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祭り準備 7

「レオ、これ美味しいね」

「ああ。美味しいな」

 現在、ネノと一緒に試食品を作り続けている。

 海鮮焼きそばで色んな種類を作っているけど、ついネノと一緒に試食を作っていると楽しくなってしまった。俺もネノもどちらかというとやるからにはとことんやるタイプなので、今、俺とネノの周りには沢山の試食品があふれている。

 大量の海鮮焼きそばは余ったものを、全部《時空魔法》で中にしまう。流石に少し味を変えているとはいえ、同じものをずっと食べ続けるのは飽きが来てしまうのだ。

 メルもさすがに食べ過ぎて飽きてきたって言ってたしな。お客さんに出すと祭りの時のインパクトもなくなってしまうし。

「レオ様、ネノ様! 夜の食堂の開店の時間も迫ってるでしょ。いつまでやってるの?」

「ああ、確かに。そろそろ終わるか」

「ありがとう、メル」

 昼食と夕食の時間帯の空いている時間に試食品を作っていた俺たちは、メルにそんな風に声をかけられた。熱中してしまっていたらしい。

「というか、二人とも試作品食べ過ぎじゃない? 太るよ?」

「大丈夫だ。その分、運動しているし」

「うん。太ったら痩せればいい」

「太ってもネノはきっと可愛いよ」

「ふふ……でも、一番可愛い私、レオに見せたい」

 ネノが可愛いことを言っている。というか、俺のネノ、本当に可愛いと思う。思わず頬が緩んでしまうのは、俺のネノが最高だからだ。

「もー。いちゃつきすぎだからね!! そんなちゅっちゅってしそうな雰囲気やめてよねー!!」

 そんな風に俺とネノにメルはそういうのだった。



 それから夕食の時間を乗り切って、ネノとメルと一緒にのんびり過ごす。





「レオ様、ネノ様、祭りの準備終わりそう?」

「ああ。大丈夫だ。海鮮焼きそばだけどんなふうにするかは悩んでいるが、それだけだしな」

「大丈夫。メルの心配、いらない。私たち、ちゃんとやる」

 メルはこういう準備をしたことがないからか、心配になってしまっているらしい。まぁ、俺とネノがいつまでも海鮮焼きそばに手間取っているからかもしれないけれど。

 それにしても祭りでどんなことになるのだろうかと、楽しみになってくる。ネノと何かをするというだけでも楽しいし、生まれ育った村ではこんな大きな祭りなかったし。

 ちゃんと屋台用の衣服の準備もしている。あとは、魔法の打ち合いを海の上でしていいかって交渉も商業ギルドのギルドマスターに問い合わせしてる。なんか中々返事来ないけど、もしやれるというのならば盛大にやりたい。

 メルが夜なのに元気に、はしゃいでいる様子を見ながら俺とネノは二人で長椅子に座っている。

「決めることも沢山あるな」

「うん」

「でもこうやって決めるのも楽しい」

「だよね。楽しい。レオと一緒、何でも楽しい」

 俺が話しかければ、ネノも俺にべたっとくっついたまま会話を交わす。家にいる間はいつもネノとべったりくっついている。流石に仕事中はこんなにくっつけないから。仕事にならないし。

 メルには「いや、十分いちゃついている!」と言われているけど、これでも自重しているのだ。

 ネノとはいつでもくっつきたくなってしまうから。

 そんな風にべったりしながらのんびり過ごしていたら、来訪者があった。こんな仕事終わりに来訪者が来るとは思わなかった。

 宿の客だったら呼び出し出来るようにしているし、宿の客ではないだろう。

 そんなわけで誰だろうと思いながら扉を開ければ、商業ギルドのギルドマスターと、知らない年配の男の人がいた。

 この男の人は誰だろうか。何だかいかつい顔をしていて、いかにも強そうな面立ちをしていた。

「夜分にすまない。レオニードさん、ネノフィラーさん」

「構わないですけど、その方は?」

「……冒険者ギルドのギルドマスターだ」

 商業ギルドのギルドマスターにそう言われて、俺は少し驚く。

 茶髪の刈り上げの男は、俺のことを見下ろしている。背も高いし、威圧感大きいな。ちなみにネノとメルは「誰?」と言いながら、覗き込んでいる。

「それで、冒険者ギルドのギルドマスターさん」

「……冒険者ギルドに登録してもらいたいのだ」

 冒険者ギルドのギルドマスターは急にそう言った。ああ、そういえば最初に商業ギルドに向かった時に、冒険者ギルドのギルドマスターが冒険者登録してほしがってるみたいな話を聞いていたっけ。

 ……それにしてもわざわざここまでくるのか? どれだけ俺たちに冒険者になってほしいのだろうか。その行動力に俺は驚いてしまう。

「すみません。俺もネノも冒険者ギルドに登録するつもりはありません」

 俺がはっきりとそう言えば、商業ギルドのギルドマスターはやっぱりと言った表情をした。それに対して、冒険者ギルドのギルドマスターはムッとした表情を浮かべていた。





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