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「僕と光の力はどちらかが強くても弱くても駄目、同じじゃなきゃ駄目なの。僕達が加護を与えるのは、自分の力が弱くなっちゃった時。弱くなっちゃった力を人の魂の力を借りたい時なんだ。光は光の性質を持った魂、闇は闇の性質を持った魂の持ち主に加護を与えるんだけど……。あの子はものすごい闇の性質を持ってるの。だから光は弱くなるし、嫌になっちゃって他の国に行っちゃった。」


闇の精霊の話だと、光の精霊はこの帝国を出て行ってしまったらしい。


「本当は僕が追いかけたいけど、僕の力が膨れ上がり過ぎちゃって。今会うと光を押し潰しちゃうんだ。だからキューティーカナリア、お願い!光を追いかけて!!キューティーカナリアは光属性の精霊に好かれるんでしょ?きっと光を連れ戻せるよ!!」


光属性の精霊に好かれると言うのがキューティーカナリアの設定のようだ。だからこそ闇の精霊は、キューティーカナリアの衣装を身に着けたクリスタを追って来たのだった。


「僕は光を追い詰めた子を連れて、光から離れるよ。だから、光をお願い!」


クリスタとベンヴェヌードを包んでいた闇が薄くなり、相変わらず薄暗闇だが、少しだけ周囲が見えてくる。


闇の精霊が去っても薄暗闇なのは、光の精霊の力が弱まり、帝国から去ってしまった事が影響しているのだろう。


「クリスタ!!」


クリスタをギュッと抱き締めたのは父だ。


「無事で良かった。」


クリスタの無事を確認するように力強く抱き締める父の抱擁は苦しい。

苦しさのあまり、クリスタが父の背中をバンバンと叩くと、父は漸く話してくれた。


「話は聞こえていた。光の精霊を追うんだね?」


クリスタ達には周囲の声は聞こえなかったが、クリスタ達の声は周囲に聞こえていたらしい。


「はい。闇の精霊に頼まれましたので。」


薄暗闇の中、光の精霊が去った痕跡がキラキラと道標のように輝いている。

この光が消えない内に追わなくては。


「オレも行くぞ!!」


「クリスタ様をお守りするのは私です。」


元気良く手を上げたベンヴェヌードを遮るように、ヴァレリーがクリスタとベンヴェヌードの間に割り込んだ。


「じゃあ、ヴァレリーも一緒に行こうぜ!!」


「クリスタ様をお守りするのは私です。」


ニカッと笑ってヴァレリーの肩をポンと叩くベンヴェヌードに、ヴァレリーはとても嫌そうな顔をしている。

大事な事だから2回繰り返したようだ。


「私も一緒に行きたい所だが……第1皇子殿下と話をしなければならない事があってね。」


薄暗闇の中でもわかる良い笑顔の父に、リカルドの体がビクッと震えた。


「良いかい?ヒュドールだけじゃない、紫色の瞳を持つ者の名前は口にしてはいけないよ。」


父は良い笑顔だが、猛烈に怒っている。


ここは素直に頷いた方が良さそうだ。


「光の精霊はアクアドールの方向に行ってるな。………よし、オレも行く。」


ヒュドールにも光の精霊の痕跡が見えるらしく、ヒュドールの同行も決まった。



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