夏の匂い企画:クチナシの香り
クチナシの香り 2019/07/22
公園に駆けて行くとクチナシの花が香っていた。
梅雨である。雨の中を、ブランコや滑り台が雨粒に輝いている。
キラキラ光る星のようなブランコや滑り台を見ながら、
クチナシの白い香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
スズメが水遊びをしている。
となりの家からは、ジャズの音楽が流れてくる。
カラスがジャズにあわせて踊っている。
ジャズが盛り上がっていくと、白い煙がもわっと舞い上がり
公園中にひろがってしまった。
公園にあったラクダやパンダの小さな乗り物が、むくむくと起き上がり
あわてながら煙のもとをさがしている。
煙がなくなってしまったとき、ジャズもスズメもカラスもみんなどこかにいなくなり
小さな公園には、ただ煌めくクチナシの香りの光が降り注いでいるだけだった。
いったい、どうしたことなのか?
公園にいるのはわたしだけだったので、調べようもなかったけれど
ネットのみんなにその話をしたら、
「それはきっと、梅雨が明けようという合図なんだろう」
「夏の香りがいたずらをしたのだろう」
ということで決着が付いた。