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033 釣り三昧

 アリマ班と別行動をとった俺達は港町ことロージアボンの街を抜けると港へと向かった。

港には倉庫が建ち並び、複数の船着き場は荷下ろし作業をする労働者で賑わっていた。

船は帆船で風の力で下流から遡って来ているようだ。

動力として風魔法を併用しているのかもしれない。


 周囲を見廻すとポツポツと釣り人が見える。

漁師ではなさそうなので、俺達が釣りをしても怒られることは無いだろう。

ただ、労働者の邪魔になり煙たがれているようで、ここで釣るのは控えた方が良いようだ。


 俺たちは大河沿いを南下――北は城塞があり行かれない――して釣り場を探した。

大河沿いには並行の道があり、大河との間には芦原があった。

芦原を通って大河まで向かう小道があったので、そこを進む。

しばらく進むと大河に出た。ここは大河の波打ち際が開けている。

ここで釣りをすることにしよう。


「ここにしよう」


 皆に告げて、俺はインベントリから折りたたみ椅子を人数分出し釣り場を確保した。

キャンプ用のテーブルも広げ、ビーチパラソルも設置して日陰を作る。

褐色肌のサラーナとミーナはまだしも、真っ白な肌のアイリーンに日焼けはきつそうだからね。

アイリーンとサラーナはそこで寛いでもらう。


「ミーナ、釣るぞ!」


 ミーナに竿を渡し、俺もルアーを投げる。

そう、これはルアーフィッシングなのだ。

地球での趣味が高じてイメージが鮮明だったため、この世界でも釣り道具が作れてしまったのだ。

ただし、糸が魔物由来だったりといろいろ工夫はしている。

ミーナは俺の道具作りを見ていて興味を持ったというわけだ。

ルアーのキャストなんて地上でも練習できるからね。

そこにパクリとヒット(針はありません)したのがミーナだったというわけだ。

猫かお前はと突っ込んだのは言うまでもない。豹だったけど。


 一投目、試しで普通にリールを巻いているとまさかのヒット。

ルアーの大きさからあまり大きいものは釣れないはず。

まだ釣り糸の強度に自信が無いのだ。

リールを回して糸を巻き、なんなく釣り上げる。

なかなか動きがあって面白い。

だが今日は食材として釣りに来ている。

魚のアクションを楽しむ暇はない。


「これはマスかな?」


 どうやら食べられる魚のようだ。バケツに放り込む。

その魚をミーナが素早く生き絞めする。これでインベントリに入れられる。


 ミーナがキャストするとミーナの竿にも即魚がヒットする。

どうやら魚影が濃いようだ。

続けざまに俺もヒット。

ミーナがナマズを、俺がシクリッドのような魚を釣った。

シクリッドは鯛っぽい淡水魚だった。

俺とミーナは夢中で魚を釣りまくった。

しばらく魚料理が食卓に並ぶぐらい釣りまくった。


 その様子を見ていたサラーナが釣りをしたがった。

サラーナは内陸国の出なので、魚釣りをしたことがなかったのだ。

サラーナにリールの使い方を教え練習させると、練習中にも関わらず魚が釣れた。

これにサラーナが嵌った。

女性が釣りをするのに一番の障害となる餌付けがないのがルアーフィッシングのメリットだ。

サラーナは魚を触ることに対する忌避感もなかったのでルアーフィッシングの素養があった。

その後、釣りに釣りまくった。俺が釣りを出来ないぐらいだ。

今度来る時はサラーナ用と呼びの竿を用意しておこう。

サラーナがたまにルアーをひっかけることがあったが、これは良く起こることだ。

俺が予備のルアーに交換してやればいいだけだ。


 竿を奪われた俺は違う漁を行っていた。

かご漁だ。かご罠にオークの内臓肉をセットして川べりに沈めておく。

これを5個ほど沈めておいた。

エビ、カニが手に入らないかと思ったのだ。


 しばらく経って、サラーナが釣りに飽きたころ、アイリーンとサラーナを連れて俺はかご罠の成果を見に行った。

一つ目のかご。狙い的中。手長エビが大量に入っていた。

やはりここら辺は魚影が濃い。魚もその餌になる生き物も豊富なようだ。


「これはエビですね」


 アイリーンが喜ぶ。アイリーンはエビが大好物なんだそうだ。

二つ目のかごを上げる。これも狙い的中。モクズガニだ。俗にいう上海ガニの近縁種になる。


「まあ、カニまで」


 これで食卓が豊かになる。これは定期的に漁に来る必要があるな。

三つ目のかご。手長エビと川エビが半々ぐらい入っていた。

続けて四つ目。何か大きな物が入っている。


「大きなハサミ。まさかロブスターか? いや巨大ザリガニか!」


 イセエビサイズのザリガニが6匹入っていた。

これは美味そうだ。

最後のかごにも期待が持てる。

かごを引き上げる。ワクワクしながら待ち構えるアイリーンとサラーナ。

普通に手長エビが入っていた。


 さて問題はこのエビとカニをどうやって持って帰るかだ。

インベントリには、生き物が入れられないというお約束がある。

微生物は可だが虫になると不可だ。

自動拾得では生き物を排除して収納してくれている。

エビカニサイズになると間違いなく入れられない。

かといって川の生き物だ。泥を吐かせないと味が落ちるだろう。


 そこで魔導の極さんが働いた。

『クリーン』をかけて泥抜きし『アイス』で瞬間冷凍をかけて殺し、インベントリに収納する『冷凍保存』の魔法が完成した。

サクッと『冷凍保存』をかけていく。

俺とサラーナが釣った魚は『冷凍保存』、ミーナが生き締めした魚はそのままインベントリに収納した。

楽しかった。サラーナもアイリーンも満足していた。





 西門前まで戻ると、アリマ達が買い物を終えて待っていた。


「待たせた?」


「いえ、つい先ほど着いたところです」


「こっちは大漁だったよ。そっちは?」


「なかなか面白い食材が手に入りました。日用品の物価もこちらの方が安いようです」


「そうか。じゃあ帰ろうか」


 俺達は連れ立って西門を出るとしばらく街道を進んだ。

人気が無くなったところで俺は転移を使うことにした。


「ここらでいいかな? じゃあ俺に触って」


 皆が俺の体に触れたり腕に捕まったりした。

七人が俺一人に触れるのは結構大変だ。

今度、触れた人に触れた人はどうなるのか試しておこう。

制限人数無しって、どうやったら大量輸送出来るんだろうか?

そんなことを考えながら、俺は屋敷の前を意識して転移で農場に帰った。

転移成功、目の前には農場の屋敷がある。全員無事に転移できた。


 その時、俺達が帰って来たことを見つけたターニャが屋敷から走り寄って来た。

白に持たせたメッセージで転移で帰ることが伝わっていたようだ。


「主君、大変です! 北の帝国が侵攻して来ました。

この世のものとは思えない轟音が響いたため、ニルが偵察で飛んだのです。

そして轟音の発生源であるミンストルの街は北の帝国に占領されていました」


「リーンワース王国が北の帝国と戦争になったのか!」


「いえ、ダンキン殿から警告をいただきました。狙いはこの農場と主君です!」


 俺には何が起こったのか理解出来なかった。

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