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ウンディーネを復活させた時、クリスタの心に隙間が生じてしまった。
原因はクリスタが詩織の大事な宝物を創造神に勝手にあげてしまったからなのだが。
タイミング悪く、母が好奇心を抑えて勉強をしたくなると言う精神干渉の魔法をかけたのだ。それによりクリスタの心が、クリスタと詩織とあの偶像に分断された。
それを見ていたヴァレリーBLエンド推しの創造神がこれ幸いと、クリスタと詩織を弾き飛ばして心の中に見えない壁を作ると言う暴挙に出る。そしてゲーム通りの無表情なクリスタに仕立て上げられてしまったと言うのが、今回の騒動だ。
父達にはヴァレリーBLエンドだけぼかしながら告げ、改めて礼を述べると皆笑顔でクリスタを受け入れてくれた。
皆の笑顔が嬉しく思うのと同時に沸き上がってくる怒り。
「許すまじ、創造神。」
創造神の干渉がなければ、周りを悲しませる事なく魔法は解けただろうに……。
勉強ばかりの母に多少の憤りはあるが、創造神への怒りの方が遥かに燃え上がっている。
ヴァレリーのBLエンドは絶対潰す。
固く心に誓ったクリスタの心の色を見て、クリスタの怒りの深さを知ったライムが震えあがっていた。
こうして母からの精神干渉の魔法を受ける前のクリスタに戻ったのたが、精神干渉の魔法を使うと言う事は国の法律上罪になる。クリスタの実母と言う事で実刑にはならなかったが、クリスタへの母からの接触が禁止されていた。
精神干渉の魔法の特性上、クリスタから目的(勉強)を奪ってしまうと本来の心に害が出るかもしれないと言う事で、母から課題を出され続けていたが、課題は伝令魔法伝で届けられていた為母に会ってはいない。
クリスタの状況にもよるが、母はアイリーンと共に実家に身を寄せていて、しばらくは会えないと言う。
クリスタから母に、魔法が完全に解けた事、母に対して少し怒ってはいるが愛している事、早くまた会いたい事を手紙で送った。
カーラにも伝令魔法で事情を話すと、その日の夜にクリスタの寮の部屋までカーラがお泊りセットを持ってやってきた。
無表情のクリスタを見放す事なくいてくれたカーラだが、やはり無表情のクリスタと一緒にいるのは辛かったらしい。カーラが泣きながら良かったとクリスタを抱き締めるので、クリスタも泣きながらありがとうと抱き返す。
カーラは魔力分けでは星3のクラスにいる。入学式後すぐのテスト……明日からのテストで今度は学力でクラスを5・4・3・2・1で分けられる。もしクリスタが学力テストで5を取ればクリスタは星5ー5で数字のトータルは10。
数字のトータルと本人の資質により正式にクラスがA・B・C・D・Eに分けられる為、カーラはクリスタと同じクラスになれるよう猛勉強をしていたらしい。
夜通し話をしたい所だが、明日のテストに備えて要点の確認をし、クリスタとカーラは同じベッドで眠りについたのだった。




