表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/141

081 第13ドック4

 迎賓館では豪華な食事も出た。

さすがは生きている施設だ。

だが待て。この食材は何らかの保存庫で何百年もストックされていたものじゃないだろうな?

時間停止倉庫なら確かに入れた当時のままなんだろうけど、気分的には躊躇する。


「セバスチャン、この食材の出どころは?」


「はい。久しぶりに稼働させた食品工場の品です。

こちらをご覧ください」


 セバスチャンが魔法による巨大スクリーンを壁際に展開し、食品工場のリアルタイム映像を映してくれた。

その結果、しっかり新鮮食材だと確認できた。


 植物は農業プラントで促成栽培されていた。

種は使わず、植物のDNA培養によるクローン増殖だった。

全てゴーレム(機械)化されていて全自動で野菜が収穫されていた。


「作れる野菜の種類は、あまり多くないようだな」


「はい。昔の品種ですので、現在とは多様性が異なるかと思います」


 所謂原種か。


「現在の品種も生産可能か?」


「はい。実物があれば」


 それは是非生産してもらおう。

ここで生産してズイオウ租借地へ運んでもいいだろう。

俺の農場で採れた野菜や果物を提供する。

これらのDNAを登録することで、次からは馴染みの野菜を食べることが出来るそうだ。


 肉と魚も食肉鮮魚工場があった。

なんと魔法陣に魔力を流すと肉系魔物や魚系魔物がポップするのだ。

この魔物が自動的に麻痺させられて、ある区画を通ると解体食肉となって出て来る。

肉を解体するプロセスは見えないようになっている親切映像だった。

さすがに食事の席でスプラッタ映像は見たくないからね。

魚も大きいものは三枚におろされて冊になったものが出て来ていた。


「小さなエビやカニみたいな魚介類も供給できるのか?」


「はい。こちらをご覧ください」


 魔法陣で大量にポップしたエビ、カニ、魚、貝類が生きたまま箱詰めされた状態で出て来ている。


「おお、これはいいな。

ちなみにあれは?」


 俺が指さした先は会場の中央に添えられた牛の丸焼きだ。

あ、プチが嚙り付いている。大きな肉に大喜びだ。


「はい。こちらはパーティー食材として予め指定すれば解体せずに用意してもらえるのです。

こちらの巨大カニも同様です」


 パーティー用途の巨大カニや丸焼き用牛などは要相談らしい。


「魔物ポップ魔法陣いいな。うちにも食肉鮮魚工場を設置したいところだ」


「はい。工場設備をご用意いたしましょう」


 おお、輸送艦を造っておいて良かった。

これで最新――いや過去の技術だが――設備が手に入り放題だぞ。


「ちなみにここの食品製造能力は、どのぐらいある?」


「はい。そうですね。1人1日3食として日産100万人分でしょうか」


 あれ? ここに住んだ方がズイオウ租借地より便利だぞ?

これからも人口は増えるし、ここに遷都しようか?

いや、この施設移動出来ないかな?


