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今後のことを話す ①

 パーティーが終わった後、俺たちは相変わらず火山の上で宿を開店している。宿にやってくるお客さんはバーナンドさんたちと、そして最近ではフェニックスもやってくる。

 ふらっと宿にやってきたフェニックスは、自分の羽などを料金替わりにおいていってくれている。フェニックスという魔物の素材は、とても高価なものなので、一つの羽だけで何食分も作ってあげる形になっている。

 それにしてもフェニックスがお客さんとしてくるのもアリだと思う。

 いつかもっと知性のある魔物が沢山いるエリアにいけたら、もっとたくさんの魔物をお客さんに出来たりするだろうか。

 そう考えると俺たちにとっての客は人間だけでは決してないのだなと改めて思った。

 そう言う場所でも客を増やせて、常連を増やしていければきっと楽しいだろう。

 今日も、バーナンドさんたちがお店にやってきている。

 泊ることはないので、宿としては活用されてはいないが、食事処として活用できているのならば問題はない。でも次に宿を構える場所は、もう少し人が多めの場所の方が楽しいかもしれない。

「レオ様、ネノ様、僕もお腹すいた」

「そうだな、俺たちも食べるか。何食いたい?」

「鳥!」

「……フェニックス見ながら鳥食いたいとか言うのやめないか? 他意を感じるぞ?」

「えー。いいじゃんか。フェニックスも気にしていないし。僕も食べる魔物と食べない魔物ぐらいはちゃんとわけてるしさ」

 メルはご飯をつついているフェニックスを見ながら、鳥を食べたいなどと言っている。フェニックスは気にしていないが、堂々とそういうことを言うメルに呆れてしまった。

 メルが望む通りに俺は鳥系の魔物を使った肉料理を作る。メルは美味しそうにバクバク食べていた。

「レオ様、美味しい!」

「良かったな」

「うん!」

 メルはにこにこ笑いながら、それを食べている。

 メルも俺たちと旅に出てから人の姿によくなっているからすっかり人の姿で料理を食べるのも上手になってきたなぁと思った。

 その後、バーナンドさんやフェニックスたちが帰っていけば、すっかり宿は俺たちだけになる。この後、此処に客がくるとしたら夜か明日だろう。

 このあたりだとバーナンドさんたちぐらいしか住んでいないしな。

「ねーねー、レオ様、ネノ様、此処にいつまでいるの?」

 メルが掃除をしながら、そんなことを言った。

 俺はそんな言葉に、この火山にもそこそこ長い期間いるからなと考える。

 俺とネノの目的は色んなものを二人で見ること。色んなことを二人で経験して楽しく過ごすこと。そう考えるとフェニックスの誕生の瞬間も見れたし、一旦見るものは見れたかなと思う。

 次の場所に行ってみてもいいかもしれない。

「そうだな。もう少ししたら次の場所を目指してもいいかもな。此処にはまた来ればいいしな。次は何処に行こうか? ネノは何処に行きたい?」

「んー。今回は人があんまりいないエリアだから、次は人がいるエリア?」

「そうだな。ずっと人気がない場所で過ごすよりも交互の方がいいよな。メルの母親の所を目指しながら街で宿をやるか」

「それがいい。でもちょっと考えてから。バーナンドさんたち、街について知っているかな?」

「どうだろう? 一回聞いてみるか」

 バーナンドさんたちは、この山の上で暮らしているので街についての情報は知らないかもしれないが、聞いてみるだけ聞いてみてもいいかもしれないと思った。

「今回は火山で、結構暑いところだからもっと涼しい所でもいいなと僕は思うよ! あとは人間が沢山いる場所なら面白いことも色々起こるかもしれないよね」

「そうだな。でもその前にこのあたりを散歩とかして見落としとか、面白いものないかとか見て回ってからがいいかな」

「うん。もっと見てから」

 俺の言葉に、ネノも頷いた。

 俺とネノとメルで、このあたりはある程度見て回っている。けれどしばらくバーナンドさんたちやフェニックスのことで、そちらにかかりっきりになっていた。

 俺たちがフェニックスのことで色々動いている間に、この山の環境も変わっているかもしれない。そういうのを確認してから、違う場所に行きたいものだ。

「フェニックスにも、お別れのこと言う」

「そうだな。それで、十年後とかにまた来れたら楽しいよな。その時にはフェニックスも大きくなっているだろうし」

「うん。その時にも、フェニックスが私たち覚えているとなおいい」

 まだまだ生まれたばかりで小さなフェニックス。

 そのフェニックスも時間が経てばたつほど、大きく成長していくことだろう。そうなったら生まれなおす前のフェニックスぐらいに大きくなるのだろうか?

 そういうことを想像するだけでも楽しい。


 その後、その日のうちはバーナンドさんたちは宿に結局来なかったので、翌日になって俺たちはもうすぐこの場を去ることを告げるのであった。




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