070 懐妊ラッシュ
クラリスの処遇で悩んでいた俺は、嫁たちがどうして俺に嫁いでくれたのかが知りたくなって、嫁たちを執務室に呼んで話を聞くことにした。
いや一方的な話じゃなくて俺自身は嫁たちを愛しているからなんだけどね。
まず初めにサラーナを呼んだところ、サラーナとターニャが一緒に来た。
アリマとナランにニルは、どうせ同じだからと来ないそうだ。
キルト族は嫁ぐ価値観が同じなのか……。
「サラーナは、どうして俺に嫁いでくれたんだ?」
「わらわは、主様の魔法の凄さを見て、主様が世界一の強者だと思ったから嫁いだんだぞ?」
そうなのか。
そういやサラーナは俺の魔法を見てから急にデレた気がするな。
「ターニャもそうなのか?」
「主君、キルト族は強い者に嫁ぐのが誉れなのだ。
アリマとナラン、ニルも同じだ。
この地に暮らすキルト族の女共も、いつでも閨に上がる覚悟があるぞ」
「うっ。それは勘弁して欲しいなw」
俺はあまり深刻に受け取らずに流そうとしてしまった。
「だが、キルト族の男は戦争で極端に減ってしまった。
このままではキルト族が絶えてしまう。
主君には覚悟してもらいたい」
民族存続の切実な話でした。
「えーと。今は適齢期のキルト族女性が万の単位でいるんだっけ?
流石にそれは無理だよ」
「まあルナトークの騎士団員に惚れている者もいるから全員というわけではないのだがな。
とにかく、ここには強者と呼べる者の数が少ない
その中で最強の主君が人気なのは当然なのだ」
「側室にしなくてかまわないから、主様の種だけちょうだいよ」
サラーナ、ちょっと下品です。
「種だけって……」
「マチュラを増やすときにやっている方法だ。
性行為をしないで精子を子宮に注入して受精させる」
ターニャ、それダメ―! 人権的にアウトです。
女性を家畜と同じようになんて絶対ダメ。
いくらこの世界で有りでも、そこは俺的に絶対無理。
奴隷を買ったのも、解放して従業員にするつもりだったし。
行為も無理強いはしてないし、解放出来るなら解放したいと思ってたし。
今は一人も奴隷身分はいないぐらいなんだからね?
「それはさすがにダメだよ。
かと言って全員とするなんて物理的に無理だからな。
なるべく希望に添うようにするけど、他の男性を紹介出来るならそうして欲しい。
遺伝子プール的にも多様性が無いと拙いんだぞ」
ターニャの目がキラリと光る。
拳を握って小さくガッツポーズをしている。
「期待してますからね?」
あ、ヤバい。言質とられたってことか。
しかし、一回で妊娠するわけもないから、途方もないことになるな。
ピコン!
その時、魔導の極さんが久しぶりに囁いた。
『懐妊魔法』?
【百発百中、排卵を促し、確実に妊娠させる魔法です。
『高度回復魔法』が併用されるため不妊の病も完治させます】
うわ。とんでもない魔法が手に入ってしまった。
いや、これで子供を欲しがっていたアイリーンにも……。
「やったるわ。全員纏めてかかって来い!