「ちなみに第13ドック全体は移動出来ないよね?」


「はい。流石に無理です。

この施設の稼働には魔力を大量に必要とします。

その魔力は魔導機関だけでは足らず、地下を流れる龍脈から大部分を得ています。

ここを離れるということは魔力不足で稼働できなくなるという事です」


 なるほど。ここに地の利があるわけね。

ただ、この言い方だと動けることは動けるという感じだな。

まあ施設が稼働しないのであれば宝の持ち腐れだもんな。

龍脈か。それさえズイオウ租借地の側にあれば移動させるのも手だな。



◇  ◇  ◇  ◇  ◆



 迎賓館で快適に過ごして4日、ルナワルドの整備とガルムドの修理が終了した。

使用不能だった単装魔導砲塔は新品に交換され使用できるようになっていた。

これは陸上戦艦なら1発で大破させられる兵器だ。

それを保有する艦が2艦あるということは大きな抑止力になるだろう。

ルナワルドの後部甲板にはキルトタル用の連装魔導砲塔が乗せられ、荷崩れしないようにワイヤーで拘束固定されていた。


「一応、これで目的は達したんだが、輸送艦の建造終了にはまだかかるよね?」


 俺の質問にセバスチャンが即答する。


「はい。クランド様のおかげで工期が短縮されましたが、あと1週間はかかります」


 1週間か。意外に早いな。

最初は1か月予定で、俺が艦体を製造してやったら工期の50%が終わったという話だったから、もっとかかると思っていた。


「1週間なら待ってもいいか。

ちなみに食肉鮮魚工場は、どのぐらい出来ている?」


「はい。基幹部品の魔法陣部分なら既に完成しています。

それ以外の解体工程他の工場全体があと1か月はかかるかと」


「待て、基幹部品があればいい。

箱詰めや解体は人手が余るほどある。

工場全体はさすがに必要ない」


「はい。それではそのように手配いたします」


 危ねー。俺が工場が欲しいと言ってしまったから建物から全体を製造する気だったよ。

ルナワルドはキルトタルの魔導砲塔でいっぱいいっぱいだし、ガルムドは後甲板に荷物を置くスペースがない。

これを持ち帰るには輸送艦の竣工を待った方が良さそうだ。

ここらへんは北の帝国がウロウロしているし、また遺跡を探しに来ないとも限らない。

非武装の輸送艦単艦で運ばせるのは、ちょっと心もとない。

なので護衛戦力込みで移動したい。

それに、輸送艦の新装備も試してみたいからね。



◇  ◇  ◇  ◆  ◇



 1週間が経ち、輸送艦が竣工した。

輸送艦の側面にはキルト=ルナトーク=ザールの国旗が描かれ、艦首と艦尾にも国旗がはためいている。

このペンキは俺が錬成して提供したのだが、第13ドックの工場は簡単に複製して見せた。

ちなみに鹵獲したガルムドと、第13ドックに配備されていた戦闘艦――エルシークという名だ――の側面にも描かれ、艦首艦尾に国旗が掲揚されている。

新造の戦闘艦にも描かれるそうだ。


 この輸送艦にはキルトタルの連装魔導砲塔と食肉鮮魚工場の基幹部品が梱包されて載っている。

実はキルトタルの連装魔導砲塔は、1基手に入れたら俺がもう1基を錬成で複製するつもりだった。

だが、第13ドックでは、キルトタル用の連装魔導砲塔をフル装備分の2基用意していてくれたのだ。

現物があるなら錬成するより早いので、持ち帰ることにした。

ここでも輸送艦の建造が良い結果になった。


 ちなみに俺はこの間毎朝ズイオウ租借地に転移して租借地で起こったトラブル解決や奴隷解放などの業務に勤しんでいた。

ニルのワイバーン騎兵隊はルナワルドに搭載されたワイバーンの世話をし、ティアは騎士たちと訓練をしていた。

第13ドックには地球のような特殊部隊装備が充実していて騎士の特殊部隊化が進み過ぎた気がする。

戦闘服、ボディアーマー、ヘルメットにゴーグル、特殊なブーツ、ごっついナイフはまだいい。

自動小銃だけはみつけたが内緒にした。殺傷力が高すぎる。

彼らにはパラライズが丁度良い。

なので無駄に時を過ごしたわけではないのだ。


 第13ドックに来てから12日目、とうとうズイオウ租借地に帰還することになった。

ルナワルドの後部甲板にはキルトタル用の連装魔導砲塔が2基載っている。

そう2基。実はこれが輸送艦の新機能だった。

そのままでも独立して移動出来る全通甲板を持った輸送艦が、後ろ向きでルナワルドの後部に連結しているのだ。

輸送艦を造っても、運用する人員は訓練などの関係でまだ割り振れないので単艦運用は諦めた。

となると、無人運用することになるが、北の帝国とのトラブルなどの緊急時対応が問題となる。

その時、無人でも良い方法というのを考えた結果が、有人艦の後ろに連結して運ぶということだった。

見た目もかなり一体化するように調整した。

そのためルナワルドの後部が長くなった――全長130m――だけのように見えているのだ。


 ルナワルド+輸送艦を先頭に第13ドックの出入口となる隔壁へと通路を進む。

後ろにはガルムドが従う。

ちなみにガルムドの艦橋にはティア他5名の騎士に乗ってもらっている。

ルナワルドとガルムドのシステムコンソールは王国公用語対応にバージョンアップされているためティアでも運用可能なのだ。

もちろん管理者としてティアに一部権限を譲渡しているからだけどね。

しかし、これも戦闘まで出来るとは思っていない。単なる運搬要員としての搭乗だ。

この王国公用語バージョンアップソフトはキルトタル用も手に入れている。


 下部隔壁を抜け竪穴を浮上すると上部隔壁が開き地上に出た。

ガルムドが下部隔壁を出ると下部隔壁が閉まる。

そこにもキルト=ルナトーク=ザールの国旗が描かれている。

この施設の所有権の主張だ。

ガルムドが浮上し上部隔壁の上に出た。

上部隔壁が閉まる。上部隔壁は周囲に溶け込むように偽装が施してある。

これで北の帝国がウロウロしていても容易には見つけられないだろう。

もし見つけてちょっかいを出して来たら魔導砲も使って殲滅する。


 素晴らしい施設を手に入れた。

リーンワース王国には、この地の所有権を主張しておこう。

所謂飛び地だ。リーンワース王国も反対はしないだろう。

キルト=ルナトーク=ザール王国はここに初めて借り物でない領地を得たのだ。

蛮族? 彼らは国家として国土を持っているわけじゃないので、国民になりたいなら迎えるつもり。

これがこの世界のルール。都合よく使わせてもらおう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