていた少女。


伸びをしてから起き上がってキョロキョロ辺りを見回すと、眼鏡の位置を直しながら溜め息を吐いた。


「やっちまった。初期化されるの何回目だよぉ。」



机に突っ伏してシクシクと泣き出す少女がウザい。


「ショックの過ぎて世界を滅ぼしちゃったじゃないかぁ。お気に入りの世界だったのに。」


「はっ?」 


滅ぼしちゃった、と確かに少女は言った。



「意味わかんない。あんた誰?」


「私はね、お前の世界を創造した神なんだ。」



自分は神だと、普通なら信じられないような話だが、何故かそれは本当だと理解する。


「私は、死んだの?」


「ああ、私の滅ぼしてしまった世界と一緒に死んだ。ここはお前の世界があった場所ではあるが、すでに神の領域、神域と化した。そして今のお前はしおりと言う個体の意識だった存在……魂と言う奴だ。」


汐里……それは自分の名前だ。




この白い場所が汐里のいた世界。

他に誰かいないの?


「ここに来れるのは神に呼ばれた魂だけだ。私は無意識にお前らを呼んだらしい。」


「お前ら?」


他に誰かいる?


でも見えない。


「正確には死ぬ直前に持っていた荷物。」



神がパチンと指を鳴らすと、汐里の魂から世界が滅びる直前にが持っていたあいつから奪った本が神の手に現れた。



「これはいらん。お前のだ。」


神が何かを汐里とは別の向きに弾くしぐさをしたが、やはり何も見えないが…、誰かいるらしい。



「うほおぉぉぉぉっ!!こ、これは君にオレが攻略出来るかな?の設定が書かれているではないかっ!!」


神が見ているのはあいつから奪った本と……何か。




目を凝らしてみたが……やはり何も見えなかった。

ブックマークをして下さった方&して下さっている方!!本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言]  順調にフラグが仕事をしています。  ……やはりヒロインを選ぶのだろうか(((((((・・;)
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