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045 時計

 ケイトが帰るまでに聞き出した情報によると、俺が疑われた理由は次の点だった。

男の身長体格、小さな茶色い犬、美人の複数連れ、金使いが荒い、ワイバーンの色。

なんとまあ、他人の空似で片づけてもいい範囲の情報で疑われたものだ。


 この世界、写真や人相書きなどという個人を特定するための手段が乏しい。

中には依頼書にあるいくつかの単語の意味しか読めていない冒険者もいるという。

あまりに大雑把な情報で人探しをしているのがわかる。

だからこそ、こんな他人でも該当しそうな部分で疑われたということだ。

しかも、冒険者が情報提供したとして、それが間違っていても偽情報を掴まされたと罪に問われることがない。

単純に個人の時間が無駄になるだけなので、宝くじを買うかの如く当たれば儲けものと情報提供が行われるのだ。


 つまり、俺がやっていた細かな差異による変装など、その大らかな捜査体制にとっては誤差以下だったのだ。

そうなると依頼書に該当しないメンバーに買い物を委ねるしかない。

俺の関係者だという情報が全くないアイとアン、変化(へんげ)で活動する二人、これらを二手に分けて別行動させる。

これで複数の美人というワードをクリア出来る。

俺が今回街まで行った理由は、俺が一度は行った場所ではないと転移ポイントが作れないからだ。

転移ならワイバーンに乗らなくても街まで行ける。これでワイバーンをクリア。

俺が彼女達を転移で運び、目撃されないように街に入らずに戻る。

当然プチは連れて行かない。これで男と犬をクリア。

金遣いは町に行く頻度を上げて、一回の買い物料金を減らすしかない。

今後は街に行くメンバーを転移で密かに運び、時間で待ち合わせるという方法で物資を調達しよう。

これで全てクリア出来るはずだ。


 そこで気付いたのが、時間がわからないこと。

この世界では昼間の時間を等分して時間を決める不定時法が採用されているらしく、太陽が出ている時間を十二等分して一時間とし、二時間に一回鐘を鳴らすようになっている。

だが、これもほぼ適当だ。鐘を鳴らす仕事の者が太陽の位置を見て個人の経験と()でやっているのだ。

曇ったり雨の日で太陽が見えなかったりすると、ロウソクの溶けた長さを基準にしたりする。

それと農場での時間は、システムコンソールから支給されたモバイル端末に表示される定時法の時間が基準なので、街の時間とはどうしても違ってしまう。

一番簡単な方法は、そのモバイル端末を買い物組に持たせることだが、逆にそれこそがクランドの関係者という証拠になりかねない。

危険を冒さないために、この世界の人間に気付かれない何らかの単純な方法で時間を知る必要がある。


 錬金術で機械式の時計を作ろう。

生産の極さんに助けてもらえば、簡単だ。

うろ覚えの時計の知識で機械式時計が完成する。

結構な時間を使って完成をみた時計は満足のいく出来だった。

動力は燃料石で、制御に魔宝石を使っているのが地球の時計と違うところだ。

大きさは懐中時計に収めた。


「主君、それは何だ?」


 リーゼが興味津々で時計を見ている。


「これは時計と言って、時間を数値化する道具だ。これで買い物班と時間で待ち合わせをする」


 俺のその言葉にリーゼが呆然とする。


「主君、そんなものが存在するなど、(わたくし)は知らない。それは国宝級アイテムだ……」


 俺は「まさかそんなことが……」という目でリーゼの顔を見つめる。

それに対しリーゼが「冗談ではないのですよ?」という真剣な目を返す。

そうだった。この世界に機械式時計なんて存在しなかったんだ。

論外だ。こんなもの国宝級のNTRナショナルトレジャーレアアイテムだ。

俺は機械式時計を諦めた。目視の不定時法の世界に正確な定時法の時計を持ち込むのも論外だ。


 そこで俺は気付いた。そうだ、魔法鞄もUR(ウルトラレア)アイテムではないか。

これは背嚢型の魔法鞄を作る必要があるな。

見た目は嵩張って見えるが、中は魔法鞄で容量重量軽減に時間停止を付ける。

所謂ダミー型魔法鞄だな。それを人数分(四つ)用意しよう。


 話を戻して時計。

俺は熟考し一つの結論を導き出した。

時間魔法があるから、魔法で時間がわかりそうなものだ。

その俺の考えに魔導の極さんが反応する。

時間経過で色の変わる属性石が作れるらしい。

時間魔法の難易度としては遊びレベルの魔法らしい。ロストマジックらしいけど。

その魔法『タイム』を闇の属性石に付与する。

闇の属性石は魔法鞄にも使っているので物凄く簡単に作れる。

これを指輪に嵌め込んで完成。

機械式時計で使った労力と時間がバカみたいだ。


 光をプリズムに通して分光した時に出来る虹色の、赤から紫までの六色に時間で変化する宝石の指輪が出来た。

赤、橙、黄、緑、青、紫の六色だ。この六色にを時間できっかり色が変わるようになっている。

最初に完成したものは秒単位でジワジワ色が変化していくので中間色が何時ぐらいかわからなかった。

それを改良したのが二時間毎の色変化バージョンだ。

これで何色の時に集合とすれば待ち合わせが簡単に出来る。

どうせ変化(へんげ)の有効時間は四時間だ。

買い物は色一つ変わる間または色二つ変わらない間ということでいいだろう。


 余談だが、ジワジワ色の変化(へんか)する属性石はサラーナとシャーロに綺麗と大好評だった。

指輪にしてあげた。もしかしたら、国宝級の宝石を作ってしまったのかもしれない。

他の嫁は属性石には興味がないけど、指輪には興味があるようだ。

なんらかの宝石を採取しに行って指輪をプレゼントしようかな。

丁度元火山もあるし、不公平はいけないよね?

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