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誘い 1

 テディとドゥラさんが王都に戻って行ってから、ひと月ほど経った。

 その間、宿は盛況と言えた。開店して間もないからこそ、多くのお客さんが来てくれたし、繰り返し来てくれるお客さんもいて嬉しい限りだ。

 宿泊客も今の所満室で、この街に住んでいる人も興味本位で泊まっていたりもするけど、冒険者なども多く泊まってくれる。冒険者が此処に泊るのは、『勇者』とその夫のやっている宿だから興味があるというのもあるだろう。

 このひと月の間に、力試ししてほしいとやってくる人も多くて、たまに相手をしている。まぁ、大体メルが相手をしているけれど。メルも一般的に見たら強いから、冒険者にも負ける事はないし。

 メルがドラゴンだっていうのは周りにそこまで言っている事じゃないから色々憶測が建てられているらしく、面白いと思う。俺とネノの子供疑惑とかあるらしい。メルの人型の姿と同じくらいの子が子供だったら、子供産んだ時子供って事になるじゃないか。まぁ、俺とネノは人間だけど、人間ではないのではないかって噂もあるらしい。なんだそれって思うけど、有名になればなる分それだけ変な噂たてられたりするもんだよな。

 俺は仲良い連中以外にどう思われようが特に気にならないけど。ただ客商売やっているわけだから、そのあたりはきちんとしておいた方がいいだろう。適度に場所を変える予定だから問題はないだろうけど、悪い噂が広まればお客さんも来なくなるかもしれないし。

「ネノ、今日もお疲れ様」

「うん。レオもお疲れ様」

「お疲れ様ー。今日はお客さんいっぱいだったね」

 その日も俺たちは一日の仕事を終えてのんびりしていた。今の所、これといった問題もなく、宿の経営生活は上手く行っている。



 あと家の隣に、魔物を飼育できるエリアを仕事の合間に作っている。魔物は狩れば肉などは手に入るが、一定して手に入れられた方が断然良いからな。魔物を飼って、その肉や卵などといったものを手に入れるようになったら、宿の経営も楽だしさ。

 流石に宿の仕事をしながらだと少しずつしか手に入らないけど、今度少し遠出して飼育する魔物を捕まえてこようかなと悩んでいる。メルに言えば手軽に捕まえてこれるかもしれないけど。そのあたりも考えるべきだろう。

 飼育するために魔物を街に入れるにしてもいろいろな手続きが必要だというのも分かるし。そんなわけで色々と現在計画中だ。そのためまずは建物を作っているところだ。

 折角こうして宿をやっているから色んな計画をたてている。ネノももっと宿をおしゃれにしたいとかそういう願望もあるみたいだから、少しずつ叶えて行って、理想の宿に出来ればと思っているのだ。

 ひと月の間はバタバタして、そこまで進まなかったし。考えていかなきゃいけないからな。今の所黒字だけど、赤字になった時の場合も考える必要がある。

「ネノ、貯金どれぐらいにするか?」

「ちょっとでいいと思うけど。私達、そんなお金使わないし」

「まぁ、そうだけど、何かあった時のためには金あったほうが便利だろ」

「うん。そうだね」

 結局、言ってしまえば俺とネノ二人で暮らすならどこでも暮らせるのだ。将来的におじいちゃんおばあちゃんになった時に人里が嫌になっていたら、もしかしたら山奥とかに住むのもいいかもしれない。

 ただ何が起こるか分からないからまずはお金も貯めた方がいいだろう。あって困る事はない。

 自分で服とかも作れるけど、何処か行った時にネノに可愛い服とかアクセサリーとか買ってあげたいって気持ちもあるし。

「何買うかとか決めないとね」

「ああ。あと今のところは好調だけど、もっと評判になるために行動したほうがいいか」

「うん。そのためには――」

 と、そんな会話を交わしていたら、メルがやってきた。

「レオ様、ネノ様、お客さんだよー」

「客?」

「今、時間外だけど。宿は満室だし」

「あ、宿のお客さんじゃないよー。えっと前に会った人……誰だっけ、ああ、とそうだ、あのギルドマスターの人!!」

 どうやら商業ギルドのギルドマスターがやってきたらしい。それにしてもネノはあんまり人に興味ないのもあって、顔をちゃんと覚えていないようだ。

 それにしても商業ギルドのギルドマスターが俺たちに何の用だろうか。何かやらかしたわけではないし。

 と、そんな風に思いながら、商業ギルドのギルドマスターを中へと入れる。

「ネノフィラーさん、レオニードさん、お久しぶりだな。宿が順調なようで何よりだ」

 ギルドマスターは、客として此処を訪れた事はないが、評判を聞いているのだろう。ギルドマスターはご飯を食べてきていないというので、一食もてなしのために作った。そしたら「混んでいるから遠慮していたんだ」と言って、食事を取れることを喜んでくれたのだった。





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