いや嘘です。ごめんなさい」
「主様、遠慮しなくていいんだぞ♡」
一人懐妊している余裕か、サラーナがとんでもないことを口走る。
ターニャは早速スケジュールを作るためにキルト族の居留地に向かったようだ。
優先順位とシフトを決めるとかなんとか……。
「アイリーンはどうして俺に嫁いでくれたんだ?」
「あなた様を愛しているからですわ♡。
奴隷として売られ、逃げ、大怪我を負い、廃棄処分になろうとしていた私に、希望を与えてくださったのが、あなた様なのですわ♡」
なんて真っ直ぐな目なんだ。
「俺も愛しているよ。
そうだ『懐妊魔法』という魔法を覚えたんだ。
確実に妊娠できる魔法だそうだ。
良かったら俺の子を「うれしい♡!」」
アイリーンが俺の胸に飛び込んで来た。
この後(以下略)
アイリーンが懐妊した。
「リーゼは……」
リーゼにジト目で見られた。
執務室の外で待っていたからな。
声が駄々洩れだったかもしれない……。
「主君、私は、姫様が信じる御仁であることと、私のような者に貴重な光と聖の属性石を使ってくださったこと、何より新たな人生をいただいたことを感謝して嫁ぎました」
「俺に惚れたわけではないのか?」
「ふふふ。最初は姫様のお側に仕えるための打算もありましたが、好意をもたない相手と身体を重ねることはありません」
「リーゼ、良かったら俺の子を「今は駄目です」」
リーゼが食い気味に拒否してきた。
「自然に出来たのなら嬉しいですが、今は他に仕事がありますので無理に妊娠するつもりはありません」
「そうか」
「私もリーゼと同じです」
リーゼと入れ替わりで入って来たティアが質問する間もなく答える。
「それでは、仕事がありますので」
ティアはそう言うと嵐のように去って行った。
うん。好意を持ってくれているならいいか。
「シャーロは……?」
「クランド様の魔力がキラキラして心地よくて、ああ、この人が私の旦那様になるんだなって直感したんです♡」
ああ、エルフには人に見えない物が見えているのか。
俺がこの娘をオークションで買ったのは、その場の雰囲気に飲まれたせいだったけど、他の誰かの所へやらなくて良かった。
これも運命だったんだろうな。
「俺もオークションで直感して買わなきゃって思ったのかもしれない。
奥さんになってくれてありがとう」
「うん♡」
「ところで『懐妊魔法』という魔法を覚えたんだが、確実に妊娠できるそうだ。
どうする?」
シャーロの顔に花のような笑みが咲いた。
「エルフは人族とは妊娠しにくいの。
確実に妊娠出来るならうれしい♡」
この後、(以下略)
シャーロも懐妊した。
「ミーナは?」
「とっくに逃げましたわ」
ミーナの代わりに入って来たのはクラリスだった。
クラリスとの関係をどう進めていくか悩んだ末の嫁面接だったのだが、本人が来てしまうとは……。
「クラリス、来てたのか」
「クランド様が妊娠させてくれると噂になっておりますわよ?
私も是非お願いしますわ♡」
誰だ、そんな噂を流したのは。
ちくしょう。間違ってないけどな。
クラリスは政略結婚でリーンワース王国から嫁いで来た。
現リーンワース国王の七番目の娘で、母親がザール王家の出のためザールの血も継いでいる。
俺がズイオウ租借地に抱えている民にザール連合国出身者がいたため、統治にも都合が良いということで彼女に白羽の矢が立ったようだ。
容姿はピンクブロンドの背中までのストレートヘアにピンク眼白肌の身長158cm、胸はBカップぐらいのスレンダーな女性だ。
年齢は16歳とこの世界では結婚適齢期、くりくりとした目の美人というよりまだ可愛いと評した方が良い感じだ。
容姿的には俺の好みドストライク。こんな嫁がもらえるなんて嬉しい限りだ。
だけど政略結婚という部分が引っかかってしまい、まだ夫婦となるのに尻込みしていて同衾したこともない。
「本当にそれで良いのですか?
好きでもない男の元へ親の命令で嫁がされて、あなたは幸せになれるのですか?」
俺はそこが気になって失礼ながら聞いてしまった。
「最初は政略結婚ということで、旦那様には興味もありませんでしたわ。
しかし、ここで生活するようになって、旦那様の人柄や仕事ぶりを見て興味を持ちましたわ。
今では、この人の元に嫁いで良かったとさえ思っていますわ♡」
え? そんなふうに思ってくれていたんだ。
つい『鑑定』を使っちゃったけど嘘は言っていない。
まさか、本気で俺の子が欲しいということなのか?
「本気なんだね。俺はクラリスさえ良ければ喜んで本物の夫婦になりたい」
「私も喜んで夫婦になります♡
クラリスとクランド、名前も似てますわ。
運命を感じませんか?
幸い邪魔なメイドもここには居ません。
どうか抱いてください♡」
「クラリス!」
「クランド様♡」
ああ、ええ子や。
この後、(以下略)
勢いでクラリスを妊娠させてしまった。
これで完全に夫婦だ。
しかし、リーンワース国王が義父だぞ。
多少のお願いは聞かざるを得ないだろうな。
なんか掌の上で転がされた気もする。




