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道中 1

「レオ、何処向かう?」

「決めてない。ネノはどこ行きたい?」

「私は、レオがいればいい」

「俺も……ネノがいればいいや」

「うろうろしながら何処にまずは住むか決める」

「うん。一先ず、店が出来そうな場所に行く予定」

「うん。ふふ、楽しみだなぁ」

 とりあえず、村を飛び出した俺達は道なりを歩いていた。

 成人の年齢になって、村を出ようと思っていたのは外の世界をもっと見て回りたいと思っていたから。俺とネノならきっとどこにでも行けると知っているから。――ネノとさっさと結婚をしたのは、俺がネノを早く自分の物にしたかったっていうただの独占欲と、外に出たら可愛いネノに好意を向ける異性が増えるだろうと分かっていたから。

 それで何をしてお金を稼ごうかと考えたのだが、俺もネノも料理が好きなので食堂や宿などを経営してみようと思っているのだ。そのための資金は村にやってくる商人に対して山で採れる貴重なものなどを売って貯めてきた。

 正直、ネノが『勇者』に選ばれて『魔王』退治に出かけなければならなかったのは完全に予想外だったけれど、『魔王』退治をしたことによって国からの報酬も出ている。その資金も合わせればお店をする事も出来るだろう。

 そういえばネノは俺が居ないのに街なんてゆっくり見たくない、とかいう気持ちで寄り道などせずに『魔王』の元へ直行したらしい。

「先に店舗を作るのもいいな。《時空魔法》で運べるし」

「うん。私と、レオの好みのもの作りたい」

「だよな。自分たちで作った方がいいよな」

 建物自体を運ぶ事は、ネノでも出来ない。俺が《時空魔法》を極めた一番の理由はネノに出来立ての美味しいご飯を食べてほしいというものだったけれども、《時空魔法》のレベルを上げて本当によかったと思っている。

『ネノ様もレオ様も本当に頭おかしいよね!!』

 今まで黙って話を聞いていたメルが突然叫びだした。

「どうしたの。メル」

「どうしたんだ、突然」

『どうしたんだ、じゃないから!! 家を運べるぐらいまで《時空魔法》を極めているのもおかしいし、自分で店舗作ろうとしているのもおかしいし。というか、ネノ様とレオ様、お店やるの!? ネノ様とレオ様なら冒険者でもやったらすぐに高ランクなれるよ!?』

「別に、冒険者とか興味ない。レオとお店やりたい。私とレオの愛の巣」

「冒険者とかどうでもいい。冒険者って高ランクになったら色々ややこしいって村長が言っていたぞ。俺はそういうのは嫌だし。何より、料理をするのが好きだしな」

『というか、あと、ずっと思っていたんだけど、いい加減突っ込むよ!! 絶対ネノ様とレオ様二人で『魔王』退治に行った方がすぐに終わったよね!? 半年もかからなかったと思うよ、僕!!』

「一度言ったら拒否された。……それに私『魔王』退治、レオは商人に売るで、お金を互いにためた方が資金たまると思ったし」

「ネノがすぐ終わらせるって言ってたからな。歴代の『勇者』は『魔王』退治に数年から十年かけていたみたいだけど、ネノがすぐ終わらせるっていうのならばそんなに時間かからないと思ったし」

 歴代の『勇者』は『魔王』退治を数年から十年かけて終わらせている。だからこそ、今回のネノの半年で『魔王』退治を終えたのは異常とも言える。

 ただ、歴代の『勇者』の事を調べていて思ったのだが、『魔王』退治にそれだけ時間がかかっていたのは選ばれた『勇者』が選ばれるまで戦いに身を置いてなかったからではないかと思った。戦い何て知らない村人や大切に育てられ戦いを知らない貴族などが多かった気がする。それにネノのように『魔王』の元へ直行していたわけではなく、結構な寄り道をしたりしていたようだから。

 ネノは元から自身を鍛えていたのと、直行したからこれだけ早かったのだと思う。

「それに……離れていた時間があるからこそ、こうしてネノが隣にいる事がより一層愛しいと思うから。正直ネノが俺の側に居ない事は寂しかったけれど、その分、こうしてネノが俺の側に居る事が嬉しいしネノが隣にいる奇跡を大切にしたいって思えたから」

「うん。……私も寂しかった。愛の試練。レオ、居なくてさびしかった。でも、その分、私、レオがこうして今傍に居るのが嬉しい。レオの事、大好きって、再確認」

「ネノ……俺も、愛してる」

「うん。私も、レオだけ」

 俺のネノが本当に可愛い。

 ネノが『魔王』退治に一年とかかかりそうなら、追いかけて『魔王』退治を手伝う気満々だったけれどネノは半年で終わらせた。半年離れて、正直ネノが傍に居ないのが寂しくて仕方がなかったけれど、その分、ネノを大切だって気持ちを再確認出来た。俺がネノを愛してるっていう気持ちがより一層深くなったから。

 ネノの頬に触れて、ネノを引き寄せる。

『って、ああ、もう、何で隙あらばちゅっちゅってしてるの!! もー!!』

 何だか、メルが騒いでいるけれど気にせずネノに口づけを落とした。




 

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