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「はじめまして、クリスタ=ラフォレーゼと申します。」



サラサラとした金に近いライトブラウンの髪のブルーノの手に手を乗せたまま、スカートをちょんとつまみ上げて挨拶をした金の髪のクリスタ……と名乗るマシュー。



「マシュー=ラフォレーゼです。」



その次に馬車から降りてきた少年………マシューと名乗るのは、銀の髪を1つに纏め、8分丈のズボンにベストとネクタイを合わせたクリスタだ。

男女の装いを入れ替えたにも関わらず、二人共とても似合っている。


マシューの履いているスカートはクリスタのロングスカートでストールはクリスタが母から借りた物だ。

クリスタが履いているズボンはマシューの膝丈のズボンでベストとネクタイはクリスタ自身の物である。



「あらあらあら……クリスタちゃんは銀の髪ではないのね。」



マシュー演じるクリスタが銀の髪ではなかった事に落胆を隠しきれないガドリン夫人が盛大に溜め息を吐いた。



「銀の髪じゃなくても……、美しい。」



ガドリン夫人は落胆しているが、その息子達は違う。

ブルーノはマシューの手をそっと握りながら、熱に浮かされたような顔でマシューの顔を見ている。



「おい、マシュー!」


ガドリン夫人のもう一人、ガドリン夫人譲りのくるくるとした茶色の髪の少年がクリスタの前に立った。


「オレはベンヴェヌード=ガドリン。一緒に遊ぼうぜっ!!」


「えっ?!」



ベンヴェヌード=ガドリン。


クリスタの記憶に間違いなければ……、『オレ攻め』に登場した人物の一人だ。

攻略対象ではなかったからあまり覚えてないが、クリスタ友人でクラスメイトだった気がする。


ベンヴェヌードはクリスタと同じ位の年齢だろうか。クリスタの腕を掴むと強引に歩き出した。


クリスタが助けを求めようと父の方を向くが、いつの間にかクリスタの至近距離にいたガドリン夫人によって父との間を遮られている。



「あらあらまぁまぁ!親友同士の子供を結婚させるのも良いわねぇ。マシューちゃん、ベンと仲良くして下さる?周りは年上ばかりだから、ベンには同い位の年齢のお友達が少ないの。」



兄は?と思いマシューを見るが、ブルーノから熱い視線から逃げたいと、逆にクリスタに助けを求めていた。



「ベンヴェヌード、待って!」



長い時間馬車に乗っていて疲れている自分も助けて欲しいが、どちらかと言うと兄の方がピンチらしい。



「遊ぶ前に荷物を片付けなきゃならないんだ。それにお姉様が疲れているみたいだから休ませてあげたい。」



男の子っぽく……を意識し過ぎてたどたどしい言い方になってしまったが、荷物を片付けなければならないのは本当だ。



「召使いにやらせれば良いだろ?遊ぼうぜ!」


「駄目だ。自分で出来る事は自分でやらなきゃ立派な大人にはなれない。」



クリスタのベンヴェヌードの第一印象は典型的な我儘なお金持ちのおぼっちゃん。

『オレ攻め』ではどうだったのか……思い出そうとするがクリスタとして生まれ変わってもう10年と言う時の流れの中でモブキャラを覚えていられるかと言ったらNO!だ。



「だから……荷物を運ぶのを手伝ってくれないか?そうしたらお姉様を休ませてあげられるし、早く遊べる。」



手伝って欲しい…その言葉に一瞬ポカンとしたベンヴェヌードだったが、早く運べば遊べると理解したのかすぐに笑って頷いた。

評価をありがとうございます。頑張ります。

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