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港街の日常 2

「レオニード兄ちゃん!!」

「レオニード兄さんだ!!」

 そうやって声をかけてきたのは、宿の近所に住んでいる子供たちである。俺とネノも子供というものが好きだ。

 生まれ育った村が高齢の住民ばかりで、俺達より下の子供がいなかったからというのもあるだろうが……、こうやって兄ちゃんや兄さんと呼ばれて慕われるのは悪い気はしない。

 この街の子供たちの凄いところといえば、大人でも話しかけることを結構躊躇うネノにも進んで話しかけることだろうか。

 ネノはそりゃあ、あれだけ作りもののような美しさを持っていて、『勇者』という地位も持っている。周りが近寄りがたいと思うのは当然だ。

 俺はネノとはずっと一緒にいるし、ネノのことを見慣れているし、ネノがちょっと不機嫌そうにしていたとしてもネノの事を知っているから問題ないけど、ネノと言う存在はそれだけすさまじい存在感を持っているのだ。

 俺の方はまぁ、ネノの夫とはいえ、ネノほど存在感はないのでまだ話しかけやすいらしいと、街に住む人達が言っていた。

「レオニード兄ちゃん、俺達と遊ぼうぜ」

「レオニード兄ちゃん、今日は時間ある?」

「レオニード兄さん、これ食べるー?」

 そう言いながら俺を囲う子供たちを視界に留めながら、どうしようかなと考える。

 お弁当を卸しに行く作業は終わっているので、俺の今の仕事は一先ず終わっている。忙しいお昼時の時間まではまだ時間がある。

 元々ネノとメルにお土産を買いに行こうかと考えていたぐらいで、時間の余裕はあるのだ。

 目の前で、子供たちはキラキラした目で俺のことを見つめている。そういう目で見つめられると、断りにくかった。

「じゃあ、遊ぶか」

 時間もあるし、少しぐらいならいいだろうと俺はそう告げる。

 俺が頷けば、周りの子供たちは「やったー」「わーい」と声をあげて嬉しそうだ。嬉しそうな態度を見ていると、頷いて良かったとそう思う。

 とはいえ、俺には仕事があるので「少しな」とはもちろん告げておく。

 子供達と遊ぶということで何をするかと言えば、結構魔法を使って遊ぶことが多い。というのも、子供達は結構魔法を見たがるのだ。

 俺の得意な《時空魔法》を使って、そこから取り出した道具で遊んだりとか、クイズをして正解した人に《時空魔法》でしまわれているものをプレゼントしたりとか、まぁ、やっていることはあくまで平和的な魔法の使用である。どんな魔法の使い方でも子供たちにとってみれば魔法を目の前で使っているというだけでも大興奮だ。

 あとは単純に鬼ごっこをしたりとかもした。俺は体力をつけている方だし、簡単には捕まったりはしない。子供たち全員が鬼になって俺を捕まえるといったそんな騒動になったこともあるぐらいだ。そんな感じの遊びを子供たちとはたまにしていたりする。

 ネノやメルも混ざって一緒に遊ぶこともあるので、この街の子供たちやその親とは結構仲良くなったと思う。

「レオニード兄ちゃん、もっとやって!!」

「レオニード兄さん、そっち!!」

 楽しそうな声を聞きながら遊んでいたら、すっかり時間が過ぎる。そろそろ、宿に戻らなければ不味い時間だというわけで、

「今日は此処までな」

 とそう言って、子供達と別れる。

 もっと遊びたいと言っていた子たちもいたけれど、お昼時の忙しい時間を抜けるわけにもいかない。なので、「またな」といって宿に戻った。




 宿に戻れば、ネノとメルが俺を出迎えてくれる。




「おかえり。レオ。子供達と遊んでたって、聞いた」

「ああ。ちょっと誘われてな」

「レオ様ずるーい、僕も遊びたかった!!」

 俺が子供達と遊んでいたことは、宿にまで伝わっていたらしい。

 というか俺とネノとメルは、この街でも有名になっていてやることなすこと結構すぐに広まってしまうだ。あれだけ人目に付く場所で子供達と遊んでいたので、宿にまで伝わっていたのだろう。

 まぁ、すぐに行動が広まるということはネノやメルに何か起こった時にすぐに伝わるってことだから良い事だと思う。最もネノやメルに何かあるなんてことは滅多にないだろうが。

 メルは俺が子供達と遊んでいたことを知ると、自分も遊びたかったと頬を膨らます。

「時間がある時にメルは子供達と遊んでやればいいだろ。子供たちはメルとも遊びたがってるからな」

「ふふん! 僕、人気者!!」

 メルは俺の言葉にどや顔を浮かべている。

 確かにメルは子供達に人気者である。下手したら俺やネノより子供達には人気だろう。実年齢はともかく、見た目の年齢が同年代で、かつその明るい性格が人気なのだろうと思う。

「メル、人気者。よい事」

 ネノがそう言いながらメルの頭を撫でまわす。

 メルはされるがままである。

 そうやってのんびりすごしていれば昼食の時間が訪れたので、俺達は忙しく仕事を開始するのだった。







 

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