愛と力
疲れた身体を流してくれるあたたかい湯
布団にうずくまって思いきり筋肉を伸ばしてみる
幸せがゆっくり染み込んできた
眠くなる前に家を飛び出し
まばゆいライトの自転車を漕ぐ
リュックいっぱいに本を背負って
いつものファミレス
いつでも気持ちよく迎えてくれる店
橙の照明はとてもやわらかい
強いタバコでくらりとして
ほんの少しだけ夢見心地になる
コーヒーには二つのミルクを入れて
深呼吸して心を休める
けれど豆の香りが広がって
神経が無駄なく鋭く研がれていく
暗い空間にくっきりと糸がみえ
集中力が静かに高まる
ぐるぐる言葉が飛びまわる
あの子の照れ笑いが脳裏をかすめ
俄然やる気が湧き始める
二、三口だけ飲み残しておいて
僕は小説の一頁目を開くのだった