ママ殿に許してもらうのじゃ!
「一郎のママ殿、なにとぞ私をお許しを!」
見つかってしまった麗華はその場で床に頭を擦り付け、土下座をし、ひたすら平謝り。
「許しません!」
一郎の母は背後から燃え盛る炎のオーラを放って麗華を威圧。手に持った箒が麗華にはまるで黄金の槍のような凶悪な武器に見えた。
「私は怪しいものではないのじゃ。信じてほしいのじゃ。ただ、部屋で一郎と話をしていたら小腹が空いたのでつい……」
母の剣幕に麗華の顔は引きつり、冷や汗がダラダラと流れ出る。
「ママ殿、この場はどうか見逃してほしいのじゃ」
「ここで見逃したら警察はいらないわよ」
「警察に突き出すのはやめてほしいのじゃ。だだでさえ慣れぬ世界に召喚された身、この上、警察に連れて行かれるとなれば私の命は尽きてしまうじゃろう」
「勝手に人の家に乗り込んで冷蔵庫の食べ物を全部食べて許して欲しいというのは虫が良すぎるんじゃないかしら」
「ツッ……」
痛いところを突かれ、言葉に詰まる麗華に一郎の母はぐっと顔を近づけ。
「あなたが自分のお金で全部買ってきてくれるのなら考えてみてもいいわよ」
「本当じゃな!?」
パアアッと目を輝かせる麗華。この場を切り抜けられるのならば何でもするとばかりに、買い物バッグを手に取り、ニコニコ笑顔で玄関の扉を開ける。
「いざ、買い物に出陣なのじゃ! この生徒会長である伊集院麗華にかかれば、どんな買い物でも達成できるのじゃ!」
「あなた、そんな生意気なこと言っている場合?」
「ママ殿、行ってきますなのじゃ!」