37
3人を包んでいた水の珠が弾けると、そこはクリスタの祖父の屋敷ではなく屋外。
「ここ……どこ?」
クリスタがキョロキョロと辺りを見回すと、遠くの小高い丘に祖父の屋敷と思われる建物がかすかに見えた。
子供の足で歩いて帰るには、少々距離がある。
「位置が狂った。」
そう言って座り込むヒュドールは、魔力が底を付いた状態で無理して水の魔法を使ったらしく、魔力だけでなく体力まで削られてしまったらしく青い顔で座り込んでしまった。
「何でお前はあれだけ魔力を使ったのに元気なんだ?」
気持ちが悪くなってしまったのか、ヒュドールは吐き気を堪えるために口元を手で覆いながらクリスタを眺めている。
洞窟内で使った魔力量はヒュドールよりもクリスタの方が圧倒的に多く、ヒュドールも保有出来る魔力量は多い方で、本人もそれを自覚している。
「魔力の回復スピードが速い……から?」
しかし能力を底上げされたハイスペック当て馬令嬢であるクリスタの魔力量は凄まじいかつ回復スピードも半端なかった。
「マシュー!ヒュドール!!迎えが来た!!」
ベンヴェヌードの声にクリスタもヒュドールも首を捻ったが、屋敷の方を見て納得。
巨大な竜巻に乗った祖父が猛スピードで向かってくる。
「まぁ……お前、あの人の孫だからな。」
屋敷から3人の方へと巨大な竜巻に乗って向かってくる祖父を見て、ヒュドールはクリスタの規格外の強さは遺伝だと思う事にしたようだ。
「3人共、無事か?」
3人の上空で竜巻から飛び降りた祖父はすごい地響きを起こして着地をすると、すぐに3人の安否を確認した。
「お祖父様、僕達は無事です。」
クリスタがそう応えると、祖父の目がウルウルと潤んでいく。
「本当に良かった。さぁ屋敷に戻ろう。マ…クリスタが発狂しそうな位心配している。」
祖父は座り込んでいるヒュドールを抱き上げると飛び立ち、続いてクリスタとベンヴェヌードを風で優しく屋敷まで運んだ。
屋敷のバルコニーではマシューとブルーノが待機していて、クリスタはマシュー、ベンヴェヌードはブルーノの所に降ろされた。
「ベンヴェヌード!無事で良かった。」
ベンヴェヌードを力強く抱き締めるブルーノは涙を流してる。
「怪我はない?」
マシューはまずクリスタに怪我がないかを入念にチェックをし、大きな怪我が無い事を確認すると、クリスタに向かって腕を広げた。
「おいで。」
マシューの安堵の泣き笑いの表情に、クリスタは躊躇う事なくマシューの腕の中に飛び込み、その胸にグリグリと頭をすりよせる。
「怖かったね。もう大丈夫だよ。」
マシューの腕の中で声も無く泣くクリスタの髪をマシューは優しく撫でていた。




