開店準備 6
6/27 二話連続投稿です。注意してください。
洋服も出来、ある程度の準備を終えたので、商業ギルドに審査をしてほしいと申請をした。
この審査が終われば、ついに、開店する事が出来る。審査は申請したものの、当日すぐに審査が行われたりするわけではなかったので、開店までの間にメルに「近日開店予定『宿屋・レアノシア』」と宣伝してもらいながらチラシを配ってもらうことにした。
給仕服でやってもらうことにしているので、さぞ注目を浴びることだろう。恐らく大丈夫だとは思うが、もし攫われそうになったりしないように、知らない人からは物をもらわないようにとか、知らない人についていかないようにとはメルに忠告をしておいた。メルを無理やり攫うのは無理にしても、騙されて連れていかれることはありえそうだし。まぁ、メルならなんとかするだろうけど。
さて、その間に俺とネノは審査前に見落としがないかの確認をしたり、あとはのんびりしていた。
「審査通ったら、開店だね」
「ああ」
「私が『勇者』になったから、ちょっと予定より遅れたけど、レオとのお店嬉しい」
「気にしなくていいよ。ネノが『勇者』やったおかげで開店資金も結構手に入ったし。俺もネノとの店、嬉しい」
ネノと一緒に経営する宿。
それを思うだけで、何だか嬉しくなった。
ここから、俺たちの新しい第一歩が始まる。宿を経営していきながら、いろんなものをネノと一緒に見に行くんだ。ネノと一緒だったら何処へだっていける。ネノと一緒に、ネノが隣にいて、いろんな景色をこれから見て、いろんなことを共に経験していける。それってとても幸せな事だと思う。
好きな相手が俺を好きでいてくれて、俺のお嫁さんになってくれて、そして俺と一緒に色んな場所に共にいってくれる。うん、俺は幸せ者だ。
「レオ、どうしたの?」
「俺って、幸せ者だなぁと思って」
寄り添っているネノが俺を見上げる。
「ネノが俺の奥さんで、俺の傍にいてくれて、幸せだなって思っただけだよ。これからもよろしく、ネノ」
「うん。よろしくお願いします。もちろん、私も、レオと夫婦で幸せ」
小さく微笑みながら、そんなことを言うネノはやっぱり可愛かった。
それから数日後に宿の審査が終わった。宿の審査では、俺達が自作した魔法具を見て、「この魔法具欲しい」とか宿の審査とは関係なさげな事で興奮していた。あとこんな魔法具だらけの宿は中々ないらしい。
通常の手段で水とか通していると、移動する時に面倒なのでこうしているが、魔力が少ない人や魔石を持ってなければ確かに魔法具が多いと大変だろう。あと俺とネノは魔法具を自分で作ったり、魔法具の手入れをしたり出来るけれど、それが自分たちでできなければ制作費でかなりの値段を取られるだろうし。
試作している食事も肉料理、魚料理、野菜料理など、沢山のものを食べてもらった。案外、丼系が審査に来た連中に人気だった。米は他の食糧よりストックは少ないけれどしばらく持つ分ぐらいはストックがある。もしなくなったら仕入れるまで販売中止になるだろうが、それでいいだろうとネノと話し合いで決まっている。
宿の様々な部分を審査されたが、隅々まで数時間かけて審査して特に問題がなかったようだ。良かった。問題はないつもりだったけれど、この段階で何か調整しないとになったら少し開店が遅れることになっただろうから。
審査が終わって、『開店許可証』を受け取る事が出来たので、額縁に入れて店内に飾った。
俺とネノと、メルで運営する『宿屋・レアノシア』はまもなく開店を迎える。
「これで準備完了だね、レオ様、ネノ様。僕も頑張る!」
メルが気合を入れて、声をあげた。
「ああ。折角だから繁盛させたいしな」
「大丈夫、私とレオなら何でも出来る」
「そうだな。ネノ。俺とネノなら、きっとなんだって出来る。世界中に広められるぐらいを目指そう」
「うん。レオと夫婦だって、全員が知っているぐらいがいい」
ネノは俺の言葉に俺と夫婦だって世界中に広めるぐらい頑張ると口にした。
ああ、もう本当に俺の嫁は、可愛い。
第一章 『勇者』の帰還と開店準備 完




