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初等部ではクリスタの在籍する学年になると貴族の階級に付いて習う。

学園内では身分は関係なく平等であると校則にはあるが、生徒同士でトラブルがあると親が介入する事もあり、身分が下の家の者は上の者に逆らえない風潮がある。


貴族の階級のヒエラルキーの頂点に君臨するのは皇帝だ。

その下に皇后や皇子や皇女と言った皇帝に近い順に皇族が続き、以下大公・公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵・準男爵・騎士と言った順に階級は下がっていく。

貴族のヒエラルキーの下には平民が続くのだが、平民が貴族になるためには頑張って騎士になるか、爵位を持つ貴族と婚姻を結ぶか、これまた頑張って国に多大な貢献をするかのどれかである。しかし自力で頑張るの場合一代限りの爵位である事が殆どだ。

大人である皇帝は初等部には在籍してはいない為、初等部でのヒエラルキーのトップは皇子アルトゥールである。

クリスタのように四大精霊や光や闇の精霊の加護を受ける一族には大公の階級が与えられているので、クリスタは実質初等部ヒエラルキーの次位で女子の中ではトップだ。


「ごきげんよう、クリスタ様。洗礼はいかがでした?」


久々の登校をしたクリスタにお嬢様らしく上品に挨拶をしてきたのは、クリスタのクラスメートのカーラ=スクウェア伯爵令嬢。

『オレ攻め』にもモブとして出演していた令嬢で、クリスタとは大の仲良しである。


「ごきげんよう、カーラ様。洗礼は無事に終わりましたわ。これで私も魔法が使えるようになりましたのって、どうしたの?カーラらしくない。」


上品に挨拶を返したクリスタだったが、気心しれたカーラとお嬢様らしくお上品に接した事は少ない為、思わず吹き出してしまった。


「お父様に、洗礼を済ませた者同士いつまでも子供のままではいかん!令嬢らしく慎ましやかにおしとやかに!淑女らしくいなさい!!って言われたのよ。でもクリスタ相手には駄目ね。」


クリスタよりも一月早く10歳になったカーラは一般的な貴族の洗礼をもう済ませている。

伯爵令嬢として一応は猫を被っているカーラだが、令嬢らしからぬお転婆な少女だ。


「おい、クリスタ!」


カーラとの談笑中に声をかけてきたのは、初等部ヒエラルキートップの皇子アルトゥール。


「おはようございます、ラフォレーゼ嬢。」


そして護衛騎士見習いのヴァレリー=スターレットだった。


「ごきげんよう、殿下。それにスターレット様。」


ヒエラルキートップであるアルトゥールに立って挨拶をするが、アルトゥールはふんぞり返っているだけ。


「洗礼が終わったんだってな。祝いに特別にこのオレの事を名前で呼ばせてやる。呼べ。」


名前で呼ばせる事が祝いかよ、とクリスタは顔では令嬢らしくにこやかに笑いながら心の中で思った。

しかもこのオレ!

呼べときた。


「お祝いありがとうございます。しかし、名前で呼び合うのは親しい間柄だけ。私が殿下をお名前で呼んでしまうと、いずれ選定される殿下の婚約者になられる方に不要な誤解を招いてしまいます。ですので、お祝いのお気持ちだけいただきます。」


家柄も申し分のないクリスタが皇族を名前で呼んでしまっては、アルトゥールの婚約者の有力候補まっしぐらになってしまう。


アルトゥールは第2皇子で、皇帝にはアルトゥールの兄が即位する予定ではあるが……皇族の仲間入りするのは正直避けたい。


詩織の時には最推しだったアルトゥールだが、実際接してみるとオレ様皇子は面倒くさいクリスタだった。



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