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開店準備 1

 商業ギルドへの登録も済ませて、後は最終的な開店準備を行うだけだ。

 店名も決まったことだし、看板も作らなければならない。看板作りはネノが行ってくれるという事なので、俺はメルを連れて海に出る事にした。

 というのも、折角なので海鮮料理を食堂でメニューとして出したいのだ。そのための食糧調達をしておこうと思った。俺は《時空魔法》が使えるので、鮮度に関してはどうにでもなる。なので、調達できるだけ調達しようと思ったのだ。それ以外の野菜類などは《時空魔法》である程度ストックしてある。

 船を借りて取りにいくか、それともちょっとした魔法を使って取りに行くか。あとはメルに乗って取りに行くのも一つの手だけど、それは目立って面倒なのでやめておく。

「レオ様、どうやって魚取りにいくの?」

 危険な魚も世の中には沢山いるので、漁業に行く際には腕の立つものを連れていくものである。なので、考えた末に、これから漁業に出かける漁師に一緒に乗せてもらえないか交渉する事にした。

「漁業にいく漁師に乗せてもらえないか頼んでみる」

「僕が頑張ってもいいんだよ?」

「それは今回は遠慮しておく」

 俺はメルとそんな会話を交わしながら、海の方へと向かった。海に面した街というのもあって、この街は漁業が盛んだ。朝早くから船が沢山並んでいた。

「―—すみません」

 その中の一つ、そこそこの大きさのある船に乗っている人物に俺は声をかけた。

 その茶髪のまだ若い男は、俺の姿を目にとめて驚いたように目を見開く。俺が『勇者』であるネノの夫として有名になっているからだろうと思われる。

「……『勇者』様の夫ですよね? 何の用ですか?」

「魚が欲しいので、乗せてもらえないかなと思いまして。その分、危険な魚は俺らが対処します」

「……え、ちょ、ちょっと待ってください。船長に聞いてきます」

 男はそう言って船長の元へと向かった。テディと模擬戦もしていたし、俺がどのくらい強いかはこの街の人達ならなんとなく把握はしているだろう。

 もし断られたら、その場合は別の手段を考えようと思う。

 と、そんなことを考えていたのだがやってきた船長は、

「『勇者』の旦那が護衛についてくれるのは心強い」

 といって、俺を乗せてくれる事になった。


 ちなみに俺以外の護衛ももちろんいる。彼らは冒険者である。




 船に乗って、早速出発する。

 俺以外に乗っている護衛としての冒険者は三名。全員、男である。彼らは俺の事が気になるのかチラチラ視線を向けていた。一応最低限の挨拶はしたものの、それ以外は話しかけてはこない。

「レオ様、ちらちら見てるけど」

「話しかけてこないならこっちから話しかける気はない。それより、とるぞ」

「どうやってとるの?」

「魔法を使って」

 俺はそう言って、魔力を海の中へとなじませる。

 そして魔力を薄く広げていき、網状に形成していく。火や風などの属性が付与されていない魔法は、《無属性魔法》と呼ばれる。

 その魔法で、俺は魚を取ろうとしている。

 魔力の操作が上手くできなければ、魔力の網を噛みちぎられてしまうので、きちんとそうならないように魔力を込める。

 船の端に立って、海に手を伸ばしている俺が何をしているのか周りには分からないのだろう。メル以外は「何をしているんだろう?」と不思議そうな声をあげていた。

 広く伸ばした魔力の網でぎゅっと中にいる魚たちを圧縮する。そしてそのまま持ち上げた。

 魔力の網によってもち上げられた魚たちを前に、同じ船に乗っている人達は驚きの声をあげているが、俺は気にせず持ち上げたそれをそのまま《時空魔法》の空間に突っ込んだ。きちんと中で混在しないように魔力で操作をしながらである。

「えぇ?」

「い、今のって」

 周りが声をあげていく横で、特に話しかけられているわけでもないので俺は魚を調達する作業を続ける。もちろん、漁業をしている漁師の邪魔にならないようにである。

「レオ様、流石だよね。僕もやるー」

 メルもそんなことを言って、俺と同じように魔力操作をして持ち上げている。ただ《時空魔法》は俺のように使えるわけではないので、メルがやったものも俺が《時空魔法》で回収した。

「ちょ、ちょっと聞きたいんだが」

「何ですか?」

「……先ほどの魚は何処に?」

「魔法で収納しました」

 きちんと答えたら冒険者たちにえーっという表情をされた。それ以上特に聞いてはこなかったので、船に乗っている間、必要な分だけ魚を回収しておく。

 

 そうしていれば、海に垂らした魔力に強い魔力が引っ掛かった。


「なんか魔力が強い魚がいますね。やってしまって大丈夫ですよね?」

「え、あ、ああ」

 船長に声をかければ、大丈夫だと言われたので、その魔力の強い魚をどうにかする事にした。





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